新築VS中古 (後編)

2019/05/18

物件の選び方

┃中古の特徴
メリット

・転売の容易性

中古の物件は中古の市場で出回っている以上、その相場に価格を合わせて売りに出していることが可能性として高くなります。

基本的に中古で購入したのであれば、今日購入した物件を今日同じ価格で売却してもおかしくないのが中古の特徴です。

この換金性の良さがなによりも中古の物件のメリットになります。

相場よりも割安で購入できるチャンスもあるので、この場合は購入価格よりも高く売却できる可能性もでてきます。

・価格の変動が新築に比べ少なくなる

中古の物件の場合は築年数にもよりますが、価格の下落リスクが小さくなります。

東京都の平均としては、新築から築10年までは年間1.9%ずつ価格が落ちていくといわれています。築10年から築20年の平均は1.4%、築20年から築30年だと0.45%と築年数が経過すればするほど価格が下落しにくくなることがわかります。 

ある程度価格が落ち着いた物件を購入すると、築年数の経過による資産価値の目減りをある程度軽減できるメリットがあるのです。

・管理の状況を把握しやすい 

物件の管理の状況をみていただくと、中古で20年経過していて修繕の履歴や、修繕積立金の状況、外観等の管理状況を目で見て判断してみても、状態が非常に良いという事であればその先も状況が悪くなることは想定しにくくなります。

新築時では想像がつかない部分が目で見て確認できますので、そういった意味では新築よりも安心材料になることもあります

・賃料の目減りが少ない

新築と違いプレミア家賃がない分賃料の築年数の経過による賃料下落のリスクは小さくなります。 

特にワンルームマンションの場合では、築20年を経過するあたりから賃料の変化はさらに下落リスクが小さくなってゆきます。 

賃貸マンションの収益のベースである賃料が変化しにくいということは、直接的に不動産投資の安定感につながります。

収益が読みやすくなるので、投資計画も設計しやすいということになります。

・投資利回りが高い 

新築に比べ割安で購入できる中古物件は、基本的に新築物件よりも利回り効果は高くなるケースが圧倒的に多いです。

月々の収支や将来の変動リスクにもその分対応しやすくなるため、運用の戦略がたてやすく、利益にもなりやすくなる傾向があります。

・節税対策になりやすい

新築と比べてですが減価償却期間が短くなり、単年度当たりの経費が大きく計上できることが中古の場合は多くなるので、結果として単年度当たりの節税効果は中古の物件の方が高くなることが多いです。

積極的に節税のメリットを享受したいという方には中古の物件の方がその目的を達成しやすくする傾向があります。

・好きな場所で購入できる

例えば赤坂の駅前1分にあるマンションを購入しようとすると、新築ではいつ建つかがわからないので、購入できない可能性が高いでしょう。

しかし、どんな立地でも中古であれば売りに出されたものは購入できます。

中古のマンションは立地のいいものを自由に選べるので、建て替えを待たずともいい物件をいい立地に購入するチャンスがいつでもあるのがいいところです。

 

デメリット

・内装を確認できない場合がある 

前編で新築の物件の特徴でもあげた通り、中古の物件で入居者がついている状態、いわゆるオーナーチェンジ物件を購入すると内装の状態は確認できないことになります。

場合によっては状況が悪いことも想定できるので、思った以上のリスクを負っている可能性もゼロではないのです。

これは入居者の使用状況にもよって状態が変わるということです。

・設備が古い、間取りが現在のトレンドと違うケースがある

これは特にワンルームマンションなどのケースでよく見られる特徴ですが、平成元年前後のバブル期の物件はワンルームマンションの広さのトレンドが15㎡~18㎡と現在の主流のワンルームマンションと比べ圧倒的に広さが小さいです。

間取りもよくいわれる3点ユニット型でバストイレが一体となっている、ビジネスホテルと同じような間取りの物が主流になっています。

現在賃貸マンションは殆どの方がインターネットから検索しているため、バストイレ別の物件を検索条件とされてしまうと見てももらえない可能性があります。

設備も古い物をそのまま使用している可能性があるため、仕様が古かったり、設備が大きかったり、音が少し今の物よりも大きいなどの違いがあることがあります。

・設備の故障がおきやすい

設備に関しては当たりはずれがでることが予想されます。

購入したとたんに設備が壊れても、オーナーの負担で修理、交換をしなければならず、場合によってはすぐに修理コストがかかるケースもあります。

・事件事故が起きている可能性がある

これは新築であっても将来はそのリスクもあるのですが、中古の物件の場合は既に当該物件で事件や事故がおきたというケースがあり、購入前にそういったことが物件内で起こった過去があるかは確認しておく必要があります。

・建物の寿命が短い

当然すでにある程度の築年数が経過しているため、建物自体の寿命は新築と比べれば短いという事になります。

建て替えのチャンスを得られるケースもありますが、新築と比べ収益を得られる時間そのものは短くなるので将来その物件をどう運用していくのか、もしくは売却を想定しているのであれば出口戦略をある程度明確に持っておく必要がでてきます。

・自由に物件を購入できない

中古の物件の場合は、現オーナーが所有物件を売りに出さない限りは購入のチャンスがありません

新築の様に部屋位置を自由に選ぶことも出来ないということになります。

┃まとめ

このように中古の物件も新築同様に長所だけというわけではありません。

ただし、投資という観点ではよく確認して状態の良い物件を妥当な価格で購入していれば、売却などは新築よりもしやすいため、利益につながる可能性が高くなるケースが多くなります。

新築も安く購入できていればメリットが十分に出ることもあります。

ただし現在はその可能性が薄い分中古のメリットを取りやすい状況下にあるといってよいでしょう。

 

現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

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