建物を持つ際の地震リスクについての考察 Vol.3<建物の選択と地震保険>

2020/07/21

リスク

地震についてリスクを軽減するなら、当然どんな建物を選ぶかでリスクの度合は変わります。

建物の性能について 

100%とは言えないものの、リスクを小さくしてくれる建物はあるはずです。

日本は年中地震に見舞われているため、地震に対しての考え方は世界でも一番進んでいます。

建築技術が進んだ事により、特にこの20年程で建築物の耐震性能については大きくそのレベルが向上しています。

建築に関する法律やルールに関しても強化された面が多く、消費者を守るための保険等もできて、より安心して安全な建物を購入する事が可能になってきています。

ただ建物によって地震に対しての性能も様々です。

基本的には高い建物よりも、低層マンションの方が倒壊のリスクは少ないでしょう。

低層マンション(5階以下)は壁式構造が採用され、柱や梁を使用せず、四方の壁・床・天井・という、面で建物を構成しているため耐震性には優れています。

逆にピロティ形式といわれる1階などが壁が全くない構造になっている建物は地震に弱いといわれています。1階がほとんど駐車場になっている等の場合が代表的で1階や2階に壁が全くないマンションは注意をしてください。

高い建物の中にはタワーマンションもありますが、タワーマンションの場合は逆に免震装置や制震装置を使って、もしくは双方の技術を併用して建築されている物もあるため、建物の高さはあっても、普通のマンションより地震に対しての構造的な強さは持っています。

日本の建築技術は非常にレベルが高く、現に東日本大震災の時も、その当時建築途中であった東京スカイツリーは全く損傷していません。

どんなに建物が高くても、構造計算がきちんとされていて、現代の技術を駆使すれば大きな地震にもある程度きちんと対応できるということの証拠です。

基本的にマンションの場合は、耐震マンション制震マンション免震マンションと耐震性能が分かれ、最近は制震免震マンションも登場しています。装置が多くなるとその分コストがかかり高額になる傾向があります。

基本は耐震→制震→免震→免震・制震の準で地震には強くなります。

耐震はコストが安く、メンテナンスがほとんど必要ありません。

制震はアンボンド装置などが組み込まれ揺れを抑える効果があります。

免震は足元に揺れを無効化する装置があり、揺れそのものを軽減します。

ただし免震装置は高額でさらに後々のメンテナンス費用、維持コストが高額になる傾向があります。

また建物を中古で購入する場合は、1981年6月1日以降に建築確認済証が発行されているかどうかで、新耐震基準に適合した建物かどうかが分かれますので新耐震の物を選びましょう。

耐震性を考えれば一番地震の被害を受けやすくなるのは一軒家です。

岩盤層にまで杭を打って建てるマンションとは違い、基礎から傾いたり、液状化による地盤沈下などの影響を受けやすいからです。

しかし同じ一軒家でもここ20年程の間に建築されたものと2000年よりも前の20年間で建築されたものではかなり地震に対する建築技術に差があるようなので、一軒家はなるべく新しい物を購入する方が安全度は高くなります。

これは熊本地震の際に、一軒家の倒壊が多かったことで耐震レベルの検証がなされており、古いものほど戸建ての家屋は地震に対する強度が保証されないことがはっきりわかっています。

地震に強い建物は、上記の様なポイントを抑えて選んで頂ければ倒壊や損傷の被害を最小限に抑える事ができるでしょう。

┃地震保険について 

さらに、地震のリスクヘッジの方法として地震保険に入る事をお勧めします。

地震保険は原則火災保険に入っていなければ入る事ができません。

火災保険に入った上で、火災保険の保険金額の半分の金額まで加入することができます。

火災保険だけでは地震を原因とする火災や、津波、地震による被害の損失補填はできません。地震が心配な方は必ず入っておきましょう。

最長5年入る事ができます。5年経過したら継続するには手続きとコストが必要になります。

地震保険は地震による家屋の被害や、ひび割れ、損傷箇所の補修や建て替えの際のコストを補填できます。

立て替えのコスト全てを必ず賄える訳ではありませんが、何も入らないよりは当然大きくリスクを軽減できます。

火事と違い広範囲の地域に渡って大きな被害が出る可能性がある地震に対する保険は、保険金の請求金額が一度の地震で膨大な金額になる可能性があるため、地震保険の支払い金額が総額2兆円までと定められており、被害の規模がそれ以上になると保険の金額が2兆円を超えた分はお支払いができない仕組みとなっています。

とはいえ日本の地震の可能性を考えると、大きな被害を被る可能性があるなら入らないよりは入った方が安心でしょう。

なるべく地震に強い建物を持ち、もしもの事を考えるなら、きちんと地震保険に入っておく。技術は日々進化していますので、購入前によく説明を受けてから検討しましょう。

弊社セミナーお申込みはこちら

https://form.k3r.jp/jpreturns/088

個別相談会お申込みはこちら。
室田がご相談に乗ります。
https://form.k3r.jp/jpreturns/murota

現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

PAGE TOP