瑕疵担保責任とは?中古物件の思わぬ損失を回避するコツ

2018/08/24

不動産投資

瑕疵担保責任という言葉を目や耳にしたことはありますか?一見、難しそうな法律用語ですが、ぜひ知っておきたい用語です。
中古物件を取得して不動産投資を行う際には、瑕疵担保責任の概要と責任の所在を知った上で引き渡しを受けなければ、思わぬ損失負担を被ってしまう可能性があります。不動産オーナーとして、そのような事態を回避するためにも、瑕疵担保責任についての基本的な知識を身に着けておきましょう

瑕疵担保責任に関する基礎知識

瑕疵担保責任に関する基礎知識として、瑕疵とはなにか、そして、瑕疵担保責任とはなにかについて確認していきましょう。なお、瑕疵担保責任は、民法と宅地建物取引業法によってその規定に差があります。そのことについても、説明してまいります。

瑕疵とは?

∟見えない欠陥や不具合のこと

 ∟不動産取引における瑕疵

瑕疵とは、欠陥や不具合を指す言葉です。システム開発等の場面で登場するバグという言葉で言い換えればわかりやすいでしょうか。

不動産取引における瑕疵には、物理的瑕疵と心理的瑕疵があります。

 

物理的瑕疵

  ∟雨漏り、シロアリ、腐蝕、給排水管の故障、建物の傾き など

 物理的瑕疵とは、雨漏り、シロアリ、腐蝕、給排水管の故障、建物の傾きなど土地や建物そのものの欠陥のことをいいます。

 

心理的瑕疵

  ∟事故物件、近隣に反社会勢力の事務所がある、周辺に嫌悪施設がある など

 土地建物そのものの構造躯体等に瑕疵はないものの、過去に自殺者などが発生した事故物件であったり、近隣に反社会勢力の事務所があったりするなど、その不動産を利用することに対して心理的負担、精神的負担を生じさせる要因のことを指します。

瑕疵担保責任とは?

∟売買契約や請負契約で引き渡された目的物について、

権利関係または目的物そのものに瑕疵があった場合に、

売主・請負人が買主・注文者に対して負う責任

 ∟民法と宅地建物取引業法で規定されている

 

瑕疵担保責任とは、売買契約で引き渡された目的物に瑕疵があった場合、売主が買主に対して負う責任のことをいいます。不動産以外の分野でも使われる言葉です。具体的には、以下のような責任が課されます。

 

<瑕疵担保責任の効果>

買主が瑕疵の存在を知らず、契約目的を達することができない時には契約の解除が求められます。契約目的は達成されつつも、契約の解除ができない時には、損害賠償を請求することができます。

 

不動産における瑕疵担保責任は、民法および宅地建物取引業法の2つの法律の規定が適用されます。いずれの瑕疵担保責任も、売主の無過失責任(瑕疵について売主に非がなくても売主が責任を取らなくてはならない)と解釈されています。

民法と宅地建物取引業法における規定の差異

 民法と宅地建物取引業法の規定には差異があり、その内容は以下の通りです。民法のほうが宅地建物取引業法よりも厳しい規定になっています。

 

民法の場合

  ∟買主が瑕疵の事実を知ってから1年以内であれば売主に責任を負わせることができる

 民法には、「瑕疵担保責任における契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない」と定められています。つまり、契約から10年経った時に瑕疵に気づいても、それから1年以内であれば瑕疵担保責任の履行請求ができます。

 

宅地建物取引業法の場合

 ∟建物を引き渡してから2年は売主に責任がある

 宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が、自ら売主となる土地建物の売買契約において、民法の規定よりも買主に不利となる特約はしてはならないとしています。ただし、「土地建物の引き渡しの日から2年以上は瑕疵担保責任を負う」という特約を契約に付加することは有効としています。

 

つまり、民法に基づいた場合、契約から永遠に瑕疵担保責任を請求される可能性がある一方で、宅地建物取引業法では2年以上の期間の中で瑕疵担保責任の履行請求ができる期限を区切っているということになります。

瑕疵担保責任の期間と瑕疵担保責任免責

実務上、瑕疵担保責任の期間はどのように設定しているのでしょうか。個人が土地建物を売買する場合と、不動産事業者が土地建物を売買する場合にわけて考えてみたいと思います。

 

  • 個人が売買する際の期間

 ∟契約書上で、売主が瑕疵担保責任を負う期間を2~3カ月程度に定めるケースが多い

不動産事業者ではなく個人が売買する場合、民法の適用を受けます。一般的には、契約書上で、売主が瑕疵担保責任を負う期間を2~3カ月程度に定めるケースが多いと考えられます。また、瑕疵担保責任を負わないという特約を付加することも可能ですが、売主が瑕疵の存在を知っていたのに説明しなかった場合は、当該特約は無効となります。

 

  • 不動産事業者が売買する際の期間

 ∟宅地建物取引業法の規定により、瑕疵担保責任を負う期間を2年以上に設定する必要がある

 ∟期間を短縮するなど、買主に不利になるような契約をしても法律上は無効になる

不動産事業者が土地建物を売買する場合、民法と宅地建物取引業法の規定、双方が適用されます。瑕疵担保責任を負う期間を2年以上に設定しておけば、民法上の瑕疵担保責任の適用を受けることはありません。ただし、瑕疵担保責任を負う期間を1年とするなど、期間を短縮して設定した場合には民法が適用されます。

 ※宅地建物取引業法の適用を受けるのは不動産事業者が売主となる場合のみです。

瑕疵担保責任免責

∟瑕疵があっても、担保責任を負わないこと

 ∟築年数の古い物件、中古の戸建などに多い

∟民法が適用されるような契約を交わした場合でも、

瑕疵の事実が発覚してから10年経過すれば、瑕疵担保責任は消滅する

瑕疵担保責任の免責を受けられる場合もあります。つまり、土地建物に瑕疵があっても、担保責任を負わなくてもよいケースがあるということです。

 例えば、築年数の古い物件、中古の戸建などに適用されるケースが多いでしょう。不動産事業者でない個人が売主として土地建物の売買契約を交わした場合でも、民法に「債権は、10年間行使しない時は、消滅する。」と規定されていますので、瑕疵が発見されてから10年経過すれば、瑕疵担保責任は消滅します。

中古マンション投資と瑕疵物件のリスク

中古マンションを取得して不動産投資を行う場合、瑕疵物件を取得してしまう可能性があります。そのリスクを回避するための注意点について整理しておきましょう。

中古マンション購入の際の注意点

∟経年劣化による瑕疵を念頭に置く

 ∟特に建物自体や設備の物理的瑕疵

中古マンションを購入する際は、経年劣化による瑕疵があるかもしれないことを念頭に置いて、慎重に取引を進めてください。特に物理的瑕疵の存在には気を配りましょう。建物状況を調査するインスペクション実施の有無を確認し、実施されていない場合には、費用がかかってもインスペクションを実施しておくことも考慮しておきましょう。

契約前に、重要事項説明書の内容を精読

 ∟自分の目で記載事項を確認

 ∟売主の見落としなどがないか、未記載のポイントも同時に確認

  ∟雨漏り、シロアリの害、給排水管の不具合、床や壁の傷・凹み・ヒビ など

 重要事項説明書には、土地建物について様々な情報が記載されています。不動産事業者任せにせず、契約前に自分の目で記載事項をじっくりと確認しておきましょう。特に個人売買の時には、雨漏りやシロアリの害、給排水管の不具合、床や壁の傷・凹み・ヒビなど、内覧の際に気になったことについて、売主の見落としがないか、そして未記載のポイントがないかを慎重に確認をしておくことが重要です。

保険に加入している物件でリスクを回避

 ∟「既存住宅売買かし保険」

 ∟金銭的損失を保険でカバー

 ∟売買された中古住宅に欠陥が見つかると、補修費などに必要な保険金が支払われる

 ※参考:国土交通省「住宅リフォームを支える仕組み 中古住宅売買かし保険」

既存住宅売買かし保険とは、個人間売買される住宅について、売主が保険に加入するものです。売買後に隠れた瑕疵が発見された場合には、保険金が支払われることになります。

既存住宅売買かし保険に加入している物件は、売主が加入する前に検査も経ており、検査機関による保証もあるので安心です。万が一、引き渡しを受けた建物の保険対象部分に瑕疵が見つかった場合は、保険金で修補費用など金銭的損失をカバーすることができます。

 

 ※参考:国土交通省「住宅リフォームを支える仕組み 中古住宅売買かし保険」

 https://goo.gl/1oscjn

瑕疵物件を購入しないために

不動産の売買は多額の費用がかかります。瑕疵物件を購入し、瑕疵担保責任の履行請求ができる期間が終了してから、隠れた瑕疵を発見した場合には、その瑕疵部分の修補にさらに費用負担が生じる可能性があります。そうならないために、中古物件で不動産投資を行う際には、対象物件についての情報をしっかりと収集することが大切です。品質の高い物件を確保するためにも、瑕疵担保責任についての基本的な内容を改めて確認しておくとともに、質の高い情報を提供してくれる不動産事業者を見極める目も重要であることを心得ておきましょう。

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