積算価格の基礎知識と計算方法|収益価格との違いとは?

2018/10/05

不動産投資

物件の売買前に、不動産価格が適正であるかどうかを判断するのに用いられるのが「積算価格」です。積算価格の計算方法の理解は、不動産投資で成功するためには欠かせません。その際、路線価など土地の価格を算出する基準をともに覚える必要があります。

今回は、積算価格の基礎知識や計算方法について、よく似ている「収益価格」との違いにも触れながらご説明します。積算価格を計算できるようになって、より合理的な不動産投資をできるようになりましょう。

「積算価格の基礎知識」

積算価格の基礎知識として、言葉の定義と使われ方についてお伝えします。

積算価格とは

積算価格とは、土地と建物の現状の価値を評価して合算し、土地の形などの事情を考慮しつつ修正を加えた価格を指しています。投資物件を購入したり検討したりする際に、購入候補となっている物件の価格が妥当かどうかを判断するのに用いられます。

積算価格の算出方法は後述しますが、調達したときの原価(再調達原価)を求めて築年数に応じて値段を差し引いて求めます。これを「原価法」と呼び、広く積算価格の算出に用いられています。

積算価格が用いられる主なケース

積算価格は、銀行が融資を行う際に用いられます。銀行が物件の担保価格を算出する際に、この積算価格を利用することが多いです。

物件の価値を推定するのに、物件の耐用年数や構造なども考慮されるケースもあります。しかし、より定量的な形で算出できる積算価格が重視される傾向にあります。

「積算価格の計算方法」

それでは、具体的に積算価格の計算方法を見ていきましょう。土地の価格と建物の価格を求めて積算価格にまとめていく方法を理解してください。

積算価格の計算式

積算価格の計算式は以下の通りです。

 

積算価格=土地の価格+建物の価格+修正額

 

土地と建物の価格は、積算価格を算出するときのものを求めます。仮に建物を建てたときの土地の価格が5,000万円でも、現在4,000万円に値下がりしていたら積算価格にも4,000万円の方を使うのが決まりです。

ちなみに「修正額」とは、土地の形状や周辺環境などに応じて加味する調整分のことです。たとえば、でこぼことした形状の土地であれば減額されるでしょうし、駅近であれば増額される可能性が高いと考えられます。

それでは、土地と建物の価格の求め方をそれぞれ見てみましょう。

土地の価格の算出方法

土地の価格は、「路線価」という価格に土地面積をかけ算して算出します。路線価とは路線に面する宅地面積の1平米あたりの評価額であり、相続税や贈与税を算出する際の基準としても用いられます。路線価は毎年国税庁が発表しているので、いつでも現在の価値を求められるわけです。

土地面積とは、真上から土地を見たときの投影面積を指しています。敷地面積とも呼ばれ、土地の形状によって計算式が変わるケースもあります。

建物の価格の算出方法

建物価格の算出方法はやや複雑で、以下の通りとなっています。

 

建物の価格=再調達価格×延床面積×(法定耐用年数-築年数)÷法定耐用年数

 

「再調達価格」とは、対象物件を新たに建築・購入するために必要な価格を指しています。資材の価格は時期によって変化することがありますし、木造やRC造など構造によって資材の種類や価格は異なります。そのため、再調達価格として現在の建築価格(1平米あたりの単価)を求めるのです。

そして「延床面積」とは建物の各フロアの床面積を合算した面積で、「法定耐用年数」とは法的に定められた減価償却期間の年数です。法定耐用年数は木造で22年、RC造で47年などと構造によって変動するため、築年数との関係を考慮して価格を差し引くようになっています。

「積算価格と収益価格の違い」

積算価格と関わりの深い用語として、「収益価格」が挙げられます。投資判断を下す際には、積算価格と収益価格の双方を把握することが重要です。

収益価格とは

収益価格とは、家賃収入を基に計算された不動産の価格のことです。投資対象となる不動産の現在の価値と、その不動産が将来的に生み出すと想定される純利益の2つを合計して算出します。

こうした収益価格の算出方法を「収益還元法」と呼びます。収益還元法にはさらに直接還元法とDCF(Discounted Cash Flow)法の2つがあります。

直接還元法は、主に1年間の純収益を想定している還元利回りで割り算する計算方法です。たとえば、年間の家賃収入が200万円で経費(管理費・修繕費・租税公課など)が20万円のときに、還元利回りを6%と仮定すると、収益価格は以下の通りに計算されます。

 

収益価格=(200万円-20万円)÷6%=3,000万円

 

一方のDCF法は、想定される保有期間に得られる純収益とその後の売却想定値を合計し、現在価格に割り戻して算出する計算方法です。具体的には、毎年の純利益を現在価格に割り戻したものと、保有満了期間における不動産価格を現在価格に割り戻したものの合計額です。

積算価格と収益価格の違い

積算価格は、物件を再度建てると仮定した場合の費用面に着目した価格です。言い換えれば、自分で建てて使用する場合を考慮した価格となります。これに対して、収益価格は対象の不動産が生み出す収益性に着目した価格です。

つまり、積算価格はコスト、収益価格は収益を重視したアプローチと言えます。価格を求める筋道が異なるため、算出した価格にも乖離が生じるケースがあります。実際の鑑定評価額を決める場合は、両方の方法で計算した後に調整を行うこともあります。

積算価格と収益価格を把握する重要性

不動産投資を行う立場からすると、やはり収益性から物件を選ぶのが一般的でしょう。

しかし、積算価格と収益価格に差が出るケースがあります。そのため積算価格も把握しておくことで、物件の正確な価値をよりつかみやすいと考えられます。また、金融機関の融資額の基になることから、融資の見込みを立てるのにも有用です。用意する頭金の目安が分かります。

「積算価格を使いこなして論理的な不動産投資を」

不動産投資を行う際に直感だけに頼るのは危険です。今回お伝えした積算価格を中心に、投資判断の根拠となる数字の求め方を知っておくことはきわめて重要と言えるでしょう。積算価格や収益価格を使いこなして、主観頼りから一歩抜け出した不動産投資をできるようになりましょう。

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