┃世界でもトップクラスシェアの生命保険
ご家庭を持たれている方であれば殆どの方が何かしらの保険に加入されている場合が多いかと思いますが、日本人はそもそもリスクを嫌う傾向が強くあります。
死亡や病気、怪我、介護状態に陥る等、人生の中のリスクを相互扶助の考え方から補填する仕組みの生命保険。
日本人は生命保険が基本的に大好きです。
世界の中でもこんなに小さな島国で、人口も世界の国々と比べ、そう大きい訳でないにも関わらず、生命保険のマーケットの中でも非常に高い比率のシェアを持っています。
┃バブル期の生命保険効果
バブル期には生命保険は運用の魅力も持っており、定期預金ですら4%からの大きな利息を獲得できる時代だった当時は、保険としてお金を預けるだけでも将来大きく運用され、満期時に十分な利益を受け取ることができました。
場合によっては2倍から3倍と、拠出した金額よりもはるかに大きく資金を膨らませることができたのです。
年金保険に至っては、亡くなるまでずっと年金を受け取り続けることができる商品もありました。
現在では考えられませんが、当時はそれが普通だったのです。
今は年金保険のほとんどが有期の支払いとなっており、10年間しか受け取れないものが殆どです。
この生命保険ですが、ご自宅の購入に次いで二番目に家庭の中で高いコストがかかっていると一般的に言われています。
一家庭平均でも4万円から5万円のコストを割いているのが平均値とされています。
ただし、マイナス金利の時代に突入した現在は運用の魅力は生命保険にはほとんどありません。
一部外債や株式等で運用先を選べる保険も出回っていますので、一概に言えることではありませんが、和製の生命保険会社などは保険の販売により集金された資金の運用先がほとんど日本国債に充てられています。
結果日本国債が1%そこそこの運用利回りである以上、大きな運用効果は得られないのです。
逆に株式や外債などで運用すれば、景気の状況や為替の影響を受け運用がマイナスの効果を生むことも当然リスクとして存在します。
┃現在の生命保険
以前生命保険は、いわゆる生保レディが顧客に対して対面で販売するのが基本でした。
しかし、現在はインターネットから直接購入できたり、インターネット上でも比較検討できたり、店舗を持たず人件費を大きくカットした生命保険会社も登場するなどの業界全体の変革の時期になってきています。
結果生命保険の販売コストの人件費や店舗の維持コストが大幅に削減された割安な商品も登場したことで、競合している生命保険会社がより魅力のある商品をめぐってダンピング合戦を繰り広げており、保障の内容、運用の内容、コストの割安感においてそれぞれしのぎを削る激戦が続いています。
コストが下がり内容が良くなるのは消費者にとってはいいことですが、株式などに直接的に投資して運用するのと比べると、様々なコストがかかる生命保険に運用としての魅力を十分に持たせるのはなかなか難しいようです。
月に4万円、5万円というお金をかけて効果を得るのであれば、このお金を別の方法で運用した場合にどれほどの違いがあり、どれほどの利益になるのかを検討してみたいと思う方も多くなっています。
┃掛け捨てと積立、どっちがいいの?
一般には掛け捨ての保険と、積み立てにより将来かけたお金を満期時に受け取ることができる保険とに分かれます。
どちらの場合も年齢によって掛け金が上がり、月々の負担が増えていきます。
年齢を重ねるごとに、死亡や病気の確率が上がる以上は仕方のないことですが、同様の効果を得るためのコストが上がっていくので、家計としての負担は年齢とともに増えていくのが通常の形になります。
掛け捨ての保険だと保障の金額は大きくなり保険としての効果は高くなりますが、かけたコストは文字通り、掛け捨てられて返ってはきません。
積み立ての場合、保障の内容は手薄感がでますが、将来かけた保険金を運用次第では利益付きで受け取れます。ただし、十分な保険としての効果を得ようとすると月々の支払いはコストが大きくなりすぎるのがデメリットです。
生命保険もライフプランの中で大きな割合でコストをかける以上は、そのプランニングにプロがきちんとアドバイスをしてくれて、自身の予算や目的に合わせてコンサルティングしてもらえるプランナーからの販売が人気を呼んでいます。
いわゆる保険のおばちゃんから「あなたの親も入っているから」と勧められて、内容もよくわからないままに生命保険料だけ払い続けているという人は少なくなってきています。
バブルの時代と比べて余剰資金に限りがある現代は、無駄なコストなど払っている余裕はないのです。
価格、サービス、コンテンツ、安全性、様々な観点から比較され、天秤にかけて評価されることが当たり前になってきている今、大きなコストをかけ続けることになる生命保険の内容は、消費者にとっても将来設計をする上で非常に重要な要素となってきています。
Vol.2に続く。