家賃の特性

2019/07/20

賃貸管理

不動産投資の肝といってもいい家賃収入ですが、これには色々と特性があります。

例えば、新築時は最初の入居者からプレミア家賃が取れ、中古の相場に比べて5,000円~10,000円程度家賃が高く取れる傾向があります。
しかし、次の募集時は中古の相場に合わせて募集することになるため、少し家賃が下がることになります。
これを知らずに、最初の数字だけを見て投資を決めてしまうと後々イメージしていた投資の内容と違いが出てきてしまいます。

 
┃特性①平米数によって坪単価が変わる

まず家賃収入は建物の場所は同じでも平米数や間取りによって、部屋が広ければ広いほど坪当たり、平米当たりの賃料単価は下がっていきます。

例えば、同じロケーションの物件でも、1Rであれば、坪単価12,000円、1LDKであれば、坪単価10,000円、2LDKであれば坪単価9,000円、3LDKであれば坪単価8,000円という具合です。

ということは、平米当たりの単価が高いのは1Rの間取りですから、1平米当たりは1Rの間取りの物件が最も高い家賃があげられることになります。
高い家賃収益を得るのには1Rマンションが広さに対して最も効率がいいという事になります。

逆に一番効率が悪いのは一軒家です。

最も賃料単価が悪く、外装も含め維持コスト、修繕コストが高いので、全体を通じてみると収益には非常になりにくい特性があります。

 

賃貸マンションは契約時に敷金もこの賃料をベースに1か月分等をお預かりします。

結果、退室時の原状回復はこの敷金を元に精算しますので、ワンルームマンションであれば、坪単価12,000円分の資金をお預かりしていることになります。

一方2LDKであれば、原状回復の予算が坪当たり9,000円しかお預かりがないことになりますので、回復に大きなコストがかかる場合、敷金の中で精算しきれない可能性が高くなります。

 
┃特性②賃料の変動が少ない→融資がしやすい

1Rマンションは一般の若いサラリーマンでも支払える金額の家賃であることが多いので、景気不景気にはほとんど左右されません。

家賃が景気によって変動する可能性は。極端に低いのです。

例えリーマンショックで株価が半分になっても10万円の家賃が5万円になることはありません。

逆にアベノミクスで日経平均が倍に値上がっていても家賃は20万円になることはありません。

良くも悪くも景気による変動要素が少ない事が家賃の特徴です。

この変動が少ないという特性が、融資の根拠になります。

高くなることもないが、安くなることもないのであれば、安定して入ってくる家賃収入を根拠に不動産の価値が査定できます。

長期に渡って家賃を得ることを想定した場合に、その不動産にどれくらいの価値があるのか。

家賃をベースに考えるこの不動産の査定方法を収益還元法といいます。

一定の家賃収益から割り戻して不動産の本来の価値を割り出し、その担保価値を査定します。

┃特性③オフィス賃料は経済の影響を受けやすい

家賃はどんな物件でも安定している訳ではありません。

比較的経済の影響を受けやすい物でいうと、オフィスの賃料がそれに当たります。

例えば六本木ヒルズの賃料はリーマンショック前は坪単価60,000円で募集されていました。

それがリーマンショック後の募集賃料は一時期坪単価35,000円になっていた時期があります。

当時は六本木ヒルズの賃料は東京のオフィスの中でも最も高額な賃料設定でした。

こういった割高な賃料は経済ショックの中ではリスクが大きくなるので、不景気の真っただ中でわざわざ高い賃料のオフィスに入ろうとする企業はいなくなります。

こういった物件は空室の期間も長くなる傾向が強くなりますし、賃料も下がりやすい傾向があります。

この様なあぶく銭で回っている派手なエリアのオフィス賃料等は大きな経済ショックがあると賃料が乱高下する傾向があるのです。

マンションでも港区のタワーマンションの高層階で、80平米の3LDK等は賃料が下がりやすい傾向があります。

景気のいいときは45万円の賃料が取れていても、景気が落ち込むと30万円になってしまうこともあります。

そもそも45万円の賃料は一般のサラ所得層のサラリーマンには到底払うことができません。

こういった一部の富裕層の方が対象になる賃貸は、賃料が景気の影響により大きく変動してしまう傾向があります。

 
┃まとめ

平米当たりの単価や、原状回復、変動の少なさ等を考えると、運用するには中古の1Rマンションが最も安定感があり、効率がよいということになります。

そもそも運用に最も適している間取りと規模であるという事ですね。

 

ワンルームマンションもまれに賃料が上がることがあります。

これは新しい駅ができたり、インフラ環境が大きく変わった時などです。

都営大江戸線が開通したり、副都心線が開通した時などは新しい駅の周りで、賃料が5,000円から10,000円程上がったもあ事例もあります。

開発の材料が豊富なエリアだと賃料の値上がりも期待できるという事です。

建物の外観や間取り、設備、そういった直感的に判断できる部分だけではなく、家賃というものの特性を理解できていれば、安定感のある投資ができ、投資判断もしやすくなりますよね。

現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

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