収益に全くならない不動産投資もある

2019/09/02

リスク

私がご相談を受けたお話の内、全く不動産投資として成立していないお話があります。

代表的な失敗事例です。

これは価格が安すぎる、また家賃収入が安すぎて起きている損失の事例です。

損失が出る理由をご説明していきます。

 
┃不動産の価格は250万円!表面利回り12%!

不動産投資ほど安かろう悪かろうという言葉が合う物もないかも知れません。

ご相談者の方は、退職金の一部を使って四国に投資マンションを購入しました。

250万円のワンルームを2件と350万円の物件を1件です。

合計3件のワンルームマンションから得る不動産収入を年金収入とする計画でした。

 

家賃は250万円の物件が1戸当たり月々25,000円表面利回りは12%です。

表面利回りを見て購入を決めたそうです。

しかし、実際はマンションには管理費がかかります。

マンションの管理会社に支払う管理費、修繕積立金です。

これが約10,000円程各戸に月々の支払いが必要です。

さらにマンションの賃貸管理委託に5%家賃に対して管理手数料がかかります。

これが消費税を入れて1,350円ほど。

そうなると家賃は月々手取りで13,650円しか残りません。

これを実質利回りとして換算すると結局実質の利回りは6.5%です。

さらに二年半の期間運用する間にエアコンが壊れ、交換に7万円のお金がかかっています。

半年前に入居者が退室、その際のリフォーム費用が15万円かかりました。

そこから賃貸はついていません。半年間空室が続いています。

この場合果たして実際はいったいいくら収益になったのでしょうか。

実は払った固定資産税を考えると全く収益になっていません。

なんと今管理組合で修繕積立金の値上げの検討もしているとのこと。

さらに収益を圧迫する可能性があります。

 
┃失敗してしまった原因とは?

何故こんなことになってしまうのか。

皆さんはわかりますか?

まず、マンション投資の場合、管理費、修繕積立金は日本中どのマンションでもワンルームなら1万円程度のコストが必ずかかります。

このコストは日本全国どこでマンションを購入してもほとんど同じです。

また、エアコンの修理も全国でコストはさほど変わりません。

内装のリフォーム費用も同様です。むしろ地方の方が高いかも知れません。

例えば都内のマンションで8万円の家賃が取れていれば、全ての管理コストを引いても月々65,000円程の利益が残ります。

例えエアコンが壊れても1ヶ月分の家賃でほぼ回収できてしまいます。

ところがこの四国の物件だとエアコン交換で5ヶ月分の家賃収入を消費してしまいます。

内装費の補填についてはもっと回収に時間がかかってしまいます。

都内であれば場所のいいワンルームマンションが半年も空室が続くこともまずありません。
しかしこの方の場合は空室期間が長く続きかかったコストも回収できていません。

 

「安いからその分リスクが低い」という考えは間違いです。

 

実はこの物件、色々手がかかるので、なんとか手放そうとしたのですが、購入してから2年しか経過していないのにもかかわらず、250万円の購入価格よりさらに下がり、売却価格は150万円が妥当だと言われたそうです。

これでは物件を売って元を取る事すら難しいということになります。

基本的には私の見地からいえば、家賃収入が5万円前後から上の相場でなければ、管理コストや、修繕コストを考えると収益になりにくくなってしまうと考えています。

いくら表面の利回りが高くても結果的に収益にならないのであれば、表面上の利回りにはほとんど意味はありません。

運用している間の管理コスト、修繕コスト、固定資産税、出口の価格、そういった条件が兼ね合わない限りはきちんと収益にならない可能性も十分にあるという事なのです。

 

現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

PAGE TOP