賃貸の退居時の原状回復費用、オーナー負担はどの程度??

2019/10/11

賃貸管理

┃原状回復の負担はオーナー?入居者?
賃貸収入を得ていく上で、入居者はずっと住んでいる訳ではありません。
退居のタイミングがいずれやってきます。
ワンルームマンションは平均で4年~6年で退居しているケースが多くなります。

 

基本的には退居の1ヶ月前までに退去予告が必要になり、その告知が入った後に退去日以降でお部屋の状況を確認の上、原状回復の工事見積りをして精算となります。

 

 

 

この原状回復ですが、オーナー、入居者のどちらの負担で修理やリフォーム、クリーニングをするのかでもめ事になることがあります。

 

 

 

当然双方なるべくお金は払いたくないので、負担がどちらにかかるかでもめるのです。

 

 

 

まず、大前提として賃貸でお部屋を借りる場合、現状回復の義務があります。

 

要は自分が住む前の、元の状態に戻してお部屋を返す義務があるのです。

 

 

 

問題になるのはこの「元の状態」です。

 

どの程度までのことなのか、また、本人の故意、過失による損傷がある場合もあります。

 

それ以外のいわゆる経年劣化に当たる部分との線引きが難しいのです。

 

経年劣化の部分は入居者に責任がないので基本的に修理は交換はオーナー負担となります。

 

この経年劣化はどんな項目が該当するのか。

 

 

 

例えば、天井のクロス(壁紙)は入居者は普通に考えても触ることができません。

 

この天井が長い時間の中で色が変色し、次の入居者の募集をするに当たって、壁紙を貼り換えたいとする場合は、オーナーの負担となります。

 

 ┃東京ルールとは??

 

こういった分かりやすい内容の物であればいいのですが、どちらとも取れない内容の物もあります。

 

こういった紛争を避ける為に、東京都の賃貸紛争防止条例という条例が施されています。

 

これは賃貸需要の高い東京都だけのルールで、別名「東京ルール」と呼ばれています。

 

このガイドラインを使って、お互いにルールの元に負担を振り分けて精算します。

 

 

 

ただし、損傷や汚損部分が明らかに入居者に帰属する事由がある場合。

 

故意、過失にあたる理由が明確な場合は当然入居者の負担で復旧します。

 

 

 

これ以外の部分は東京の物件であれば、東京ルールに乗っ取って精算することになります。

 

この東京ルール、どんな内容になっているかというと、

 

まず、入居の期間によって基本的な負担割合が別れることになります。

 

以下の表をご覧ください。

 

 

 

これは入居後の期間に応じて、オーナーはその貸していた期間の分、礼金収入、毎月の賃料、更新料等の収益があがっている上に、建物の時間が経過した分、普通に使用していても当然部屋は傷みます。

 

結果経年劣化に相当する部分が増えるという事を前提として負担割合がオーナーに寄った割合になっていきます。

 

 

 

最近はさらに住んでいた期間によっては、クロスの精算の単価を1㎡当たり1円で精算するのが基本となっています。

 

こうなると長く住んでいた入居者はクロスの貼り換えについてはほとんど実費負担をしないことになります。

 

 

 

どちらかというと入居者側に有利な内容に変更されているという事です。

 

オーナーはリフォームを入れてまた次の入居者から家賃を取るための準備を、原則としては自己の負担においてすることになります。

 

 

 

しかし逆に、入居して1年で退居した場合は、お部屋が傷んでいたとすれば入居者の使い方に問題がある場合が多いということになるので、早く退居した場合は入居者の負担額が大きくなるように負担割合が設けられています。

 

 
┃原状回復のトラブルを避ける方法とは?

 

最近、私の勤めている会社でも、この原状回復費用をオーナー様から頂く管理手数料の中で、オーナー様の負担ではなく、会社で原状回復費用を負担できるようにできないかと検討しています。

 

そうなると、入退室の際の負担がオーナー様はなくなるので安心して運用できます。

 

月々頂いている賃貸の管理手数料の中で十分に利益があるのであれば、そういったサービスを付帯できる可能性があるという事です。

 

 

 

そもそも、原状回復でもめることが可能性としてあるのは、ほとんどが個人の賃貸借契約です。

 

大手の法人契約は会社が負担するので、まずもめることがありません。

 

そういった意味では、東京の都心5区を中心に、商業価値の高いエリアは法人の社宅契約が割合的に高くなるので、退去時の精算でもめたり、金銭的なトラブルになる確率を大幅に軽減してくれます。

 

郊外の賃料の安い物件の方が、賃貸の入居者属性の質が落ちる為、金銭に関するトラブルが多くなる可能性が高くなります。

 

運用上のリスク、負担額、こういったコストをなるべく抑え、リスクを小さくするには考え方やある程度の予備知識が必要になるということですね。

現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

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