不動産投資をローンを組んで始めるときは、物件費用の約10%の頭金と約5%の諸費用が初期費用としてかかるとされています。初期費用の内訳や抑えるコツをわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産投資を始めるときは、ある程度まとまった費用が必要になります。ローンを組んで不動産を購入する場合であれば、頭金と諸費用で15%程度が目安です。
しかし、金融機関によってローン審査で注目するポイントは異なるため、頭金の金額は個人の属性によっても変動します。年収や勤め先、勤続年数、他のローンの借入状況などによっては、頭金と諸費用で物件価格の5%に抑える事も可能です。
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アパートローンを組んで投資用不動産を購入する場合では、ローン関連費用が必要です。ローンの頭金、手数料、保証料などが初期費用としてかかってくるでしょう。
・ローンの頭金
・ローン手数料
・ローン保証料
アパートローン以外の費用としては、仲介手数料が挙げられます。仲介手数料とは不動産会社が不動産の売買を仲介する場合に請求される手数料のことで、仲介物件中古物件を購入する場合に必要です。一方、売主物件を購入する場合であれば、仲介手数料は基本的には不要となります。
・仲介手数料
また、不動産の売買契約時やローン契約時には各種税金も必要です。主な税金としては、印紙税と登録免許税が挙げられるでしょう。
・印紙税
・登録免許税
・不動産取得税
・固定資産税等の精算費用
不動産投資で初期費用がどの程度必要になるのか、内訳と目安を紹介します。
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ローンを組むときは、頭金が必要になることが一般的です。頭金の割合は物件価格の1割程度が目安となりますが、ローンを組む本人の属性や物件の状態によっても変わります。例えば、5,000万円の投資用不動産を購入する場合であれば、頭金として500万円程度を見積もっておきましょう。
ローン手数料とは、金融機関に支払う手数料です。借入れ額の1~3%程度が目安ですが、金融機関によっては借入れ額に関わらず一律の手数料を求められることがあります。5,000万円の不動産を購入し、ローンで4,000万円を借入れる場合であれば、手数料として40万~120万円程度を見積もっておきましょう。
ローンを組むときは、保証会社の保証をつけることが条件となることが一般的です。保証会社の保証をつけると、万が一、契約者が返済できなくなった場合には、保証会社が契約者に代わって金融機関に返済することになります。
なお、保証会社が代わりに返済した場合には、契約者は保証会社にお金を支払うことになるため、債務が軽減されるわけではありません。しかし、保証会社の保証をつけることで、金融機関は貸したお金を回収しやすくなり、安心して契約者にお金を貸せるようになるというメリットがあります。
保証会社の保証をつけるときには、保証料が必要です。保証料はローンの金利に上乗せされる形で支払うことが多いため、確認しておきましょう。
仲介手数料は、不動産会社に支払う手数料です。基本的には仲介物件のときに発生しますが、売主物件であっても不動産会社が売買を仲介する場合には手数料がかかるので、確認しておきましょう。
仲介手数料は宅地建物取引業法により上限が定められています。
物件価格 | 仲介手数料の上限額(税抜き) |
200万円以下 | 物件価格×5% |
200万円超400万円以下 | 物件価格×4%+2万円 |
400万円超 | 物件価格×3%+6万円 |
例えば、物件価格が5,000万円であれば、仲介手数料の上限は5,000万円×3%+6万円=156万円です。仲介手数料は消費税の課税対象のため、171万6,000円が実質の上限額となります。
印紙税とは、契約書で作成したときに課せられる税金です。契約書に収入印紙を貼付して納めるため、電子契約書として発行されたときには納付する必要はありません。
印紙税の税額は、契約書に記載されている契約金額によって異なります。例えば、1,000万円超5,000万円以下の不動産を売買し、売買契約書を作成した場合であれば、2万円(2024年3月31日までに契約書を作成する場合は1万円)の収入印紙を貼付することが必要です。
また、ローン契約をするときには金銭消費貸借契約書を作成するため、紙として発行するときには印紙税が必要になります。印紙税額は不動産の売買契約書と同じですが、軽減措置はありません。そのため、1,000万円超5,000万円以下のローンを組む場合であれば、時期に関わらず2万円の印紙税が必要となります。
ご融資の対象となる建物に対してそれぞれ「所登録免許税とは、不動産の登記を行うときに課せられる税金です。中古物件を購入するときであれば、土地と建物所有権移転登記」を行うための登録免許税、新築物件を購入する場合であれば、土地に対しては「所有権移転登記」、建物に対しては「所有権保存登記」を行うための登録免許税がかかります。税率は以下のとおりです。
<所有権移転登記>
・土地:課税標準額×0.2%(2023年3月31日までは0.15%)
・建物:課税標準額×2%(2024年3月31日までは0.3%、認定長期優良住宅は0.1%)
<所有権保存登記>
・建物:課税標準額×0.4%(2024年3月31日までは0.15%、認定長期優良住宅は0.1%)
アパートローンを組んで不動産を購入する場合であれば、所有権移転登記や所有権保存登記に加えて「抵当権設定登記」が必要になります。税率は以下のとおりです。
<抵当権設定登記>
・土地:課税標準額×0.4%
・建物:課税標準額×0.4%(2024年3月31日までは0.1%)
登記手続きをするときには、さまざまな書類が必要です。書類や申請書に不備があると法務局から再提出を求められ、さらに時間がかかることになります。手続きが難しいと思うときは、司法書士に依頼できるでしょう。アパートローンを組むときは金融機関側が司法書士を手配することもあります。
司法書士に登記手続きを委託する場合には、報酬が必要です。司法書士によっても異なりますが、物件購入時とローン契約時の手続きをまとめて依頼して10万~15万円程度が相場になります。
不動産取得税は、不動産を購入したタイミングでは納付する必要はありません。しかし、購入して登記手続きを完了すると都道府県から納付書が届くため、納付書に記載されている期日までに納付する必要が生じます。
なお、不動産取得税の納付書が送付されるタイミングは自治体によっても異なりますが、登記手続き後、3~6ヵ月が納付期限となることが多いです。忘れることなく納付するようにしましょう。
不動産取得税額は、土地や家屋(住宅)に対しては課税標準額の3%、住宅以外の家屋に対しては課税標準額の4%です。ただし、2024年3月31日までに限り、宅地に関しては不動産取得税を計算するときの課税標準額が1/2になるため、不動産取得税の税額も半分になります。
固定資産税と都市計画税は、その年の1月1日時点の不動産所有者に課せられる税金です。そのため、不動産を売却して所有権を譲渡したとしても、その年の分の固定資産税・都市計画税を全額納付することになります。
しかし、年初めに不動産を売却したときなどは、ほとんど所有期間がないにもかかわらず1年分の固定資産税・都市計画税を納付することになり、不公平感が生まれる恐れがあるでしょう。不動産を売買するときはこのような不公平感を軽減するために、固定資産税・都市計画税を月額で按分し、精算することが一般的です。
例えば、不動産を10月の初めに購入した場合であれば、売り手が9ヵ月分、買い手が3ヵ月分の固定資産税・都市計画税を負担できるでしょう。すでに売り手が60万円の固定資産税・都市計画税を納付したとすると、買い手は3ヵ月分に相当する15万円(60万円×3/12)を売り手に渡し、税額を精算することができます。
紹介したように不動産投資にはさまざまな費用がかかります。初期費用をあまりかけたくない場合には、次の方法を試してみることができるでしょう。
・ローンの頭金を抑える
・仲介手数料がかからない物件を選ぶ
・価格が低い物件を選ぶ
・経費を確定申告する
それぞれの方法について解説します。
ローンの頭金は物件価格の約1割が目安のため、初期費用でもかなりの割合を占めます。いくつかの金融機関に問い合わせ、頭金の割合を低くできるか相談してみましょう。
頭金を減らすことには、メリットもあればデメリットもあります。以下に紹介するので、ぜひ参考にして減らすほうが良いのか検討してください。
<ローンの頭金を減らすメリット>
・手元にあまりお金がなくても、不動産投資を始められる
・手元のお金を固定資産税などの他の要件に活用できる
<ローンの頭金を減らすデメリット>
・借入れ額が増えるため、利息が増えたり、返済期間が長引いたりすることがある
・ローン審査が厳しくなる恐れがある
法律では仲介手数料の上限額は定められていますが、下限額は特に決まりはありません。仲介手数料を低めに設定している不動産会社を選ぶことでも、初期費用を抑えられるでしょう。
また、不動産会社が売主として販売する物件であれば、仲介手数料は不要です。不動産会社に売主物件がないか問い合わせてみましょう。
そもそもの物件価格が低いと、ローンの頭金なども抑えられ、初期費用も安くなります。ローンで借入れる金額が低くなるため、返済負担も軽減されるでしょう。
また、物件価格が低いときは、課税対象額も少なくなる傾向にあります。そのため、固定資産税や都市計画税、不動産取得税などの各種税額を抑えることにもつながるでしょう。
投資用物件を購入するときには、さまざまな費用が発生します。これらの費用を経費として正しく確定申告することで節税を実現できるでしょう。例えば、次の費用は経費計上が可能です。
・不動産取得税額
・売買契約書・金銭消費貸借契約書の印紙税額
・所有権移転登記などの登録免許税額
・火災保険料、地震保険料
・減価償却費
・物件の修繕費(修繕積立金も含む)
・物件管理委託料
・司法書士などに支払う専門家報酬
・ローンの利息部分
・ローン契約時の手数料
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初期費用なしで不動産投資を始めるためには、物件価格全額を借入れるフルローンを検討する必要があります。しかし、頭金の割合が低くなると審査は厳しくなる傾向にあるため、頭金なしとなるとさらに厳しくなる恐れがあるでしょう。
また、物件価格に加えて初期費用も借入れるオーバーローンも検討できるかもしれません。しかし、ローンで借りる金額が増えると毎月の返済額も多くなるため、キャッシュフローがうまく回らない可能性があります。初期費用を抑えることも大切ですが、無理なく返済できることと運用できることにも注目し、物件価格と借入れ額のバランスを決めるようにしましょう。
マンション投資の成功事例・失敗事例!成功率を高めるコツも紹介
不動産投資を始めるときには、契約時に納める税金や不動産会社に支払う仲介手数料以外にも、ローンを組むときに支払う頭金や手数料、保証料などが初期費用として必要です。
しかし、投資用物件の状態によっては追加で費用がかかったり、翌年以降に税金が発生したりすることがあります。初期費用以外の費用として準備しておきたい項目について見ていきましょう。
物件が古い、あるいは設備などの状態が良くないときは修繕費が必要になります。また、区分マンションであれば毎月の修繕積立金に加えて、大規模修繕の追加費用なども請求されるかもしれません。
なお、大規模修繕とは、マンション全体の修繕工事や改修工事のことです。マンションの状態や管理の方針によっても異なりますが、11~15年に一度実施し、外壁や屋根の塗り直しや張り替え、屋上やバルコニー、エントランスなどの修繕を行います。毎月積み立てている修繕積立金で修繕費全額を支払うことが難しいときには、各戸に追加費用を請求することが一般的です。
不動産の管理を管理会社に委託するときは、管理費用が発生します。管理会社によって費用が異なるだけでなく、管理内容も異なるので比較して選びましょう。管理費用の相場は家賃の5%程度とされていますが、基本的には空室の場合も発生するため、入居率が低い物件を選ぶと管理費用の割合が高くなることがあります。
不動産を取得した翌年からは、固定資産税と都市計画税の納付も必要です。固定資産税と都市計画税はその年の1月1日時点で不動産を所有している場合に納税の義務が生じ、不動産を手放すまで毎年納付しなくてはいけません。
固定資産税額は課税標準額に対して1.4%(建物に関しては課税台帳に記載されている金額に対して1.4%)、都市計画税額は課税標準額に対して0.3%(同0.3%)です。ただし小規模住宅用地の特例措置が適用されると、土地に関しては固定資産税額は1/6、都市計画税額は1/3に減額されます。
なお、小規模住宅用地の特例措置は200㎡以下の住宅用地に適用される減税措置です。小規模住宅用地の特例措置が適用されない住宅用地に関しては、固定資産税額は1/3、都市計画税額は2/3に減額されます。
物件の設備が故障したときは、オーナーが修繕費用を負担することになります。例えば、エアコンや給湯器が故障したときなどは、修繕費用をオーナーが負担して、不便なく入居者が使用できる状態にすることが必要です。
ただし、管理会社に管理を委託する場合には、設備の修繕費用が管理費に含まれていることや、設備保証期間を設けていることもあります。保証内容にも注目して、管理会社を選ぶようにしましょう。
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不動産投資にはさまざまな費用がかかります。ある程度まとまった初期費用もかかるため、まずは不動産投資について学び、正しい知識を習得してから始めるようにしましょう。
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執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
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【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)