マンション投資で節税できる!仕組みや節税額を増やすコツについて解説

公開日:2022/10/06 最終更新日:2022/11/09

不動産投資
記事監修:室田雄飛

マンション投資は、収益を期待できるだけでなく節税に役立てることもできます。実際にどのような仕組みで節税できるのか解説するので、ぜひ参考にしてください。また、節税額を増やす方法についても解説します。

マンション投資で節税する基本の仕組み

マンション投資は収益を上げるためにも実施できますが、節税目的で実施することもできます。マンション投資で節税する基本の仕組みは以下のとおりです。

 1.投資用マンションを購入し、減価償却費を経費計上する
 2.経費計上した金額が収益を上回り、赤字になる
 3.赤字分を給与所得と合算(損益通算)し、課税所得額を減らす

課税所得額が減ると、課税所得額をもとに算出する所得税や住民税も減ります。赤字が大きくなると、さらに節税効果が高まるでしょう。

なお、減価償却とは、不動産などの資産の価格を耐用年数に分けて経費として計上することです。このとき帳簿に計上する勘定科目が「減価償却費」となります。例えば、木造モルタル造の住宅であれば法定耐用年数は20年のため、新築で購入した場合であれば20年に分けて経費計上可能です。1億円で購入し、毎年同額を経費計上するのであれば、1年あたりの減価償却費は500万円(1億円÷20年)となります。

なお、法定耐用年数は、建物の構造や目的によって定められている耐用年数です。新築物件であれば法定耐用年数で減価償却費を計算しますが、中古物件の場合は以下の計算で耐用年数を求め、減価償却費を算出します。

・法定耐用年数の全部を経過した建物:法定耐用年数×0.2
・法定耐用年数の一部を経過した建物:法定耐用年数-経過年数×0.8

※1年未満の端数に関しては切り捨てる
※算出した年数が2年未満のときは2年とする

例えば、築25年の木骨モルタル造の建物であれば、耐用年数は4年(20年×0.2)です。3,000万円で購入し、毎年同額を減価償却する場合は1年につき750万円(3,000万円÷4)を減価償却費として経費計上できます。

また、築15年の木骨モルタル造の建物であれば、耐用年数は8年(20年-15年×0.8)です。3,000万円で購入し、毎年同額を減価償却する場合は、1年につき375万円(3,000万円÷8)を減価償却費として経費計上できます。

減価償却については下記の記事でも詳しく説明しています。

マンションの減価償却とは?計算方法や確定申告のポイントについてご紹介

マンション投資の経費

マンション投資において経費として計上できるのは減価償却費だけではありません。次の費用も適切に経費計上し、節税につなげることができます。

・固定資産税額、都市計画税額
・登録免許税額
・火災保険料、地震保険料
・修繕費(修繕積立金も含む)
・物件取得時に組んだローンの利息
・管理会社に支払う管理費
・司法書士や税理士に支払う専門家報酬
入居者募集などにかかる宣伝広告費

確定申告しないと節税できない

一般的に給与所得者は確定申告の必要がありませんが、給与所得以外に20万円以上の所得がある方や、医療費控除や住宅ローン控除などの各種控除の適用を受ける方などは確定申告をします。

また、マンション投資で節税するためには、確定申告が必要です。利益があったときだけでなく多額の経費がかかり赤字になったときも、確定申告をすることで給与所得と損益通算ができ、課税所得額を減らすことができます。経費として計上できるものはすべて記録し、正しく確定申告をするようにしましょう。

なお、ある年の1月1日~12月31日までに発生した利益や経費に関しては、翌年まとめて確定申告をします。確定申告の時期は基本的には2月16日~3月15日ですが、最終日が土日祝日に重なるときなどはスケジュールが変わることもあるため注意が必要です。その年の時期については、国税庁のホームページなどで確認しておきましょう。

出典元:国税庁「所得税の確定申告」

マンション投資で節税しやすい人とは?

マンション投資により減価償却費などの経費を計上すれば、誰もが節税できるというわけではありません。また、節税を実現できたとしても節税額が少なすぎるときは、マンション購入や管理にかかる手間や時間に見合わないと感じるでしょう。

次のいずれかの条件に合う場合は、マンション投資で節税しやすいと考えられます。

・課税所得額が900万円以上の人
・所得税額が多い人
正しく確定申告する人

それぞれの条件に合う人が節税しやすい理由について見ていきましょう。

課税所得額が900万円以上の人

所得税は累進課税のため、課税所得額が増えると所得税率も高くなる仕組みです。マンション投資によって生じた赤字と損益通算をすることで課税対象外が減ると、より低率の所得税率が適用される可能性があり、節税しやすくなるでしょう。

特に課税所得額が900万円以上の方は所得税率が33%以上と高く、不動産を売却したときに生じる所得税率(譲渡所得税率)である15%や30%を上回る税率が適用されています。マンション投資による節税も効果が出やすいと判断できるでしょう。

所得税の税率について

所得税の税率は以下のとおりです。

課税所得額 所得税率 控除額
1,000円以上195万円未満 5% 0円
195万円以上330万円未満 10% 9万7,500円
330万円以上695万円未満 20% 42万7,500円
695万円以上900万円未満 23% 63万6,000円
900万円以上1,800万円未満 33% 153万6,000円
1,800万円以上4,000万円未満 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

例えば課税所得額が800万円であれば、以下の式により所得税額は120万4,000円と算出できます。なお、2037年までの所得に関しては、所得税額の2.1%に相当する金額を復興特別所得税として申告・納付しましょう。

 ・800万円×23%-63万6,000円=120万4,000円

所得税額が多い人

所得税額が多い方は、マンション投資によって生じた赤字を損益通算することで課税所得額を減らし、所得税額を下げることが可能です。課税所得額が900万円以上でなくても所得税額が負担に感じる方は、マンション投資を活用した節税を検討できます。

正しく確定申告する人

マンション投資による節税は、正しく確定申告しないと実現できません。計上できる経費が多いと節税額も多くなる可能性があるため、領収書を適切に保管し、帳簿をこまめにつける必要があります。

マンション投資を手広く手掛けている場合などは、確定申告の手続きを税理士に任せることも検討できるでしょう。ただし、税理士に手続きを依頼する場合でも、領収書を適切に保管することは必要です。正しく保管し、節税につなげていきましょう。

マンション投資で節税に失敗するケース

マンション投資に取り組んでも、必ずしも節税できるわけではありません。例えば、節税目的で利益が出ない物件を買ったものの、海外赴任になったとしましょう。マンションの管理自体は管理会社に任せることができますが、海外勤務で得た給与所得は不動産所得と損益通算できないため、節税につなげられない可能性があります。

また、物件によっては法定耐用年数が長く、1年あたりの減価償却費が少なくなり、赤字額が予想したよりも少ないケースもあるでしょう。例えば、鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年です。新築で購入して毎年同額を減価償却する場合であれば、1年あたりの減価償却費は物件価格の1/47となり、多額を経費計上できなくなります。

節税に活かせる他の方法

マンション投資を活用した節税の方法は、減価償却費による損益通算だけではありません。相続税や贈与税の節税に活かす方法を紹介します。

相続税の節税に活かす

例えば1億円の財産を現金で保有している場合、そのまま相続すると1億円が課税対象額となります。しかし、1億円でマンションを購入し、不動産として相続すると、実際の売買価格の8割程度、この場合であれば8,000万円が相続税評価額となり、相続税を節税することが可能です。

贈与税の節税に活かす

贈与税の計算も、相続税評価額をもとに行います。そのため、現金で贈与するよりも贈与税額が少なくなるでしょう。

なお、1年間に贈与を受けた金額を合計し、110万円を差し引いて贈与税の課税対象額を算出します。贈与したマンションの相続税評価額が3,000万円であれば、2,890万円が課税対象額です。

節税に適したマンションとは?

節税目的でマンション投資を始める場合は、節税に適したマンションを選ぶことが必要です。次の3つのポイントに注目し、節税しやすいマンションを選びましょう。

・木造物件
・中古築古物件
売れやすい物件

それぞれの物件がなぜ節税に適しているのかについて解説します。

木造物件を選ぶ

建物の構造や目的ごとに法定耐用年数が定められています。法定耐用年数が短いと1年あたりの減価償却費が高くなり、より赤字が生じやすく、節税につなげやすいでしょう。主な建物の耐用年数は以下のとおりです。

建物の構造(目的) 法定耐用年数
木造                                                  (事務所用)

                                                    (店舗用、住宅用)

                                                    (飲食店用)

24年

22年

20年

木骨モルタル造                                     (事務所用)

                                            (店舗用、住宅用)

                                            (飲食店用)

22年

20年

19年

鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造(事務所用)

                     (店舗用、住宅用)

                     (飲食店用)

50年

47年

34年(※)

※延べ面積に占める木造内装部分の面積が30%を超える場合。その他の場合は41年

出典:国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」

法定耐用年数の短さで物件を選ぶなら、木造や木骨モルタル造が適しています。鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造では1年間当たりの減価償却費が少なくなるため、節税効果も少なくなる可能性があるでしょう。

中古築古物件を選ぶ

築年数が古い物件であれば価格が低くなるため、物件取得費を抑えることができます。また、中古物件は耐用年数が短くなるため、減価償却費を増やせることができ、節税につなげることが可能です。

例えば、木骨モルタル造の新築アパートを1億円で購入し、毎年同額を減価償却する場合であれば、1年間の減価償却費は500万円となります。しかし、築25年の木骨モルタル造のアパートを5,000万円で購入し、毎年同額を減価償却する場合であれば、1年間の減価償却費は1,250万円です。物件取得費を抑えつつ、減価償却費を増やせるので、より効率よく節税につなげられるでしょう。

売れやすい物件を選ぶ

マンションを長期間保有していると、修繕費がかさむようになるだけでなく、入居者が入りにくくなり、収益性が下がることがあります。人気のエリアにある、駅から近いなどの売れやすい物件であれば、売りたいときに売ることができ、収益の上がらない物件を所有し続けることにはなりにくいでしょう。

また、物件を購入してすぐのときは減価償却による節税効果を得やすいですが、耐用年数を過ぎると減価償却費がなくなり、節税効果も薄まります。売れやすい物件であれば、節税効果が薄れてきたときに売却できるため、別の節税効果の高い物件に買い換えることも可能です。

節税額を増やすコツ

マンション投資による節税額を増やすコツとしては、次の5つが挙げられます。

・経費を適切に申告する
・青色申告をする
専従者給与を支払う
5年以下では売却しない
期限内に確定申告をする

なお、節税だけにとらわれないことも大切なポイントです。不動産投資の目的は、あくまでも将来の収益獲得や資産形成にあります。節税を主目的とした不動産投資は、本末転倒といわざるをえません。しっかりと資産を構築できるような運用を心がけていきましょう。

経費を適切に申告する

減価償却費以外にも、さまざまな経費があります。経費が多いと課税所得額を減らすことができ、より節税効果を高めることができるでしょう。

なお、経費を使うだけでは節税はできません。適切に申告して初めて節税につなげることができるため、すべての経費を正しく帳簿に記載し、申告するようにしましょう。

青色申告をする

青色申告承認申請書を提出し、複式簿記で帳簿を作成することで、最大65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。控除額が増えると課税所得額を減らすことができ、より大きな節税効果につなげられるでしょう。

専従者給与を支払う

青色申告をしている場合には、家族に支払った給与を「専従者給与」として経費計上することが可能です。経費が増えると控除額が増え、さらに大きな節税効果につながります。

5年以下では売却しない

マンションを売却するときは、所有していた期間によって売却益に適用される税率が異なります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているときは「長期譲渡所得」とみなされ、所得税率は15%、住民税率は5%です。

一方、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下のときは「短期譲渡所得」とみなされ、所得税率が30%、住民税率は9%と、ほぼ2倍の高税率が適用されます。売却益が生じそうなときは、5年を超えてから売却するほうが良いでしょう。

期限内に確定申告をする

確定申告の時期は基本的には2月16日~3月15日と定められています。年によって異なることもあるため、国税庁のホームページなどで確認し、正しい期限内に申告・納税を行うようにしましょう。期限を過ぎて確定申告・納税を行うと延滞税が発生し、税額が増えることがあるので注意が必要です。

不動産投資による節税の副次効果

不動産投資によって節税をすることで、次の副次効果を得られることがあります。

・児童手当の増額
・扶養控除の復活

ただし、家族構成や不動産投資をしていない状態での年収などによっては、副次効果を見込めない場合があります。それぞれどのようなケースで期待できるのか見ていきましょう。

児童手当の増額

児童手当は、課税所得額と対象となる児童の年齢・人数によって支給額が決まります。マンション投資で課税所得額を減らすことで、児童手当の支給対象外だった世帯も支給できる可能性があるでしょう。

出典元:内閣府「児童手当制度のご案内」

配偶者控除の復活

配偶者控除は配偶者の所得が一定以下で、なおかつ本人の所得が1,000万円以下のときに適用される控除制度です。マンション投資により課税所得額を減らすことで、配偶者控除が復活、あるいは控除額が増えることもあります。

出典元:国税庁「No.1191 配偶者控除」

マンション投資について学ぼう

マンション投資により収益増を期待することもできますが、節税目的で取り組むこともできます。節税効果を上げやすい物件を選び、正しく経費を計上することで、節税を実現していきましょう。

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監修者

室田雄飛

J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長

J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0

【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ

執筆者

染谷重幸

大学在学中に家庭教師のアルバイトをきっかけにデイトレーダーへ転身。24歳で資産運用法人を設立する。25歳から大手投資用マンションディベロッパーと業務提携後、およそ6年間にわたり資産運用アドバイザーとして活躍。その後、大手不動産仕入れ会社で販売統括責任者として従来の投資用物件の流通システムを革新するプロジェクトを立ち上げる。国内最大規模の投資イベント「資産運用EXPO」で登壇実績があり、同業他社からも多くの見学者が立ち見の列を作った。2020年にJ.P.RETURNSに参画。オンラインでの商談やWEBセミナーを導入し、コロナ禍でも年間300件以上の顧客相談を担当している。

【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)

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