【不動産投資】減価償却についての理解を深めると節税できる!

公開日:2022/10/24 最終更新日:2022/11/09

不動産投資
記事監修:室田雄飛

不動産投資を始めるにあたって、減価償却について理解しておくことが大切です。減価償却とはそもそも何か、どのように計算できるのかについてまとめました。また、減価償却で節税額を増やす仕組みや注意点についても解説します。

不動産投資の減価償却とは?

資産価値が年数とともに低下するものに対しては、減価償却が行われます。減価償却とは劣化に従って下がった資産の価値を表現する考え方で、減価償却費として経費に計上することで節税につなげることも可能です。

例えば、建物や車などの資産は年数が経過することで価値が徐々に下がります。下がった分の価値を減価償却費として計上し、何年かに分けて全額を費用として処理します。

減価償却費は法定耐用年数で決まる

資産価値が年数とともに低下する資産に関しては、取得にかかった費用を法定耐用年数をかけて減価償却を行います。法定耐用年数とは法律で定められた耐用年数のことです。

例えば、木造モルタル造の住宅の法定耐用年数は20年です。建物の取得に1,000万円かかったのであれば、1,000万円を20年かけて減価償却していきます。

なお、減価償却の方法は後述しますが、まず簡単に計算できる定額法を紹介します。定額法は、毎年同額ずつ減価償却費を計上する方法です。木造モルタル造の住宅を定額法で減価償却する場合であれば、毎年の減価償却費は1,000万円÷20年=50万円となります。

中古物件の耐用年数の求め方

中古資産の耐用年数は以下の計算式で求めます。

・法定耐用年数を経過していないとき:法定耐用年数-0.8×経過年数※
・法定耐用年数を経過しているとき:法定耐用年数×0.2

※算出した年数に1年未満の端数があるときは切り捨てます。また、算出した年数が2年未満のときは2年とします。

例えば、木造モルタル造の築15年の住宅を購入したとしましょう。耐用年数は20年-0.8×15年=8年です。購入に1,000万円かかった場合、定額法で計算すると1年あたりの減価償却費は1,000万円÷8年=125万円となります。

次に法定耐用年数を経過している場合について考えてみましょう。例えば、木造モルタル造の築25年の住宅を購入した場合であれば、耐用年数は20年×0.2=4年です。1,000万円で購入した物件なら、定額法で1年間に250万円ずつ減価償却できます。

マンションの減価償却については、次の記事で詳しく解説しています。計算方法から確定申告の方法まで紹介しているので、ぜひご覧ください。

マンションの減価償却とは?計算方法や確定申告のポイントについてご紹介

減価償却費の計算方法

減価償却を計算する方法としては、紹介した定額法以外にも、定率法と簡便法があります。定額法は毎年同額ずつ減価償却する方法ですが、定率法は最初のうちは減価償却する金額が大きく、年数とともに徐々に減価償却費が減る方法です。

個人事業主が減価償却をするときは、原則として定額法を利用します。ただし、定率法のほうが良いと思われるときは、所轄の税務署に申請書類を提出することで変更することが可能です。

法人は定率法を利用しますが、建物や建物附属設備、構築物などに関しては法人・個人事業主を問わず定額法で減価償却費を求めます。ただし、この場合も税務署に申請書類を提出することで、定率法に変えられることがあります。

定額法

定額法はシンプルな減価償却費の計算方法です。原則として個人事業主は定額法で減価償却費を求めるので、計算方法も理解しておきましょう。

・1年間の減価償却費=取得価額÷耐用年数

例えば、鉄筋コンクリート造の住宅の法定耐用年数は47年です。新築の状態で4,700万円で購入したのであれば、1年間の減価償却費は4,700万円÷47年=100万円となります。

また、築20年の鉄筋コンクリート造の住宅であれば、耐用年数は47年-0.8×20年=31年です。3,000万円で購入したのであれば、1年間の減価償却費は3,000万円÷31年=96万7,742円※となります。

※減価償却の計算で小数点以下が生じるときは切り上げます。

定率法

定率法は、年ごとに減価償却費が下がる計算方法です。次の計算式で1年間の減価償却費を計算できます。

・1年間の減価償却費=(取得価額-これまでに償却した金額)×定率法償却率

例えば、木造モルタル造の住宅の法定耐用年数は20年です。耐用年数が20年のときの定率法償却率は0.125なので、この住宅を購入するのに1,000万円かかっていたのであれば、最初の年の減価償却費は1,000万円×0.125=125万円となります。2年目は(1,000万円-125万円)×0.125=109万3,750円となり、1年目よりも減価償却費が減ります。

なお、定率法では保証率も反映しなくてはいけません。保証率とは年間の最低減価償却費のことで、耐用年数が20年のときは0.02517と定められています。物件購入費に1,000万円かかっていたのであれば最低減価償却費は25万1,700円です。そのため、もし定率法で減価償却費を計算し、25万1,700円を下回ったときは25万1,700円がその年の減価償却費となります。

簡便法

簡便法とは中古資産の減価償却費を計算するときに、耐用年数を求める計算方法のことです。

・法定耐用年数を経過していないとき:法定耐用年数-0.8×経過年数※
・法定耐用年数を経過しているとき:法定耐用年数×0.2

※算出した年数に1年未満の端数があるときは切り捨てます。また、算出した年数が2年未満のときは2年とします。

つまり、個人事業主が中古資産の減価償却費を計算するときは、簡便法で耐用年数を求め、算出した耐用年数をベースに定額法で減価償却費を求めます。不動産投資は中古物件を購入して始めることも多いため、3つの計算方法のなかでも特に定額法と簡便法は理解しておきましょう。

減価償却により節税する仕組み

不動産投資を始めるときには、まずは家賃収入を得られる不動産を購入しなくてはいけません。通常、不動産は価格が高く大きな支出となりますが、この購入時に発生した金額を減価償却することで節税に活用できることもあります。

不動産投資の減価償却で節税する仕組みは、大きく次の2つに分けられます。

・減価償却費を経費計上する
・損益通算を利用する

それぞれの仕組みについて見ていきましょう。

減価償却費は経費計上できる

不動産投資にかかった費用は「経費」として計上できます。例えば、経費として計上できる費用として、火災保険料や管理会社に支払う管理委託料、税理士に支払う報酬などが挙げられるでしょう。経費が増えるとその分、課税所得額が減るため、所得税額なども減らすことができます。経費としてかかった費用は忘れずに計上し、課税所得額の減額に活用しましょう。

ただし、これらの経費はいずれも実際の出費を伴うため、経費とすることで節税はできるものの、その分、現金も減ってしまいます。しかし、減価償却費は不動産を購入した初年度を除き実際の出費を伴いません。そのため、現金を減らさずに節税することが可能です。

償却期間に注意

例えば、木造モルタル造の新築住宅を2,000万円で購入し、年に100万円ずつ減価償却したとします。経費として計上できる金額が100万円増えるため、大幅な節税を実現できるでしょう。

しかし、毎年100万円の減価償却費を計上できるわけではありません。木造モルタル造の新築住宅であれば法定耐用年数は20年のため、20年の償却期間が終わると経費計上できず、家賃収入に変動がないのであれば課税所得額が100万円増えることになります。

損益通算により所得税などを節税できる

給与所得があり、副業として不動産投資をしている場合であれば、損益通算が利用できることがあります。損益通算とは所得と赤字を通算して課税所得額を減額する仕組みのことです。

例えば、給与所得による課税所得額が1,000万円の方が不動産投資を行い、300万円の赤字が生じたとしましょう。損益通算すると課税所得額が700万円になるため、過払い分の所得税などが後日還付されます。

実際には不動産投資で赤字が生じていなくても、減価償却費などの経費が多いときは帳簿上は赤字にすることが可能です。なお、損益通算をするためには、不動産投資による利益や経費などを正しく確定申告することが必要となります。忘れずに確定申告を行い、節税を実現しましょう。

マンション投資で節税できる!仕組みや節税額を増やすコツについて解説

不動産投資で節税効果を高めるコツ

不動産投資により収入を増やすことも大切ですが、節税を意識し、節税効果が高まるように工夫することも大切です。不動産投資による節税効果を高めるコツとしては、次の3つが挙げられます。

・木造物件を選ぶ
・中古物件を選ぶ
・不動産を長期間所有してから売却する

それぞれ何に注意することで節税効果が高まるのか見ていきましょう。

木造物件を選ぶ

同じ価格であれば耐用年数が短い物件を選ぶと、1年あたりの減価償却費を増やすことができます。減価償却費が増えれば課税所得額が減り、所得税や住民税などを節税できるでしょう。

例えば、木造モルタル造の住宅の法定耐用年数は20年、木造住宅は22年、鉄筋コンクリート造の住宅は47年です。購入時にかかる費用が同額であれば、1年あたりの減価償却費は木造住宅がもっとも多く、節税効果も高くなります。

中古物件を選ぶ

中古物件の耐用年数は法定耐用年数よりも短いため、1年あたりの減価償却費が多くなる傾向にあります。

例えば、新築木造モルタル造の住宅の購入にかかる費用が5,000万円、築15年の木造住宅の購入にかかる費用が3,000万円としましょう。新築物件の減価償却費は定額法で求めると1年あたり250万円です。

・1年あたりの減価償却費:5,000万円÷20年=250万円

一方、中古物件の減価償却費は、以下の計算式により1年あたり375万円となります。

・耐用年数:20年-0.8×15年=8年
・1年あたりの減価償却費:3,000万円÷8年=375万円

なお、築年数が古いと耐用年数が短くなり、減価償却費を増やしやすくなります。しかし、あまりにも古いと修繕費がかかったり入居率が低くなったりするため、節税効果は高くとも収益が上げにくくなる点に注意しましょう。

不動産を長期間所有してから売却する

不動産投資は出口戦略を考えてから手掛ける必要があります。出口戦略とは主に売却のことです。物件があまりにも古くなると修繕費用がかさみ、入居率も下がることがあるため、頃合いを見て手放すほうが良いこともあります。

なお、物件を手放すときは譲渡所得に注意が必要です。譲渡所得とは、物件売却により得た金額から物件購入にかかった費用を差し引いた金額を指します。建物自体は築年数が古くなったことで価値が下がっていることが多いのですが、地価が上昇して譲渡所得がプラスになることも少なくありません。

譲渡所得があるときは、譲渡所得税が課せられます。物件を所有していた期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられますが、短期譲渡所得の税率は長期譲渡所得税率のおおよそ2倍になる点に注意しましょう。

所有期間 税率
長期譲渡所得 譲渡した年の1月1日時点において5年超 所得税:15%

復興特別所得税:0.315%

住民税:5%

短期譲渡所得 譲渡した年の1月1日時点において5年以下 所得税:30%

復興特別所得税:0.63%

住民税:9%

譲渡所得が課税対象となりそうなときは、売却する年の1月1日時点で所有期間が5年超になるように時期を調整することで節税することができます。周辺の地価が上昇しているときなどはより一層注意をするようにしましょう。

不動産売却の流れを6ステップで解説!収益物件を売却するコツも紹介

減価償却をする際の注意点

不動産投資を上手に活用することで節税することが可能です。節税のためにも、減価償却について正しく理解し、適切に帳簿をつけることは欠かせません。減価償却に関して注意したい点として、次の4つが挙げられます。

・必ずしも節税できるとは限らない
・節税するには確定申告が必要
・減価償却費により譲渡所得税額が増えることがある
設備の減価償却費にも注目しよう

それぞれのポイントについて解説します。

必ずしも節税できるとは限らない

減価償却によって赤字が生じた場合、給与所得などと損益通算することで所得税などの節税が可能です。しかし、元々給与所得による課税所得額が少ない場合は、節税効果も少なくなってしまいます。

本来、不動産投資は利益を目指す行為です。節税も大切ですが、利益をきちんと上げられるように運営していきましょう。

節税するには確定申告が必要

減価償却によって節税するためには、減価償却費を経費計上し、確定申告することが不可欠です。また、譲渡所得が生じたときも確定申告は欠かせません。不動産投資による収益や経費などは、すべて確定申告の期間内に正しく申告をするようにしましょう。

不動産所得の確定申告│正しく納税するために覚えておきたいポイント

減価償却費により譲渡所得税額が増えることがある

減価償却を行うことで年々建物の資産価値は下がります。その分、建物を売却したときの売却益は増えるため、譲渡所得が増えて譲渡所得税額も増えることがあるので注意が必要です。譲渡所得が増えた場合に備えるためにも、6年以上は所有してから売却するほうが良いでしょう。

設備の減価償却費にも注目しよう

減価償却できるのは建物だけではありません。建物に付随する設備、例えば、ガス設備や給排水設備、照明などの電気設備、冷暖房などの空調設備などにかかった費用も減価償却し、減価償却費として経費計上することができます。

設備についても減価償却することで、減価償却費を増やし、より一層の節税を実現することが可能です。また、設備を買い換えたときは再度減価償却できるので、減価償却費を増やし、なおかつ償却期間を長くすることもできます。

減価償却も考慮して不動産投資を始めよう

不動産投資を行うときは、減価償却を利用した節税にも注目しましょう。減価償却費を正しく経費計上することで、課税所得額を減らし、所得税などを減らすことができます。

減価償却費を増やすためには、不動産の選び方にも注意が必要です。例えば、木造かつ中古住宅を選ぶと耐用年数が短くなるため、1年間あたりの減価償却費を増やせるでしょう。

また、不動産投資は出口戦略を立ててから始める必要がありますが、不動産を売却するときも節税を意識することで、より一層手元に残る利益を増やせます。1月1日時点での所有期間が5年以下のタイミングで売却すると、短期譲渡所得とみなされ、長期譲渡所得に比べて約2倍もの税金が発生することがあるので注意しましょう。

不動産投資について、また、不動産投資による節税についてお悩みの方は、ぜひJ.P.RETURNSにご相談ください。無料で視聴できる動画セミナーもご用意しておりますので、是非ご利用ください。

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監修者

室田雄飛

J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長

J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0

【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ

執筆者

島倉啓

新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。

【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)

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