不動産投資は、安定的な収入が期待できる点や年金対策になりうる点がメリットです。ただし、変動リスクや滞納リスクといったさまざまなリスクも存在します。
メリットを享受しながら不動産投資するために、注意点や節税との関連性も確認しておきましょう。
目次
不動産投資とは、購入した不動産を第三者に貸し出し、受け取る家賃で収益を得る投資のことです。株式投資やFXが一般的にハイリスク・ハイリターンであるのに対し、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンに位置づけられています。
不動産投資で期待できる利益は、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類です。具体的に不動産投資におけるインカムゲインとして、家賃収入が挙げられます。一方、キャピタルゲインの具体例は、購入時より高い価格で不動産を売却した際の利益です。
ここから、不動産投資の種類と流れについてさらに詳しく確認していきましょう。
不動産投資は、主に以下の5種類です。
● ワンルーム投資
● 一棟投資
● 戸建て投資
● J-REIT
● 駐車場・駐輪場投資
ワンルーム投資とは、分譲マンションの一室を購入して第三者に貸し出して家賃収入を得る投資です。メリットとして、他の不動産投資と比べると手頃な金額で始められる点が挙げられます。
一棟投資とは、アパートやマンションを一棟まるごと所有して賃貸経営する投資です。初期費用が高くつく分、大きな収益が期待できます。
戸建て投資とは、戸建て住宅を購入後に第三者に貸し出して家賃収入を得る投資です。ワンルーム投資と比べて維持費用はかかる分、入居者に長く住んでもらえる傾向があります。
J-REITとは、投資家から集めた資金で複数の不動産を購入し、得た賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品のことです。単独で不動産を購入する形式ではないため、数万円単位からでも投資できます。
駐車場投資・駐輪場投資は、所有する土地を駐車場や駐輪場に整備し、利用者から料金を得る投資です。建物を建てる形式でないため、年数を経ても賃料が低下しにくいです。
なお、ここで挙げた5種類以外に一棟ビルやトランクルーム、民泊などが投資先として選ばれるケースもあります。
種類によっても異なりますが、基本的に不動産投資は以下の流れで進めていきます。
1. 予算にあわせた物件条件を検討していく
2. 不動産投資のサポートをする不動産会社を選定する
3. 物件の現地調査を重ね、候補を絞っていく
4. 物件が決まったら、売主と金額面や条件面を交渉する
5. 交渉が成立したら、売買契約を締結し、手付金を支払う
6. ローンを利用する場合、金融機関に審査を申し込む
7. ローン審査で承認がおりたら、金融機関と金銭消費貸借契約を締結する
8. 融資実行後、売主に残り代金を支払い、物件の引き渡しを受ける
9. 物件を管理する賃貸管理会社を選定する
1では、どれくらいの規模を狙うか、どの辺の立地を目指すかなどが物件条件の切り口に挙げられます。また、2で不動産会社を選定する際は、評判や実績に注目するようにしましょう。
3で候補を絞る際には、現地周辺の環境や外観、共有スペースを確認することがポイントです。4で上手く売買価格を値引きしてもらえれば、利回りが向上します。5で支払う手付金は、売買代金の5〜20%が一般的です。
不動産投資ローンを利用する場合、6や7の手続きも経なければなりません。住宅ローンと比べて審査期間を要することが一般的のため、審査結果が出るまでに2〜4週間かかる可能性も想定しておきましょう。
8のタイミングにあわせ、登記手続きも必要です。スムーズに手続きを進めるために、司法書士への依頼も検討しておいてください。
9で選定する賃貸管理会社とは、物件の管理に加えて入居者の管理や家賃の集金も担う会社です。トラブル対処の役割も果たすため、対応が早い会社かをチェックしておきましょう。
不動産以外にも、株式や外貨預金、個人向け国債、金などさまざまな投資先が存在します。数ある投資先の中で、不動産投資が注目されている理由は、以下のメリットが期待できるためです。
1. 安定的な収入が期待できる
2. 生命保険の代わりにできる
3. 少ない資金で大きな投資効果が期待できる
4. インフレに強い
5. 年金対策になりうる
6. 節税効果が見込める
不動産投資における6つのメリットを詳しく解説します。
不動産投資は、家賃収入によるインカムゲインを中心としており、株式投資に比べて安定的な収入が期待できる投資です。株式投資が「ハイリスク・ハイリターン」であるのに対し、不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資といわれています。
株式投資で売買益を中心としたキャピタルゲインを狙いにいくと、毎日の株価の値動きに大きく左右されるため、大きく利益を出すこともあれば大きな損失を抱えることもあるでしょう。一方、不動産投資では、入居者の需要さえあれば毎月決まった家賃収入を得られます。
不動産投資では、住宅ローンのように金融機関から一部または全額借り入れて対象物件を購入するケースも少なくありません。融資を受ける際に団体信用生命保険(団信)に加入すれば、生命保険の代わりにできます。
団信とは、ローン返済中にローン契約者に万が一のことがあった際に、保険金でローンが弁済されるものです。団信に加入しておけば、不動産投資をしている人が亡くなった後も、残された家族がローン返済不要で引き続き対象物件からの家賃収入を受けられます。
ただし、健康状態によって団信に加入できない場合がある点、一般的な生命保険と異なり生命保険料控除の対象外である点に注意しましょう。
不動産投資でローンを利用すれば、少ない資金から大きな投資効果が期待できます。例えば、使い道が自由な資金が500万円という方も、金融機関から4,500万円の融資を受けられれば5,000万円もの投資が可能です。
ただし、不動産投資で毎月得られる収益が、金利支払額よりも低い場合、借入がマイナスに働くこともあるため注意しましょう。
インフレ(インフレーション)とは、お金の価値が下がり、モノの価値が上がることです。「モノ」、つまり実物資産である不動産は、インフレに強いといわれています。
それに対し、現預金は「お金」のため、インフレになると実質的な価値が下がる資産です。不動産投資により現預金だけでなく不動産を自分の資産に組み込めば、インフレになる不安を軽減できます。
不動産投資を続けていると、年金対策になりえます。2022年1月、厚生労働省は同年4月以降の年金支給額を0.4%引き下げることを発表しました(2年連続のマイナス改定)。
日本では少子高齢化が進んでいるため、リタイア後、年金だけに頼ることはできないかもしれません。これからは、自分自身で年金以外の収入を得る工夫が大切です。
不動産投資では、空室が出ない限り家賃収入を受けられるため、リタイア後も年金以外の一定額の収入を得られます。
出典:NHK「年金支給額 2年連続マイナス改定 4月以降0.4%引き下げ」
不動産投資で支出を経費として計上すると利益圧縮につながるため、節税効果が見込めます。不動産投資の支出で経費として認められるのは、保険料やローン金利、管理費、修繕費などです。
さらに、不動産購入金額のうちの建物部分も減価償却として費用計上できます。減価償却とは、固定資産の取得にかかった費用を各耐用年数に応じて毎年少しずつ費用に計上することです。
不動産投資のやり方によって、享受できるメリットの度合いも異なってきます。しかし、始めたばかりだとどこに注目すればよいかわかりにくいでしょう。
メリットをより大きくするために押さえておきたいポイントは、不動産投資の予算と資金調達方法や、物件の選び方の主に2点です。
不動産投資にいかせるように、各ポイントについて詳しく解説します。
不動産投資では、物件価格の一部を自己資金で出すように予算を検討することが一般的です。自己資金以外の金額は、主にメガバンクや地方銀行、日本政策金融公庫など金融機関からの融資で資金調達します。
金融機関の承認さえ得られれば、自己資金がなくても不動産投資は可能です。頭金なしで代金全額ローンで調達することをフルローンと呼びます。
ただし、フルローンを利用すると、自己資金を出さずに大きな収益が期待できる反面、金利負担が重くなる点がデメリットです。また、余裕資金がない方が無理して全額自己資金でまかなうことも、突発的なトラブルに対応できなくなるためおすすめできません。
借りられる金額や余裕資金の金額の個人差があるためあくまで目安ですが、まずは物件価格の1〜2割を念頭に置きましょう。
賃貸需要が見込めるエリアでなければ、安定した家賃収入が期待できません。三大都市圏や一定の人口規模を確保している政令指定都市のエリアに絞ることが物件の選び方のポイントです。特に、ワンルーム不動産投資では、東京を中心に選びましょう。
そのほかに、駅近であるか、周辺に嫌悪施設がないか、コンビニやスーパーなどの生活関連施設は充実しているかなどに注目することも大切です。
不動産投資でメリットを享受できる一方で、デメリットも存在します。主なデメリットは以下の5点です。
1. 売却時に価格が下落する可能性がある
2. 入居者がいない場合や家賃を滞納された場合に家賃収入がない
3. 修繕費用が発生する
4. 借入金利が上昇して返済負担が重くなる
5. 地震や火事の被害にあい、物件が利用できなくなることがある
ここで挙げた5つのデメリットは、それぞれ変動リスク、空室リスク・滞納リスク、修繕リスク、金利変動リスク、災害リスクとの関係性が深いです。各リスクについて説明した後、リスク回避策としてどのような手段があるのか解説します。
変動リスクとは、不動産投資で購入していた不動産を最終的に売却する際に、売却価格が購入時と変動するリスクです。
購入した不動産は、いつかは売却することになります。数年間にかけて安定した家賃収入を確保していても、最終的に当初価格よりも大幅に下落した状態で売却することになると、トータルで損失を抱えることになりかねません。
不動産で価格変動が生じる原因には、人口減少による土地価格の下落や建物の老朽化による物件価格の下落などが考えられます。
空室リスクとは、投資した不動産に入居者が決まらないことで、家賃収入が得られないリスクです。特に、不動産投資において鍵を握るリスクのため、後ほど詳しく解説します。
一方、滞納リスクとは、入居者はいても、家賃を支払わないため収入を得られないリスクです。日本では、借家人を保護するための法律(借地借家法)があるため、家賃を滞納しているからといって、即時に入居者を入れ替えることもできません。
修繕リスクとは、所有する不動産の老朽化に伴い、エアコンや給湯器といった設備の修繕が必要となるリスクです。費用がかさむと、不動産投資による収益圧迫につながりますが、入居率の低下や家賃・資産価値の低下を防ぐためにも、こまめな修繕を怠ってはなりません。
また、修繕を先延ばしにしていると、一括で莫大な修繕費用が発生する可能性があります。
金利変動リスクとは、不動産投資にあたって金融機関から借入したローンの金利が変動するリスクです。ローンには、返済期間中に金利が一定の固定金利と、金融情勢に伴い返済期間中に金利が変動する変動金利があります。
変動金利で返済期間中に金利が上昇すると、返済負担が重くなり費用がかさむため、不動産投資の利益を圧迫してしまうでしょう。
災害リスクとは、地震や火事、水害などの災害により、購入した不動産が滅失してしまうリスクです。不動産投資の対象物自体がなくなってしまうため、致命的なリスクといえるでしょう。
特に、日本は世界有数の地震大国として知られ、これまでにも数多くの津波による災害を経験しています。
災害リスクそのものを抑えること、そして万が一災害にあった場合の物件の被害をできるだけ抑えることを検討しておきましょう。
変動リスクの回避策は、購入段階でエリアを意識することです。今後も人口増加が見込まれる地域や、都市開発が進む予定の地域であれば、不動産価値の低下を抑制できます。
滞納リスクには、入居者に家賃保証会社に加入してもらう方法が有効です。入居者の家賃保証会社への加入があれば、入居者の滞納時に保証会社が代わりに家賃を支払ってくれます。
修繕は老朽化とともに必要となるため、修繕リスクを避けることは難しいです。家賃の数%を積み立てることで、あらかじめ修繕に備えるようにしましょう。
金利変動リスクを回避する手段は、固定金利を選択することです。ただし、固定金利を選択した場合、一括返済時に違約金として手数料が発生することがあります。
災害リスクには火災保険や地震保険に加入することが有効です。また、事前にハザードマップをチェックし、対象地域でどの程度の災害リスクがあるのか把握した上で購入を決断しましょう。
不動産投資は、不動産会社のサポートを受けられますが、自分で知識のないまま始めてしまうと思うような利益を得られない可能性があります。不動産に投資する際、特に注意しておきたい点が以下3つです。
1. 空室リスクを理解する
2. 利回りを意識する
3. 売却に時間がかかる可能性を理解する
各注意点について、詳しく解説していきます。
リスクで紹介したように、空室リスクを抑えられるかが不動産投資の成否の鍵を握るといっても過言ではないでしょう。すでに紹介した物件選びに加え、空室リスクを回避するために大切なことが、パートナー選びです。
賃貸管理会社によって、入居者の集まりも大きく異なります。賃貸管理会社を選ぶ際には、入居者が安心して住めるように365日対応かつ専用コールセンターを設けているか、丁寧な顧客対応ができているか、などを見極めることがポイントです。
そのほか、サブリース契約を締結することでも空室リスクを軽減できます。サブリースとは、サブリース会社に物件を一括管理してもらい、毎月定額の家賃を受けられる仕組みです。
ただし、サブリース会社に対する手数料が発生するため、収益性は下がります。
不動産投資において、物件を比較する際の主な指標が利回りです。利回りとは、投資金額に対する収益割合を算出したもので、表面利回りと実質利回りがあります。
表面利回りは、年間の賃料収入を物件の購入金額で割り、100を乗じた数字です。一方、実質利回りは、年間の賃料収入から諸費用を差し引いてから購入金額で割り、100を乗じます。
不動産投資では、実質利回りを確認することで対象物件の実質的な収益力を確認できます。中古物件の場合、4〜5%が実質利回りの目安です。
すでに紹介した不動産投資のリスク以外に、流動性リスクも存在します。流動性リスクとは、不動産を現金化しようとしても、購入希望者が見つかるまで売却に時間がかかるリスクです。
一方、上場株式や投資信託では、売却を決めてから数日後には現金化できます。不動産投資で流動性リスクを軽減するためにも、東京のように需要の高いエリアの物件を選ぶことがポイントです。
対象物件の購入に数千万〜数億円かかるため、不動産投資は現預金が豊富な人に向いています。また、現預金が潤沢でなくても、上場企業や地方の優良企業に勤めて安定した給与収入がある方や医師、公務員なども金融機関の審査に通りやすいためおすすめです。
また、不動産投資では修繕費用がかかり赤字になった年に、本業の所得と損益通算できます。結果的に、本業所得が圧縮されるため、節税対策を考えている方にもおすすめしたい投資方法です。
不動産投資により、安定的な収入が期待できる、生命保険の代わりにできる、インフレに強いなどさまざまなメリットを享受できます。ただし、不動産投資で成功するためには、あらかじめ各種リスクや物件・賃貸管理会社の選び方を理解しておくことが大切です。
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J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
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マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)