不動産投資は株式投資やFXなどと比べると低リスクな投資として紹介されることが多いですが、それでも投資なのでリスクはあります。
初心者が何も知らずに始めると取り返しのつかない事態に陥ることもあります。
しかし、不動産投資で大失敗している人の多くは、こうしたリスクを知らずに始めたことが要因であることの方が多いようです。
今回は、これから不動産投資を始める方、もう始めているけどリスクが心配な方に向けて不動産投資のリスクと解決策についてお伝えします。
目次
不動産投資のリスクにはどのようなものがあるでしょうか?
リスクについて、リスク発生のタイミング毎に分けて考えてみました。
不動産投資におけるリスク発生のタイミングは、主に以下の3つのタイミングがあります。
物件の購入、契約時に発生するリスクの内大きなものが借入リスクです。
金融機関や不動産会社はお金を借りてほしい/物件を購入して欲しいと思っているため、積極的な提案を行ってきます。
しかし、しっかり返済計画を建てなかったり、借りられるからといって必要な自己資金を用意せずに不動産を購入したりすると、実際には返済が難しく、大きなマイナスを背負ったまま売却してしまった、ということになりかねません。
運用期間中にもさまざまなリスクが発生しますが、多くを占めるものは空室リスクでしょう。
どんなに計算上の利回りが良くとも、空室が多くては利益を得ることはできません。
物件の売却時のリスクですが、瑕疵担保責任がリスクとして上げられるでしょう。
物件を売却する時は、「○カ月以内は瑕疵担保責任を負う」といった項目を設けることが多いですが、ぎりぎり残債を完済できる金額で売却したのに、売却後に瑕疵担保責任の関係で補修の請求をされると問題です。
その他にも、数々のリスクがありますが、大きな枠で見た時に以下の3つのリスクについては理解しておくようにしましょう。
不動産投資は投資なので、経済的なリスクがついて回ります。
物件購入時の借入リスクについてはすでにお話しましたが、借入した後に金利が上昇してしまうと返済が難しくなる可能性があります。
借入リスクに関しては、借入れてから10年以内に借入割合を40%にするように計画しましょう。借入割合40%なら、仮に金利が倍になっても対応できます。
また、購入時には不動産取得税が、運用時には不動産所得税が、売却時には譲渡所得税が発生します。それぞれ多額の税金となることが多いため、事前にその額を計算できるようにしておき、必要な資金を手元に残しておくようにしましょう。
運用中には空室リスクや家賃滞納リスクがあります。
空室が多くなると家賃収入が減少し、毎月のローン返済額を家賃収入で賄えなくなってしまいます。空室リスクに関しては、どんな事例にも当てはまるようなリスク対策法はありません。サブリース契約を結ぶと家賃保証は得られますが、手数料が高く、物件が古くなってくると条件が改悪される可能性があるなど問題も多いです。
空室リスクに対しては、空室の発生しない物件を選ぶことや適切なリフォームを施すなど、不動産投資家の腕の見せ所です。これを対策できれば、不動産投資家として成功することは難しくありません。
家賃滞納リスクは、管理会社経費で支払い勧告などを行えますが、回収できないケースもあります。家賃回収できないケースに備えた保証会社もあるため活用を検討しましょう。
不動産投資は物件を所有することになるため、物件の老朽化や災害により物件を失うリスク、入居者が自殺するなどして事故物件となってしまうリスクがあります。
物件の老朽化に対しては適切なリフォームと、そのための積立が、災害により物件を失うリスクに関しては火災保険や地震保険が役に立ちます。
入居者が自殺するなどして事故物件となってしまうリスクに関しては、複数の不動産を運営することで、いざ起こってしまった時に致命傷とならないよう備えて置く必要があります。
不動産投資のリスクを知っておくと、問題が発生する前に対策を打てたり、損害が発生した時に被害を最小限に抑えられたりできます。
リスクを完全になくすことは不可能なので、事前に備えておき、いざその事態が起こった時には再起不能な程の被害が出ないようにする必要があります。
ここでは、実際に不動産投資に取り組んで成功した事例をお伝えします。
「高利回り」という宣伝文句を過信せず、立地条件や周辺環境を徹底的に調査・吟味したことにより成功した事例です。
RC造築30年、7,000万円、総戸数12戸、年間利回り7%
Aさんはこの物件の購入当時、同じような価格帯、築年数で年間利回り12%の物件の紹介も受けていました。
購入するのであればどちらか一方という状況で、年間利回り12%という脅威の数字に魅力を感じていたものの、比較検討中の短い期間に徹底的に立地条件や周辺環境を調査。
結果、年間利回りは7%とそこまで高くはないものの、立地条件の優れたこちらの物件を購入することに決めたそうです。
購入後10年経った現在でも空室はほとんどなく、順調に収入を積み上げています。
RC造築24年、1億円、総戸数18戸、現況年間利回り6%、満室時年間利回り18%
地方での投資用マンション購入を検討していたBさんは、ある地方都市の郊外のこちらの物件の紹介を受けました。
正直、さびれた感じもする立地だったのですが紹介してくれた不動産会社はこれまでも的確なアドバイスを幾度もくれていた方だったので信頼していたと言います。
この担当者によると、現在の利回りは6%と少ないですが、きちんと手直しをして入居者を募集すれば満室にすることも難しくないとのこと。
リフォーム費用は安くはありませんでしたが、Bさんはこの担当者のアドバイス通りに取り組んでみることにしました。
すると、リフォーム後から入居者は続々決まり始め、入居率が3分の1にも満たなかったマンションを8カ月程度で満室にすることができたと言います。
Bさんの成功要因はこれまでの取引で信頼できるパートナーを見つけられていたことと、このパートナーの言う事を信じて実行したことです。
不動産投資のリスクに備えるためのポイントとして、事前調査を徹底することと、不動産投資のリスクについて学習しておくことが大切です。
物件の資産価値や利回り、空室リスク、立地条件、駅までの距離、駅周辺の商業施設、近隣の教育機関、周辺環境の将来性などは事前に徹底的に調査しておきましょう。
これをせずして、物件の購入に動くのは投資でなくギャンブルをしているようなものだと言えます。
不動産投資を成功させるためには、そのリスクを学習することが大切です。
不動産投資に関する本は巷にあふれていますので、まずは片っ端から目を通してみましょう。
また、不動産投資のセミナーも学習するのに欠かせません。
セミナーでは、本で得られない、専門家ならではの生きた知識や業界の最新情報が得られる他、優良物件を紹介してくれることもあるようです。
不動産投資を成功させるためには、そのリスクについて理解し、事前に対策を練っておくことが大切です。
どれだけ対策してもトラブルは起こってしまうものですが、大きなトラブルが起こっても致命傷とならないようにしましょう。
リスク対策については、まずは事前調査を徹底的に行うなど、基本的なことから始めてみると良いでしょう。
J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
大学在学中に家庭教師のアルバイトをきっかけにデイトレーダーへ転身。24歳で資産運用法人を設立する。25歳から大手投資用マンションディベロッパーと業務提携後、およそ6年間にわたり資産運用アドバイザーとして活躍。その後、大手不動産仕入れ会社で販売統括責任者として従来の投資用物件の流通システムを革新するプロジェクトを立ち上げる。国内最大規模の投資イベント「資産運用EXPO」で登壇実績があり、同業他社からも多くの見学者が立ち見の列を作った。2020年にJ.P.RETURNSに参画。オンラインでの商談やWEBセミナーを導入し、コロナ禍でも年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)