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不動産業界に関連する資格というと宅建(宅地建物取引士)が代表的ですが、近年は賃貸不動産経営管理士にも注目が集まっています。
賃貸不動産経営管理士は賃貸不動産の管理に関する専門資格であり、管理業務に広く携われることから業務の幅を大きく広げることにもつながります。就職や転職の武器としても考えられます。不動産業界に所属するのであればぜひ取得したいところです。今回は、賃貸不動産経営管理士の概要と取得方法についてご説明します。
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目次
どんな業務を行える資格なのか、取得のためにどんな知識が必要なのかなど、賃貸不動産経営管理士に関する基本的な情報をお伝えします。
賃貸不動産経営管理士とは、その名の通り賃貸不動産管理に関する専門資格です。家主と入居者に対して、公正な立場から業務を遂行するものとされています。主に賃貸アパートやマンションの管理運営に関して、関連する法令を遵守することと、専門的な知識や技能、倫理観を有することが条件です。賃貸不動産経営管理士協議会のホームページの検索結果を見る限り、2018年11月現在で30,000名以上の賃貸不動産経営管理士が登録されています。
2011年に「賃貸住宅管理業者登録制度」が創設され、登録する賃貸住宅管理会社には事務所あたり1名以上の賃貸不動産経営管理士などを配置する義務が設けられました。その後2016年に制度改正が行われ、一定の業務を賃貸不動産経営管理士に担当させるようルール化されました。総じて活躍の幅が広がったと言えます。
当然ながら、賃貸経営に関する知識全般が求められます。賃貸借契約締結から建物の維持管理、設備などの修繕、クレームを含めた借主への対応、空室対応・入室促進、原状回復など、多岐にわたる業務について勉強することになります。
ほかにも、賃貸管理の意義や役割をめぐる社会状況、賃貸業への支援業務として税金、保険、不動産証券化など、賃貸管理に関する実用的で幅広い知識を問われます。賃貸不動産経営に必要な多くの専門知識が習得できますので、不動産会社に勤める人だけではなく、実際に賃貸不動産を所有するオーナーからも注目を集めています。
賃貸管理には昔からトラブルの種が尽きず、また賃貸住宅市場には閉塞感が強まっています。賃貸不動産経営管理士には、そうした状況の打破が期待されているのです。
そもそも賃貸不動産管理業には、法規制がありません。そのため敷金返金や原状回復などに関するトラブルも多数発生しており、不動産業界全体として適正な管理が行き届いていないところがあります。課題の解決や業界の適正化を進めるため、賃貸不動産経営の専門家である賃貸不動産経営管理士が求められています。
また人口減少や住宅の供給過多により、空き家の増加が社会問題化しています。空き家の再利用や契約形態・管理方法の多様化など、賃貸不動産経営管理士には賃貸不動産業の新たなビジネスチャンスを引き出す役割も期待されています。
賃貸不動産経営管理士の実務内容をもう少し詳しくご説明しましょう。特に、不動産管理会社に勤めている状態を念頭に仕事内容を2点ご紹介します。
賃貸住宅の貸主が登録事業者である不動産管理会社に管理業務を委託する際、両者の間で管理受託契約が締結されます。その際の重要事項の説明および書面への記名・押印が、賃貸不動産経営管理士の役割です。
具体的には、重要事項説明書の交付と読み上げ(説明)を貸主に対して行うとともに、不動産管理会社の担当者として記名と押印を行います。
貸主と管理受託契約を成立させる際、管理受託契約書を交わす必要があります。このとき、契約書の作成と記名・押印を行うのも賃貸不動産経営管理士の重要な役割です。市場調査や賃貸用建物の企画提案、管理業務報酬の設定も業務に含まれます。
賃貸不動産経営管理士の資格取得方法を、試験の受験から登録申請に至るまでご説明します。特に試験内容や難易度について理解していただければと思います。
毎年11月に賃貸不動産経営管理士協議会が実施する「全国統一試験」を受験し、合格することが必須です。受験料は税込12,960円です。試験会場は東京・名古屋・大阪など、全国11箇所で設けられます。8月には申込手続きを行う必要がありますので、計画的に準備を進めなければいけません。
試験勉強には、賃貸不動産経営管理士協議会が発行している公式テキストを使って自習するのが基本です。また、公式テキストを使用して2日間行われる「賃貸不動産経営管理士講習」があります。こちらを修了すると、全国統一試験で出題される40問のうち4問が免除されます。
2017年11月に実施された試験の合否判定基準は、40問中27問以上(管理士講習修了者は、36問中23問以上)の正解でした。全体の合格率は48.3%で、管理士講習修了者の合格率は53.5%と若干高めの結果となりました。なお2016年の全体合格率は55.9%でしたので、合格率は大きく下がったということになります。
この背景には、受験者数の大幅な増加があります。合格者数は前年比9.3%の増加であるのに対し、受験者は前年比26.4%増の13,149名と、賃貸不動産経営管理士に対する人気の高まりを感じさせます。特に女性は前年比48.4%増と、5割近くも受験者が増えているのが印象的です。受験資格も特になく、15歳から80歳まで幅広い年齢層の合格者がいます。
賃貸不動産経営管理士協議会のホームページでは、および過去3年分の試験問題と正解を公表しています。公式テキストで必要な知識をインプットし、過去問を解いて定着させるのが推奨される勉強方法となります。問題例も記載されていますので、難易度を見る参考にしてみましょう。
毎年1月中旬に合格者が発表されますが、これで資格登録が完了したことにはなりません。試験に合格した後、資格登録を行うためには以下の要件を満たす必要があります。
このうち「賃貸不動産経営管理士協議会が認める賃貸不動産関連業務」とは、宅地建物取引業、不動産管理業、不動産賃貸業(家主業)と、協議会構成団体とその従業者のほかの協議会が認める業務です。協議会構成団体には、公益社団法人日本賃貸住宅管理協会・公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会・公益社団法人全日本不動産協会の3つがあります。
なお登録料は税込6,480円で、資格の有効期限は5年間です。試験合格の実績自体には期限がありませんので、有効期限が切れる前に更新手続きを行うことになります。
賃貸不動産の管理に関するトラブルが多数存在する中で、有資格者であることは大きなアドバンテージになります。
J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)