不動産投資で失敗するパターンは?成功する人の特徴や失敗の防止策も

公開日:2023/03/05 最終更新日:2023/09/27

不動産投資
記事監修:室田雄飛

不動産投資とは、マンション・アパート・戸建て住宅といった不動産を購入・運用し、家賃収入や売却益を得る投資手法です。不労所得の獲得や老後の長期的な資産形成として注目されており、近年では20代や30代から不動産投資を始めるという人も増えています。

しかし、不動産投資を始めれば誰もが成功するとは限りません。中には、ある理由で期待していたような収益を得られず失敗に終わった人も多くいます。

そこで今回は、不動産投資における成功と失敗の定義の違いから、初心者が陥りがちな不動産投資の失敗パターン、失敗しやすい人・成功しやすい人の特徴、さらに不動産投資に失敗しないための対策までを詳しく解説します。

不動産投資で失敗するパターンは?成功する人の特徴や失敗の防止策も

そもそも不動産投資における「成功」「失敗」とは?

不動産投資には、一棟投資・区分投資や、マンション投資・アパート投資・戸建て投資といったさまざまな種類・手法があります。いずれの投資方法においても、成功と失敗の定義は人によって異なります。

例えば、1か月で10万円の利益を出した場合、月15万円の利益を目標に不動産投資を始めているケースでは失敗ですが、月10万円の利益が目標だったケースでは成功と言えるでしょう。

また、不動産投資にはインカムゲインとキャピタルゲインがあります。インカムゲインとは、不動産の保有によって得られる運用利益であり、いわゆる家賃収入です。そしてキャピタルゲインとは、保有する不動産を売却して得る売利益を指します。

不動産投資においては、このインカムゲインとキャピタルゲインのバランスが非常に重要です。運用利益は目標を達成していても、売利益が運用利益を下回ったことにより最終的な利益がマイナスになった場合、投資額を下回るため失敗となります。このように、不動産投資はトータルでプラスにならなければ、真の成功とは言えないことを覚えておきましょう。

初心者が陥りがちな不動産投資の失敗事例5つ

不動産投資の失敗事例は、実にさまざまです。不動産投資が失敗に終わるのを避けるためには、あらかじめ失敗事例を把握しておくことが大切です。失敗事例を把握しておくことで、リスク対策が可能となります。

ここからは、初心者が陥りがちな不動産投資の失敗事例を5つ紹介します。失敗事例を具体的に学び、注意すべき点を押さえましょう。

利回りだけを見て赤字になった

表面利回りが高いことを魅力に不動産を購入したものの、実質利回りが低くて赤字になってしまったというケースは、不動産投資におけるよくある失敗事例です。

そもそも利回りとは、投資額に対する見込み収益の割合を指します。不動産ごとの収益性を図るにあたって重要な指標ですが、不動産広告では単純に「年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100」で算出した表面利回りしか記載されないことが特徴です。

表面利回りは、年間の支出が考慮されていません。より現実的な収支を求めるためには、実質利回りを計算することが重要です。

実質利回りの算出方法
(年間収入 - 年間支出) ÷ 物件価格 × 100

不動産投資の知識がない人にとって、年間支出がどれくらいあるかを考えるのはやや困難でしょう。そのため、売主や不動産会社の担当者から経費に関する詳細情報を聞くこともおすすめです。

不動産会社の言うことを鵜呑みにした

不動産会社の言うことを鵜呑みにする・任せきりにすることによって、収益性の低い投資用物件を購入してしまったというケースは、不動産投資初心者のよくある失敗事例です。

不動産会社は、少しでも早く物件の売買契約を成立させるために、あらゆる方法で営業をかけます。「簡単には手に入らない物件」「早く購入しなければほかの人にとられるかもしれない」という営業トークを鵜呑みにし、しっかりと調査をせず購入してしまう人も少なくありません。購入した物件の収益性が低くても、「話と違うから」と言って物件を返したり、返金してもらったりするのは不可能です。

とは言え、実際に収益性の高い良質な物件が売りに出されるケースも少なからずあるため、このような営業トークをする担当者のすべてが悪質というわけではありません。しかし、担当者の営業トークを鵜呑みにして慌てて購入するという行為は、失敗につながる大きな要因となるため、なるべく複数の不動産会社に相談してじっくりと比較検討することが大切です。

節税だけを目的にして不動産投資を始めた

不動産投資には、所得税や住民税などにおける節税効果もあります。そのため、節税だけを目的に不動産投資を始める人も珍しくありません。

節税を目的に不動産投資を始めること自体は失敗ではないものの、仕組みを理解せず勢いで始めてしまったことによって期待していた節税効果を得られない・収益すらも得られないという失敗につながるおそれがあります。

節税を目的に不動産投資を始めたいなら、まず「不動産投資での節税が有効かどうか」を把握しておきましょう。不動産投資で節税対策をする際のポイントは、減価償却で作った赤字を給与所得にぶつけて、所得を圧縮することです。減価償却とは、固定資産の取得にかかった費用を耐用年数に応じて分配し、何年かに分けて計上しようという考え方です。

節税手段として不動産投資が向いている人は、累進課税の税率が大きく上がる年収1,200万円(課税所得900万円)以上の人が挙げられます。年収1,200万円以下の人が節税目的に不動産投資を始めても、減価償却期間中の所得税率の差が小さく、不動産投資のリスクに対するリターンが小さいことを覚えておきましょう。

入居者が家賃を払わない

収益性が高い物件でも、失敗するパターンは少なからずあります。そのうち、特によくあるケースが「入居者が家賃を滞納する」というケースです。

部屋を借りる以上、大家さんに毎月家賃を支払うということは一般的ですが、中には何らかの理由で家賃が支払えなくなる入居者もいるでしょう。「家賃を滞納する入居者は退去させればよいのでは」と考える人も多くいますが、借地借家法によって家賃を滞納する入居者を簡単に強制退去させることは不可能となっています。

賃借人との折り合いがつかない場合は裁判所が関与することとなり、時間・費用がかかるため、赤字も覚悟しなければなりません。

管理費・修繕積立費が予想以上にかかった

購入した物件の管理費・修繕積立費の出費が予想以上にかかることも、不動産投資におけるよくある失敗事例です。

ローンの返済とは別に毎月かかる管理費・修繕積立費は、物件の築年数が上がるとともに費用もかさんでいきます。これらを考慮した事業計画を立てていなかったり、出費の想定が甘かったりすることで、予想以上の支出が発生する可能性があります。

また、入居者から得る家賃の設定金額は、築年を経過するごとに下がることが一般的です。支出が収入よりも大きくなり、キャッシュフローが赤字になれば、物件の維持にかかる費用を自己資金で補う必要があります。そうなれば、不動産投資としては失敗と言っても過言ではありません。

不動産投資に失敗しやすい人の特徴3つ

不動産投資で失敗する人には、共通の特徴がいくつかあります。

  • 知識不足のまま始めてしまう
  • 不動産投資のリスクを把握していない
  • 計画性がない

まずは、上記の特徴に自分が当てはまっていないかを確認しておきましょう。

なお、たとえ不動産投資に失敗しやすい人の特徴に当てはまっていても、内容をしっかり理解すれば対策は十分に可能です。ここからはそれぞれの特徴について詳しく紹介するため、「どうすればリスク対策ができるか」のヒントにしてください。

知識不足のまま始めてしまう

不動産投資を始めるのであれば、最低限の投資知識は必要です。基礎的な知識が不足しているまま不動産投資を始めた人は、不動産会社の言いなりになったり、営業トークを鵜呑みにしてしまったりして、結果的に失敗する傾向にあります。

また、不動産会社から説明を受ける中で、素人には理解のできない専門用語が飛び交うケースもあります。不動産投資において発生する費用はもちろん、このような用語を理解しておけば、投資物件の良し悪しを判断しやすくなるでしょう。不動産投資をテーマにした初心者向けの書籍を読む・不動産投資セミナーに参加するという方法も、知識の習得におすすめです。

不動産投資のリスクを把握していない

物件を購入し、入居者からの家賃で不労所得を得るという不動産投資は非常に魅力的な投資方法ですが、魅力だけに着目して投資リスクを把握せず始める人も一定数います。不動産投資におけるリスクを事前に把握していなければ、赤字になる可能性が大いに高まります。

不動産投資のリスクには、具体的に次のようなリスクが挙げられます。

空室リスク
空室リスクとは、所有物件に空室が発生することによって、家賃収入が得られなくなるというリスクです。不動産投資においては最大のリスクであり、空室が1つでも増えるとキャッシュフローに大きな影響を及ぼします。
自然災害リスク
自然災害リスクとは、台風や地震、火災、さらに豪雨による二次災害などによって建物が損壊し、それに伴って修繕や損害賠償責任の必要が生じるというリスクです。損壊の度合いによっては、全部屋の家賃収入が得られなくなる可能性もあります。
金利上昇リスク
金利上昇リスクとは、不動産投資ローンの金利が上昇し、結果として月々の返済額が増加するというリスクです。金利上昇リスクを防ぐためには、ある程度の頭金を投入する・繰上返済をするなどして借入額・金利を抑える必要があります。

計画性がない

不動産投資においては、どのような物件であっても、購入後に思わぬ支出が発生する可能性があります。具体的には、故障した設備の修理費、災害やトラブルにより損壊した建物の修繕費などが挙げられるでしょう。

計画性がない人だと、突発的に発生する費用に対応できなくなる可能性があります。さまざまな予想外の支出に備えるためにも、ある程度の自己資金を確保しておくことは最も大切です。また、予想外の支出が発生した際は、定期的に運用状況や収支計画を練り直す必要もあります。

不動産投資に成功する人の特徴3つ

不動産投資を成功させるには、失敗しないための心構えを知っておくことが大切です。そして、失敗しないための心構えを知るには、まず不動産投資に成功する人の特徴や考え方も理解しておく必要があります。

そこで次に、不動産投資に成功する人の特徴を3つ、それぞれ詳しく紹介します。

長期的に物事を考えられる

不動産投資は、基本的に短期的な収益を目的とすることはありません。初めに不動産投資ローンを借り、入居者からの家賃収入を得ながら長期的に利益を生み出す投資方法です。

したがって、短期的な判断をせず、月単位・年単位で物事を考えつつ、出口戦略を含む長期的な視点をもっている人は不動産投資に成功しやすいと言えるでしょう。

決断力がある

不動産投資を始める際は、数百万~数千万円の物件をまず購入することとなります。非常に大きな買い物となるため躊躇する人も多くいますが、好条件の物件を見つけたときに即断できるかどうかは重要なポイントです。

また、将来的にキャピタルゲインを狙って不動産投資をするという場合は、売り時を適切に見極めて判断することも大切となります。タイミングが訪れた際によい条件で売却するためにも、決断力が求められます。

地道に努力して実践できる

長期にわたる不動産投資では、社会情勢の変化や不動産の需要・供給バランスなど、あらゆる要因がキャッシュフローに影響します。そのため、ただ収益物件を所有しているだけで安定的な家賃収入を得続けられるわけではありません。

不動産投資を成功させるためには、不動産投資に関する情報収集を入念に行う・好条件で融資を受けられる金融機関を探す・常に最新の情報をチェックするなど、地道な努力を続ける必要があります。地道な努力や勉強を積み重ね、かつ実践に活かせる人は、不動産投資に成功する人と言えるでしょう。

不動産投資に失敗しないための対策5つ

不動産投資の成功率を高めるためにも、失敗しないための対策法を知っておくことは非常に大切です。対処法を理解した上で不動産投資を始めることによって、より適切な収支計画の立案にもつながるでしょう。

最後に、不動産投資に失敗しないための対策を5つ紹介します。

短期間で利益を求めない

前述の通り、不動産投資は株式投資やFXとは違って、基本的に短期間で大きなリターンを得られる投資ではありません。経験豊富な不動産投資家ならまだしも、不動産投資の初心者が短期間で大きなリターンを得ようとするのは、危ない橋を渡るも同然です。

不動産投資に失敗しないためには、家賃収入で毎月小さな収益を出し続けられる物件選び・運用方法にフォーカスすることをおすすめします。

投資の目的を定める

不動産投資に失敗しないためには、あらかじめ「不動産投資によって何を得たいか」といった投資目的をしっかりと定めておくことがポイントです。

「毎月10万円以上の利益を生み出す」「定年までに不動産投資ローンを完済し、定年後は家賃収入を私的年金代わりにする」などは、よくある投資目的と言えるでしょう。

投資目的を明確にすることで、具体的な収支計画やリスク対策を立てやすくなり、結果として不動産投資の成功率がアップします。このような投資目的は正解がない上、人によって異なるため、将来の人生像を踏まえながらじっくり考えるとよいでしょう。

実績が豊富な管理会社を選ぶ

不動産投資家は、基本的に物件の管理業務を不動産管理会社・賃貸管理会社に委託します。管理会社は入居者の募集業務や入退去手続き、さらにクレーム対応など幅広い業務を請け負ってくれる一方で、委託報酬として家賃収入の5~10%を支払う必要があることも覚えておきましょう。

管理会社の中には、管理が疎かになっている会社もあります。このような管理会社に管理業務を任せると、入居者からの不満が溜まり、かえって空室リスクを高める原因となるでしょう。

そのため、管理会社選びの際は管理実績や管理体制をくまなくチェックし、優良な管理会社を見極めることが大切です。評価の高い実績豊富な管理会社を選ぶことで、不動産投資の成功率もアップすると言えるでしょう。

入念に物件を調査した上で購入を検討する

投資物件の質や収益性は、不動産投資の成功・失敗を大きく左右すると言っても過言ではありません。不動産投資向けの収益物件を購入する際は、入念に物件の資産性を調査した上で購入を検討することが大切です。

また、相場よりも割安な物件を見つけられれば、不動産投資の成功率アップに大きくつながります。物件相場や資産価値、周辺の競合物件を調べる方法には、「不動産投資会社に直接聞く」「不動産情報ポータルサイト・土地総合情報システムで調べる」などが挙げられます。これらはお金をかけずにできる方法となっているため、複数の方法を使ってじっくり調査することがおすすめです。

不動産投資のプロに相談する

不動産投資の初心者にとって、投資前の物件選びはもちろん、投資後の運用においてもあらゆる不安はつきものです。判断に迷ったときは1人で悩み続けず、パートナーの不動産会社に相談するとよいでしょう。パートナーの不動産会社は、いわば不動産投資のプロであるため、適切なアドバイスを受けられる可能性があります。

また、パートナーの不動産会社に相談しても不安を取り除けないという場合は、別の不動産会社の意見を求めることも1つの手段です。不動産投資や不動産運用における複数のプロから知恵を借りることは、失敗リスクの軽減にもつながるでしょう。

自己資金をある程度準備しておく

収益物件の運用中に何らかの原因でキャッシュフローが悪化した場合は、物件を売却してしまうことも1つの手段です。不動産投資ローン返済が終了していなければ、不動産売却時は残債分を自己資金で補わなければなりません。しかし、自己資金が不足している場合は残債の支払い負担に耐えられず、キャッシュフローが悪化しているまま物件を手放すことができなくなる可能性があることに注意が必要です。

不動産投資において考えられるさまざまなリスクに備えて、いざというときは損切という手段をとれるようにするためにも、自己資金はある程度準備しておいたほうがよいでしょう。

まとめ

不動産投資における成功と失敗の定義は、人によって異なるものの、トータルの収支がプラスにならなければ真の成功とは言えません。長期的に運用する投資方法だからこそ、あらゆる失敗例を参考に事業計画を立てることが大切です。

「J.P.RETURNS」は、不動産に関わるさまざまな事業に取り組むパートナーとして、優良物件や一流コンサルタントのご紹介から、自宅で学べる動画セミナーの実施まで幅広いサポートを提供しています。web面談で20,000円、オフラインの個別相談で50,000円相当のAmazonギフト券もプレゼントしておりますので、不動産投資を少しでも検討している方はぜひお問い合わせください。

監修者

室田雄飛

J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長

J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0

【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ

執筆者

島倉啓

新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。

【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)

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