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不動産投資には資産形成のほかに節税効果というメリットもあります。経費計上などで赤字となった不動産所得により課税所得が減額され、所得税などを抑えるという仕組みです。
本記事では、不動産投資でどのように節税できるかについて紹介します。
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目次
不動産投資は資産形成に役立つだけでなく、節税効果も期待できます。節税できるのは所得税や住民税です。
不動産投資を始めた当初は収入よりも経費がかかる場合も多く、赤字となった不動産所得を他の所得と損益通算することで税金を抑えることができます。また、不動産投資は贈与税、相続税の節税も可能です。
ここでは、節税できる税金の種類を見てみましょう。
これから不動産投資をしたいと考えている方には不動産投資動画セミナーまた、スマホでサクッと学びたいと考えている方は、eBookも無料で配布中がおすすめです。
投資の専門家が空室リスクの対策をアドバイスするなど、不動産投資のノウハウをお伝えします。ぜひお問い合わせください。
不動産投資で節税できるのは、主に以下の税金です。
● 所得税
● 住民税
● 贈与税
● 相続税
それぞれの内容をみてみましょう。
所得税とは、個人の所得に対してかかる税金です。会社員の場合は給与所得、個人事業主は事業所得に対して課せられ、1月1日から12月31日までの1年間のすべての収入から経費を差し引いて求めます。
給与所得の場合は収入から給与所得控除を、事業所得の場合は必要経費を差し引き、残りの所得に税率を適用して税額を計算します。年収や売上の全額に所得税がかかるわけではありません。
税率は累進課税を採用しており、所得が高いほど税率も高くなります。課税所得額に応じ、5〜45%の税率です。
住民税は、都道府県と市区町村から課される地方税です。行政サービスを維持するために必要な経費を分担して支払うもので、所得額や居住する地域によって納税額が決まります。道府県民税と市町村民税の2つからなり、その年の1月1日現在の居住地に納税します。
住民税は所得に応じて決まる「所得割」と一律に課される「均等割り」で構成され、所得割の税率は10%で、内訳は市町村税が6%、道府県民税が4%です。
不動産投資で税金還付を受けられる!手続きやシミュレーションを紹介
相続税は、故人から財産を相続した相続人に課税される税金です。相続した財産の一部を国に納め、広く社会のために役立てる資産の再分配機能があります。相続した財産が大きいほど相続税額は大きくなるため、経済格差を解消することも機能のひとつです。
相続税は、以下の計算式で求める基礎控除を差し引いた金額をもとに計算します。
基礎控除額は「相続人の数」によって変わり、人数が多ければ多いほど基礎控除額も高くなり、相続税はかかりにくくなります。
贈与税は生前に財産を譲り受けたときに納める税金です。課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、 「暦年課税」は1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産を合計した金額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残額に税率を掛けて計算します。
税率は「特例税率」と「一般税率」があり、どちらも贈与額が多くなるほど税率が高くなります。
青色申告は複式簿記で記帳することを要件に、特別控除額が受けられるというメリットがあります。基礎控除額にプラスし、最大で65万円の控除を受けることが可能です。
不動産所得で65万円の特別控除を受ける場合、事業的規模という基準が設けられています。集合住宅で10室以上、戸建てで5軒以上、駐車場ではおよそ50台以上です。賃料収入の規模が大きい場合には、これらの数字を満たさなくても事業的規模と認められる場合があります。
不動産所得とならない場合、副業が事業所得になれば青色申告が可能です。継続性があり、相応の人力や設備を投資しているという条件があります。事業所得とならない場合は雑所得となり、白色申告をすることになります。
確定申告は1月1日から12月31日までの収入を、翌年の2月16日から3月15日まで(曜日により変わる場合もあり)の期間内に行います。
必要書類は、以下のとおりです。
● 確定申告書
● 収支内訳書もしくは青色申告決算書(不動産所得・事業所得となる場合)
● マイナンバーカードまたはマイナンバーが掲載されている住民票の写しなど
● 源泉徴収票
インターネット上で電子申告する場合、紙の申告書は不要です。保険料控除や医療費控除を受ける場合は、明細書など必要書類を準備しましょう。
確定申告の大まかな流れは、以下のようになります。
1.確定申告書を作成する
2.期間内に必要書類とともに税務署に提出する(持参や郵送、e-taxによる電子申告など)
3.税金を納付(3月15日まで)もしくは還付を受ける
納税額がなく還付のみの申告であれば、1月1日から提出できます。その年の確定申告に間に合わなくても、翌年の1月1日から5年間は申告が可能です。
不動産投資以外にも、節税対策ができる方法があります。サラリーマンが手軽に行いやすい節税方法としてあげられるのが、iDeCoやふるさと納税です。
iDeCoは個人型確定拠出年金のことで、老後の資産形成を行いながら節税ができます。ふるさと納税は、応援したい地域の自治体に寄付をすることで節税ができる制度です。
それぞれの内容や不動産投資との違いを見ていきましょう。
個人型確定拠出年金のiDeCoは私的年金で、拠出した掛金を運用して老後の資産形成ができる制度です。iDeCoには、次のような3つの税制上のメリットがあります。
● 毎月の掛金が全額所得控除の対象になる
● 金融商品の運用益が非課税になる
● 年金を受け取るときも税の優遇措置がある
まず、毎月拠出する掛金が全額所得控除の対象になり、節税できるのがメリットです。毎月2万円を拠出する場合、所得税と住民税をそれぞれ10%とすれば、年間4万8,000円の税金が節約できることになります。
また、運用で得た利益は20.315%の税金が課せられますが、iDeCoの場合はそれも非課税です。年金を受けるときも、「公的年金等控除」もしくは「退職所得控除」の対象になります。
iDeCoと不動産投資はいずれも資産形成と節税ができる方法です。しかし、iDeCoが毎月少額の資金で行えるのに対し、不動産投資は高額な資金を必要とする点が異なります。
また、iDeCoは資産形成のために金融商品を購入して運用するのに対し、不動産投資は不動産管理や運営を行わなければなりません。節税対策としては、iDeCoの方が手間がかからず簡単な方法といえるでしょう。
ふるさと納税とは、地方自治体に寄付をすると2,000円を超える部分について所得税や住民税が控除される制度です。
さらに、寄付金に相当する地方の名産品を受け取ることができます。控除額の上限は総所得金額等の40%です。例えば、年収400万円であれば4万2,000円までの控除ができます。
ふるさと納税は、実質2,000円の支払いで控除上限額までの名産品を受け取れるのがメリットです。地方自治体を支援することを目的とする制度で、実質住民税の先払いであるため、不動産投資と比較すると節税効果はあまり高くありません。
不動産投資には、向いている人と向いていない人がいます。向いているのは、次のような人です。
● 年収が1,200万円以上ある
● 行動力がある
● 長期的な計画を立てられる
不動産投資に向いている人は、年収が高い人です。所得税の課税方式は累進課税制度が取られており、年収が多いほど税率が高くなります。年収が低く税率が低い場合、所得税・住民税率と譲渡税率の差が大きくならないため節税効果を実感できません。
課税所得900万円以上であれば、税率が33%になり、譲渡税率との差が広がって節税効果が高くなります。年収にすると、1,200万円が目安です。
また、不動産投資は融資の申し込みや不動産会社への訪問、物件探しなどの行動が必要です。投資効果の高い物件を見つけるために、数多くの物件にあたる行動力がある人が向いています。
そして、不動産投資はすぐに成果が得られる投資ではないため、長期的な視野で取り組めることが必要です。
早いリターンを求めている、あるいはリスクをできるだけ回避したいといった人には不動産投資はあまり向いていないといえるでしょう。不動産投資は借金や空室による収入の減少など、さまざまなリスクを伴います。これらのリスクに備える対策を行いながら運用できなければなりません。
年収1,000万円以上の節税対策とは?各種控除など節税方法を紹介
不動産投資はサラリーマンに向いている節税方法です。投資を始めるには不動産購入のための資金が必要ですが、安定した収入のあるサラリーマンであれば融資を受けやすいためです。また、万が一不動産の運営がうまくいかない場合でも、本業で確実な収入があれば生活に困ることはありません。
ここでは、サラリーマンに不動産投資が向いている理由についてご紹介します。
不動産投資を始めるには、まず投資する不動産の購入が必要です。購入のために融資を受けるとき、サラリーマンであれば融資を受けやすいというのが不動産投資に向いている理由のひとつです。
融資を受ける際は、年収や勤務先、勤続年数などが審査されます。個人事業主と比較して安定した収入のあるサラリーマンの場合、審査に通りやすい傾向があるでしょう。銀行によって審査は異なりますが、安定した収入と長期的に見て収入が上がると思われる場合は、審査を有利に進めることができます。
サラリーマンは毎月確実な収入があるため、不動産投資の運用がうまく行かない場合でも生活資金に困ることがありません。個人事業主など毎月の収入が不安定な場合と比べ、資金に余裕をもって運用することができます。
また、サラリーマンとして所得税や住民税を多く支払っているほど不動産投資の節税効果が期待できるという点も、向いている理由といえるでしょう。
サラリーマンが不動産投資で節税できる場面は複数あります。不動産投資にはさまざまな経費がかかりますが、経費計上で赤字になれば課税所得を減らすことが可能です。
なかでも、減価償却による費用の計上が節税のポイントとなります。また、実際に節税するためには確定申告が必要です。
サラリーマンが不動産投資で節税できる仕組みについてご紹介します。
マンション投資で節税できる!仕組みや節税額を増やすコツについて解説
不動産投資で節税するためには、経費を計上して不動産所得を赤字にすることが必要です。赤字となった金額を給与所得から差し引き、課税所得を減らすことができます。赤字といっても現金の出入りがマイナスになるのではなく、帳簿の上で赤字になるということです。
不動産投資で経費に計上できるのは、主に以下の費用です。
● 管理費
● 修繕費
● 固定資産税などの税金
● 管理委託料
● 火災保険や地震保険などの保険料
● ローンの利息
ほかにも、現地に出向いて打ち合わせをする場合の交通費や交際費、不動産管理で使用する電話などの通信費、司法書士や税理士に支払う費用なども経費となります。
不動産を購入した初年度は高額な支出があり、経費計上することで高い節税効果を得られます。
初年度にかかる経費は以下のとおりです。
仲介手数料
●不動産登録免許税
●不動産登記手数料
●固定資産税と都市計画税(取得時からの日割計算)
●不動産取得税
●火災保険などの保険料
これらの支出を確定申告することで、所得税・住民税を大きく節税できます。
不動産の購入費用は減価償却となり、減価償却期間に応じて毎年経費計上します。
不動産を購入した費用のうち、建物部分は減価償却による費用の計上ができます。減価償却とは固定資産の取得にかかった費用を全額その年の費用に計上せず、耐用年数に応じて毎年少しずつ費用に計上していくことです。
建物の減価償却費は法定耐用年数と築年数、建物の金額で計算します。毎年の経費と合わせて減価償却費を計上することで、高い節税効果が期待できるでしょう。
サラリーマンの場合、所得税や住民税は源泉徴収により支払い済みですが、赤字となった不動産所得を損益通算することで、払いすぎている所得税の還付を受けることができます。還付を受けるには翌年に確定申告をしなければなりません。
なお、住民税は還付されるのではなく、翌年の給与から徴収される分に反映されることになります。
不動産投資は贈与税の節約もできます。不動産を贈与する場合の贈与税は国税庁が定める相続税評価額で計算しますが、相続税評価額で算出される不動産の評価額は時価より2割〜3割ほど低くなります。そのため、現金で贈与するよりも贈与税を節約できるのです。
不動産投資は相続税の節約にもなります。相続税が節税になるのは、贈与税と同じく不動産のまま相続する方が現金に変えた場合よりも低い金額になるためです。
相続はまだ先の話かもしれませんが、不動産投資で不動産を取得しておくことで相続対策ができるでしょう。
年間の家賃収入が高額になる場合、税金を所得税として支払うよりも法人税として支払う方が節税になる場合があります。累進課税の所得税は課税所得が増えると税率も大きくなりますが、法人税は上限が23.2%であるためです。
課税所得が900万円を超えると税率が33%となるため、年間の所得が900万円を超える場合は法人として不動産投資を行う方が節税できます。
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不動産投資の節税効果は年収や購入物件により異なり、条件によっては節税効果が期待できない場合もあります。まず、節税効果が高いのは年収が高い人です。年収が低い場合は節税効果が低く、不動産投資をするメリットは少ないといえるでしょう。また、物件の形状や築年数によっても節税効果は変わります。
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
不動産投資は年収が高い方が節税効果が高くなります。年収が高い方が、所得税と譲渡税の差が出るためです。
不動産は売却するときに譲渡税がかかりますが、税率は所有期間が5年以下の場合は39%、5年以上の場合は20%です。不動産投資の節税効果を高めるには、譲渡税の20%と所得税の税率に差があることが必要です。
給与所得の所得税は累進課税が採用されており、5%〜45%の税率となっています。譲渡税率との差が開くのは課税所得900万円からの33%で、900万円以下の所得の場合は高い節税効果が期待できません。
不動産投資は高額な借金をするだけでなく、運営にもさまざまなリスクを伴います。わずかな節税効果のためだけに行うのはメリットは少ないといえるかもしれません。
購入する物件によっても節税効果は変わります。不動産投資の節税は赤字計上による損益通算であるため、減価償却費が大きいほど課税所得を減らして節税効果が高くなります。
減価償却費は物件により異なり、減価償却費が高くなる物件を選ぶことが必要です。
減価償却費が高くなるのは、法定耐用年数が22年と、他の構造に比べて短い木造住宅です。また、耐用年数を超えた物件であれば耐用年数×20%の金額で減価償却できるため、木造で築年数の古い建物が、より節税効果が高くなるといえるでしょう。
中古物件は新築よりも安い傾向にあり、初期投資を抑えられるのがメリットです。「不動産投資を始めたいが、高額な投資で失敗した場合のリスクが心配」という方でも、気軽に取り組みやすいでしょう。
ただし、中古物件は新築に比べて入居者を集めにくく、物件によっては修繕費が必要になる場合もあります。物件選びでは、空室のリスクや購入後にかかる費用も合わせて検討しましょう。
所得税・住民税の不動産投資の節税効果は、年収により異なります。年収が高いほど所得税の税率が上がるため、不動産所得の赤字が大きければ節税効果も高まるでしょう。また、相続税の場合は現金で相続する場合に比べ、節税効果が高くなります。
実際にどのくらいの節税効果があるのか、税金ごとにシミュレーションを紹介します。
所得税は年間の所得に対して課税されます。給与収入の場合、所得額は年収から給与所得控除を差し引き、さらに社会保険料などの控除を引いて求めます。
以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
● 年収:600万円
● 給与所得控除:164万円
● 基礎控除:48万円
● 社会保険料控除等:50万円
(不動産投資をしない場合)
課税所得は「年収600万円−給与所得控除等262万円=338万円」となります。
338万円の所得税率は20%で、42万7,500円の控除があります。
338万円×20%=67万6,000円
67万6,000円−42万7,500円=24万8,500円
所得税は24万8,500円です。
住民税の税率は10%であり、課税所得に乗じて均等割の5,000円を加算します。
住民税は338万円×10%+5,000円=34万3,000円です。
(不動産投資をして80万円の赤字となった場合)
課税所得338万円−80万円=258万円
258万円×20%=51万6,000円
51万6,000円−42万7,500円=8万8,500円
所得税は8万8,500円です。
不動産投資により、24万8,500円−8万8,500円=16万円の節税ができたことになります。
住民税は258万円×10%+5,000円=26万3,000円となり、34万3,000円−26万3,000円で8万円の節税です。
次に、以下の条件でシミュレーションしてみます。
● 年収:1,200万円
● 給与所得控除:195万円
● 基礎控除:48万円
● 社会保険料控除等:80万円
(不動産投資をしない場合)
課税所得は「年収1200万円−給与所得控除等323万円=877万円」となります。
877万円の所得税率は23%で、63万6,000円の控除があります。
877万円×23%=201万7100円
201万7100円−63万6,000円=138万1,100円
所得税は138万1,100円です。
また、住民税は877万円×10%+5,000円=88万2,000円となります。
(不動産投資をして80万円の赤字となった場合)
課税所得877万円−80万円=797万円
797万円×23%=183万3,100円
183万3,100円−63万6,000円=119万7,100円
所得税は119万7,100円です。
不動産投資により、138万1,100円−119万7,100円=18万4,000円の節税ができたことになります。
住民税は797万円×10%+5,000円=80万2,000円となり、88万2,000円−80万2,000円で8万円の節税です。
相続税の場合は、不動産の購入により現金で相続する場合と比べて税額を節約できます。現金を相続した場合と、不動産投資の物件を相続した場合を比較してみましょう。
相続税の計算は以下の通りです。
相続税=(遺産額-基礎控除額)×相続税率-控除額
基礎控除は、「基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人数」の計算式で求めます。
(1億円の現金を1人で相続する場合)
● 1億円の相続税率:30%●
控除額:700万円
1億円−(基礎控除額3,600万円)×30%-700万円=1,220万円
現金を相続する場合、相続税は1,220万円となります。
(1億円の土地・建物を1人で相続する場合)
1億円のうち、土地の価格は7,000万円、建物の価格は3,000万円と仮定します。建物の固定資産税評価額は、建物の建築費の60%が目安です。
そのため、建物の価格は3,000万円×60%=1,800万円で計算します。
8,800万円−(基礎控除額3,600万円)×30%-700万円=860万円
不動産投資をして不動産を相続する場合、1,220万円−860万円=360万円の節税になります。
節税目的で不動産投資をしても、うまくいくとは限りません。事前の計画が十分でない場合、失敗に終わる可能性もあります。
不動産投資で節税するためには物件選びから注意する必要があり、減価償却費を大きくとれない新築物件では節税効果が期待できないでしょう。
ここでは、節税目的で不動産投資をした人の失敗例をご紹介します。
Hさんは不動産投資が節税できると聞き、将来の資産形成もかねて新築区分マンションを複数購入しました。節税について不動産会社の営業マンに相談したところ、毎月の管理費などを経費計上することで節税できるという説明を受け、勧められるままに新築マンションを購入したという経緯があります。
新築マンションのため入居者もすぐに見つかり、賃貸経営は順調に進みました。しかし、数年経過しても高い節税効果は感じられません。毎年の節税効果を高めるのは支出なしに計上できる減価償却費ですが、耐用年数の長い新築の場合は1年の減価償却費を大きくとれないことが原因です。
数年経過したマンションは新築というメリットも薄れ、空室になる期間も多くなりました。節税効果が低いということに気づいたHさんは、マンションを売却して減価償却費を多くとれる中古物件に買い換えようと考えました。
しかし、売却価格が購入価格よりも大幅に下がることがわかり、売却もできない状況になったということです。
年収が高いために高額の税金が気になっていたYさんは、不動産投資で節税できたという同僚の話を聞き、一棟マンションを購入しました。節税のためには経費の額が大きい方がいいと考え、経費と称してつい無駄使いしてしまうことが多くなります。
また、いくら支出しても経費にできるという安心感もありました。確かに経費が多くなれば税金は減りますが、手元のキャッシュフローは確実に減少します。
その結果、資産は目減りし、不動産投資を行う前よりも実質的に収入が減ってしまうことになりました。
不動産投資はあくまで家賃収入で利益を上げる方法です。節税は副次的な成果に過ぎません。節税を主な目的にすると、本来の目的を達成できないことにもなるでしょう。
不動産投資は給与所得と損益通算し、所得税・住民税を節税することができます。その効果を得られるのは、あくまで日本で働いていることが前提です。海外で得ている収入を損益通算することはできません。
Sさんは年収が1200万円になり、高額な税金に悩んでいました。あるときインターネットで投資のサイトを見つけ、不動産投資が節税になることを知ります。特に築年数の古い木造物件は節税効果が高いと知り、中古の木造アパートを一棟購入しました。
数年間は順調に賃貸経営を続け、高い節税効果を得ることができました。しかし、3年後に海外転勤が決まり、損益通算による節税効果が得られないことになってしまったのです。
古いアパートは空室も多く、管理費や修繕費を考えると収益性もないため、結局売却することになってしまいました。
Gさんは不動産投資に興味があり、良い物件があれば投資したいと考えていました。空室のリスクを気にかけ、できれば入居者がいる状態で購入したいと思っていたところ、満室の状態にある物件を見つけたのです。
家賃収入が確実に手に入ると考えて購入を決め、しばらくは満室状態が続いて収入は安定していました。しかし、1年ほど経つと入居者が少しずつ退去し、駅から遠いこという立地条件だったため、次の入居者がなかなか現れません。入居者が見つかるのに数ヶ月かかり、それでも満室には戻らず家賃収入が大きく減ってしまいました。入居者が多いというだけで購入し、立地条件などをよく確認しなかったために起きてしまった失敗例です。
入居者がいる状態でもその状態が続くとは限りません。継続して入居者のニーズがある物件かどうかを確認する必要があります。
不動産投資で節税するためには、いくつか注意したい点があります。
まず、不動産投資はあくまで資産形成が目的であり、節税がメインではないということです。節税を意識するあまり赤字計上が続くと、銀行から融資を受けられない場合もあります。また、空室などのリスクがあることも認識しておかなければなりません。
不動産投資で注意したい点について紹介します。
不動産投資は年収によっては大幅な節税も期待できますが、目的はあくまでも投資による資産形成です。長期的な計画を立てて、上手に不動産経営をしなければなりません。不動産の専門知識がなく不安な場合は、信頼できる不動産会社に相談するのもよいでしょう。
節税の工夫とともに、資産形成に向けた取り組みをしっかり行うことが大切です。
不動産投資をしてもすぐに収入が入るとは限りません。空室が埋まらなければ、高いローンだけを抱えることにもなります。
例えば、木造で築年数の古い物件は節税効果が高くなりますが、都心部では賃借人の需要が低い可能性があります。購入する立地条件なども考えて物件を選ばなければなりません。節税だけでなく、賃貸経営の視点で取り組むことが必要です。
節税に熱心なあまり赤字計上を繰り返していると、経営が危ないとみなされて銀行の融資を受けられなくなる可能性があります。
新たな不動産を購入したり、リフォームしたりする費用が必要になったときに、必要な資金を調達できないということにもなりかねません。リフォームできずに老朽化した物件は、空室のリスクが高まる可能性もあります。
不動産投資は、所得税や住民税などの税金を節約する効果があります。安定した収入のあるサラリーマンに向いている投資で、資産形成しながら節税できるのがメリットです。
ただし、一定以上の年収でない場合はあまり高い節税効果は得られないことは把握しておきましょう。また、不動産投資はあくまで資産形成が目的であるため、節税だけでなく賃貸経営にもしっかり取り組むことが大切です。
これから不動産投資をしたいと考えている方には、J.P.RETURNSの不動産投資動画セミナーがおすすめです。
投資の専門家が空室リスクの対策をアドバイスするなど、不動産投資のノウハウをお伝えします。
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J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)