借入をしたり、金額が大きい事もあって比較的他の投資と比べてリスクが大きく見える不動産投資ですが、投資の世界ではリスクの低い商品だと言われます。
この一般的にローリスク、ミドルリターンといわれる不動産投資のリスクというのは本当に1個人が負担しきれるような小さい物なのでしょうか。
また、そのリスクというのはどんなものなのでしょうか。
今回はこの不動産投資のリスクを徹底的に掘り下げて検証していきたいと思います。
少し長くなりますが、運用上皆さんも気になるところだと思いますので、何項目かに分けてあえて細かく検証してみたいと思います。
┃前提として理解してほしいこと
このリスクを考えるにあたってですが、私は投資商品を扱うものとして、リスクだけを検証するのは間違っていると考えています。
まずは商品の魅力に当たる利益の部分をよく理解し、なるべく利益を最大化する為のコツや、考え方を知ること、その考え方について自身の中に指標を作ることが大事です。
なぜなら利益を最大化することができ、その可能性が高いことがわかっていれば、それが一番のリスクヘッジにつながるからです。
┃まずは不動産投資の仕組みを解説
ではまず、不動産投資の根本的な理屈から考えると、不動産投資はローリスクだと言われる由縁がわかりますので、その仕組みからお話します。
不動産は投資の中で唯一、投資するお金そのものが借りられる投資商品です。
しかし、読んで字のごとく投資なので現金を投じた場合で比べていきたいと思います。
例えば預金です。
定期預金であればある一定の金利が利息として返ってきます。
株式であれば配当金です。
これが不動産の場合は家賃収入によって利益が返ってきます。
これがインカムゲインです。
定期預金であればリスクはなんでしょうか。
利息が史上最低金利となっている今は、預金しているのに金利が付かない、要はお金がもらえないということ事体にリスクを感じている人もいます。
株式であれば、投資した会社の業績が悪ければ配当金が出ないこともあり得ます。
一方家賃収入ですが、東京都内の場所のいい不動産は周りに比べて家賃が相場通りの家賃という事であれば、ワンルームマンションなどは非常に高い満室率で稼働しています。
ほとんどの物件は家賃が取れているのです。
ましてや、その家賃で10年以上住み続けている人も中にはいると考えると、ずっと家賃収入が絶え間なく入ってきていて、更新料も入っているという事になります。
低金利の預金や、出たり出なかったりする配当と比べるとどうでしょうか。
一定の割合で、家賃が年間100万円安定して取れるとなると、他の預金、株式と比べ家賃収入が魅力的に見える事もあると思います。
┃実際の利回りで計算してみると…
2,500万円のワンルームマンションから年間100万円の家賃収入が入ってきたとします。
実質利回り4%です。
この利回りは都内ではごくごく一般的。
どなたでも今すぐに同様の物件を、そこそこ東京の中でもいい場所を選んで買う事ができる利回りです。
この家賃が年間100万円、10年で1000万円入ってきたとします。
今の預金利回りと比べれば利回りは圧倒的に高いという結果になります。
株式で年間100万円の配当金を10年間安定して得るのは、その会社の業績次第なので難しいかも知れません。
それと比べれば不動産の家賃収入は東京の場合稼働率そのものが高いので、労せずに結果を出すことが高い確率で可能になります。
マンション投資の場合、購入した不動産の設備も修理や交換はオーナー負担となります。
例えばこの投資で、5年目にエアコンが壊れて交換、10万円を負担したとします。
更に、7年目で給湯器が壊れ20万円交換に費用がかかったとします。
この二点はマンション運用にかかる代表的なコストであり、運用上のリスクです。
負担したコストを引くと、この場合10年間の家賃収入は970万円残ることになります。
10年間の家賃収入の中で十分に運用上のコストは賄えた上で、利益は970万円残ります。
他の投資商品等と比べてリスクが低いと言われる由縁はまさにここにあります。
不動産投資の場合は、持つ物件の賃貸需要が高いエリアの場合、ほとんどの物件から家賃はきちんと上がってきます。
預金で言えば利息に当たるような、一定の割合でインカムゲインを得るという事においては都心のマンション経営は非常に精度が高く、今現在のように低金利の時代であればその利回りは預金などと比べて大きな魅力があります。
ランニングコスト等の運用リスクを考えても十分に利益が残り、インカムゲインを得るという目的は他の投資と比べて非常に高い確率で達成できるのです。
┃不動産投資の損益分岐点
ここだけ見れば不動産投資には非常に魅力があります。
しかし、投資した元金はどうなっているのでしょうか。
預金であれば元金はほぼそのまま、手元に2,500万円がのこっているでしょう。
株式はその時の株式相場に比例するので、増えていることも、減ってしまう事もあります。
では、マンションの場合はどうなのか。
お金は一旦不動産という形の資産に姿を変えてしまっています。
10年間、1,000万円の家賃を取ったあと、この不動産を売却したとします。
その時に、購入した価格と同じ価格、2,500万円で売却できたのであれば、家賃から取れた1,000万円の利益は本当に全て利益だったことになります。
投資を開始した時の利回りがきちんとそのままの数字で利益になった事になるのです。
しかし、もしも売却時に1,500万円の価格しか値段が付かなければ、利益は一切なかった事になります。
2,500万円を10年間タンスに置いておいたのと変わりません。
もしも1,000万円の価格しか付かなければ、運用結果として10年経過して、500万円もの損失が出たことになります。
という事は、不動産の投資の場合、投資を開始する際の表面上の利回りだけではなく、この売却時の価格によって、大きく運用結果が変わってしまう可能性があるという事です。
ずっと売却せずに、その物件を保有し続けているのであれば、利回りを重視した考え方でもよいかも知れません。
売却をしないのであれば売却時の結果は見る必要性がないからです。
この場合は他の商品と比べてなるべく利回りの良い物件を購入する理由が明確です。
しかし、途中で売却が想定されるのであれば、この運用の出口の価格次第では損失につながる可能性があるというのが不動産投資なのです。
この場合は投資の入り口の利回りだけを考えて投資すると、想定外の間違いが起こります。
次回はこの価格の下落リスクがどういった特性をもっているのか掘り下げて検証していきます。