古民家などの古くていわゆるボロ家を安く買ってきてリフォームをかけ、高い家賃を取るという不動産投資の方法があります。
本なども出ていますし、インターネットでもこういった方法で投資して成功をしている方の実例や実話、体験談などの記事を見かけます。
もちろん利益になる事もあるでしょうし、見えないところで失敗しているという方も沢山いると思います。
古民家や古い物件、地方の物件などの運用で気をつけなければならない事とはどんな事でしょうか。
まず、マンションのフルリフォームの相場からお話します。
リフォームは本当にピンからキリまでの世界で、お金を掛けようと思えばその価格は青天井でいくらでもかけられてしまいます。
ここではごくごく一般的なリフォームのイメージでお話しますが、スケルトンにして70㎡くらいのお部屋をフルリフォームするならざっくりと目安になる金額は500万円程度です。
多少安っぽくなっても構わないということなら海外の安価なメーカーを使えばコストは下がります。
国内メーカーのTOTOやINAXなどを使えばグレードによりコストは上がります。
ドイツなどのデザイン性の強いブランド等を入れればもっと高額になることもあります。
キッチン、バス、トイレなどの水場のリフォームをメインとして配管まで交換しなければコストは100万円以上も落とす事もできます。
イメージ的には500万円で古民家を購入し、同じ位の金額をかけてリフォームして貸し出す。これが古民家の運用のイメージです。
ただし一軒家の場合は外装も古く、木造ならマンションに比べて耐久性も劣ります。
古くなれば外装のリフォームも必要になることがあります。
場合によってはマンションには少ない雨漏りやシロアリの被害も考えられます。
後々外装をリフォームするなら数百万円ものサイディング工事や屋根の補修などが必要になることもあります。
購入代金500万円、リフォーム費用500万円、合計1,000万円をかけて年間100万円の家賃で貸すなら利回り10%です。
もっと高利回りで回せる事もあるでしょうから、一見すると非常に高い利回りが取れて効率の良い投資に見えます。
しかし10年貸して1,000万円の家賃が取れる訳ですが、この10年に屋根、外装の工事をして300万円のコストがかかると利回りは7%です。
入居者が退去して原状回復工事を入れる場合もワンルームなどと違ってリフォームの範囲が広くなるので原状回復工事でも50万円ほどの工事費の出費は見込む必要があるでしょう。
こうなると実質の利回りはさらに下がって6.5%です。
築30年の物件を購入して運用するなら10年貸すと築40年の木造住宅となります。
木造は22年の減価償却期間が法定されていますので、すでに減価償却は終了しています。
入ってくる家賃収入も課税になり、賃料に対しても税金を支払う可能性が高くなります。
所得税20%と住民税10%が課税になると100万円の家賃収入に対して税金を30万円支払う事になります。
結果家賃収入は全て利益になる訳ではなく、税引き後70万円しか残らない可能性が出てきます。
毎年30万円を5年間、150万円が税金だとすると実質的にはこうなります。
この様な結果の場合、利回りは実質5%しかなかった事になります。
これなら都心23区のマンション経営と利回りは変わらなくなってしまいます。
地方でなおかつ古い木造の古民家とリスクが大きくなった分、都心のマンション経営をした場合と比べて売却も難しく、古くなると賃貸も付きにくくなり運用の難易度が時間が経つほどに上がってしまいます。
経時的に問題が大きくなり最後は出口のない投資になっていきます。
一見すると儲かりそうに見えるお話もあるとは思いますが私は絶対にやりません。
利回りという投資の入り口だけ見ずに必ず全体像を把握してから投資をしましょう。