久しぶりの元祖シリーズです。
今回はトンカツにヒレ肉を始めて使用したお店、ヒレカツの元祖「蓬莱屋」
JR御徒町駅からすぐのこのお店は大正元年創業です。
すでに100年以上もの間今も変わらぬ味を提供し続けています。
薄めの衣をつけてカリッと揚がったヒレカツは揚げ油にラード(豚の背油)とヘッド(牛脂)が使われています。
揚げ油に動物性の脂が加わると風味とコクが増します。
脂の酸化による劣化が早くなるので油のメンテナンスが重要になりますが、独特の風味と旨味を表現できます。
さらにこのお店は温度の高い油で最初に揚げて外側をカリッと香ばしく揚げた後に、低温の脂に移してゆっくりと中まで火を通します。
揚げ過ぎると火が通りすぎて固くなる性質のあるヒレ肉はこの揚げ方が肉質からいってもよく合っています。
この2度揚げという技法は「蓬莱屋」が初めて考案したものですが、現在は色んな他のお店でもこの技法が用いられています。
食べ方はシンプルにトンカツソースにお好みでマスタードを付けて召し上がってください。
お昼は特別メニューがあり少しお安くお得なセットメニューが用意されています。
今回はどうしてもヒレカツが食べたかったのでカツとセットになっている「東京物語膳」を注文しました。
お代わりも自由のご飯、キャベツとお漬物、カツがお膳の中に綺麗に並べられています。
熱々のカツはヒレ肉なのに全くパサパサしません。
ジューシーでパリっと香ばしいカツとご飯が良く合います。
インゲンの入ったお味噌汁と、食後にゆずの小さいシャーベットがデザートにつくのでお口もさっぱりします。
東京の北の玄関口として栄えた上野は江戸時代に建立された徳川将軍家菩提寺である寛永寺の門前町として栄えてきました。
明治時代には不忍池、上野公園、博物館、美術館、文化会館などの施設が整備され、アメヤ横丁も連日賑わいを見せ、各所に老舗の名店、和洋菓子のお店が数多くあります。
映画監督の小津安二郎が愛してやまなかったという逸話もある蓬莱屋。
1912年に創業した老舗の元祖ヒレカツ。
お近くに行く事があれば是非立ち寄って元祖ヒレカツを堪能してみてはいかがでしょうか。