不動産は売却するときに場合によっては課税対象になります。
要は利益として換算される金額に対して課税となるわけですが、これは購入金額に対して売った金額との差額や減価償却費などを勘案して課税されるのですが、そもそも買った金額がわからないということもあり得ます。
そんなことあるの?と思うかも知れませんがこれが意外と多いのです。
例えば相続された不動産はご両親が買われた不動産なので自分ではいくらで買った物なのか判断できなかったり、契約書がどこにあるかわからなかったりすることもあります。
他にも契約書の紛失や、贈与を受けた場合など取得価格が不明なケースというのも意外と多いのです。
では、この不動産の取得価格が不明な場合はどの様に利益を計算するのかというと、売却価格の5%が経費として認められます。
例えば1000万円で売却したのであれば1000万円の5%である50万円が経費となります。
これ以外の950万円は他に計上できる経費がない場合には全て利益と考えられます。
実際には契約書の印紙代や登記費用、仲介手数料などが計上出来ますのでもう少し経費は多くなり、利益は少なくなることが多いでしょう。
しかし、売却価格のほとんどが利益となる事には違いありません。
950万円が利益であれば、短期譲渡なら39%が税額です。
支払い税額は所得税、住民税を合わせて370.5万円となります。大きいですよね。
長期譲渡の場合は20%となりますので190万円となります。
いずれにしても例えば購入価格が1200万円の不動産でその契約書や領収書など購入価格や支払いの明細がきちんと残っているケースであれば、税金は一切かかりません。
購入価格よりも安く売却していますし、減価償却を計算してもおそらくは課税になる事は自宅の場合ならまずないでしょう。
しかし、購入価格が証明できる物を一切持っていなければ売却価格の5%が取得価格となりますので、買った価格よりも安い価格で売却したにも関わらず大きな税金を請求されることにもなりかねないのです。
これを防ぐ手段は冒頭でもいっている通り、売買契約書や領収書、支払明細書などの重要書類をきちんと保管しておく。これがなによりも重要となります。
例えご両親が建てた家、購入した不動産でも建てた時の請負契約書や売買契約書、領収書、取引明細書などの所在は共有しておくことをお勧めします。
取得価格がわからない。ただそれだけで数十万円から、大きい不動産なら数百万円もの税金を余分に支払わなければならない可能性もありますので取得価格がわからないかも?という方は今のうちに調べておく方が良いかも知れません。
不動産は価格が大きいので課税される金額も馬鹿になりません。
この様に知らない事で大きな損になることが世の中には沢山あります。
事前に情報をとることの重要性は税の世界では大きな違いとなります。
特に相続にかかわる税金は事前の準備によって大きく違いが出てきます。
いつ訪れるかはわからない問題だからこそ、先送りせず早めに必要なことについて知る努力が必要となります。