不動産投資をすると、確定申告の際に様々な経費を計上できるので、場合によっては不動産の運用経費が収入を上回り不動産赤字所得が出る事があります。
不動産赤字所得は総合課税となるため、給与所得などの他の所得と合算すると節税効果を生む事になります。
一見すると税金が返ってくるのはメリットに感じますが、実はだれでも節税すれば得をすると思ったらそれは間違いです。
不動産赤字所得が年間100万円出ていたとして、この赤字がいくらの節税効果につながるのかは本人の所得税率によって変わります。
例えば所得税率が20%の方は住民税10%と合わせると税率は30%なので、30万円が節税により返ってきます。
しかし所得税率が5%の場合は住民税と合わせても15%となり、15万円しか戻ってきません。
所得税率が低い場合は税還付も低くなります。
問題はこの不動産赤字所得がどこから来ているかです。
赤字が減価償却の数字を原因として出ている場合は、当該物件を売却した時に減価償却分は利益として換算されます。
取得価格が減価償却された分だけ下がった扱いとなる為、売却する際は利益になり、売却時の課税対象となります。
結果、売却時は長期譲渡だとしても20%の分離課税の税金を納めることになるのです。
一回整理しますと、
減価償却などで100万円の赤字が出て、15万円を節税により取り戻しても、売却時に20万円の税金を納める事になるなら損をしてしまうのです。
ということは、所得税率が10%の方ならトントンになってしまうので、節税する意味はありません。
所得税率が5%の方は減価償却による節税をすればするほど、損をします。
少なくとも所得税率が20%以上の方でなければ、不動産を使って節税する意味はないといえるのです。
逆に高額納税者の場合で所得税、住民税率合わせて55%なんていう方は、不動産を使った節税効果は受けるほど得しかありません。
必ずやった方がいいでしょう。
売却時に20%しか税金を支払わないのであれば、どんなに節税しても35%分得をすることしかありません。
節税効果は本人の所得により効果が大きく変わります。
原則は高額納税者の方が有利で、所得税率10%以下の方は得をすることがないと考えて間違いありません。
いずれにしても節税のことだけを考えて不動産投資をするのは良くありません。
必ず不動産そのものにきちんとした投資効果が望めるのか、投資価値をよく理解して買う事をおすすめします。