失敗事例から学ぶ

2019/05/13

物件の選び方

不動産投資は比較的リスクが少ないと説明している書籍や、インターネットでの記事を見かけるかと思います。

 

では失敗はないのか?

そんなことはありません。

事実失敗した例を私はいくつも見てきましたし、そういったご相談を受けてきました。

お客様の中にもそういった失敗につながるのを警戒して心配している方も当然いらっしゃいます。

 
┃実際の失敗例

では実際に失敗している方の実例を見てみましょう。

 

購入物件:福岡市 西鉄天神大牟田線 徒歩5分

間取り :1R

平米数 :19.49㎡

購入当初価格:新築時 15,240,000円

購入当初予定していた家賃:60,000円

購入後7カ月経過した時の家賃:54,000円

現在の家賃:42,000円

10年後の想定家賃:38,000円

購入時の管理費、修繕積立金:9,400円

現在の管理費、修繕積立金 :10,900円

購入時の月々の持ち出し:▲20,783円

現在の月々の持ち出し :▲38,439円

 

この場合ですが、まず新築時に満額で融資を受けて購入されています。

当時はバブルこそ崩壊していたもののまだ借入金利は高く4.44%、月々の持ち出しが20,783円となっています。

ご本人は節税効果と、当時福岡に入っていた開発による資産価値の上昇を期待して購入されていますが、まず6万円の想定家賃が購入後7カ月経過しても賃貸が埋まらないことを受けて、早速家賃を5万4千円まで設定を下げられてしまっています。

物件の立地は福岡の中では決して悪くはありません。

繁華街である天神からも駅でいうと三つとそう離れておらず、福岡の中心街にアクセスも良いエリアの物件です。

 

しかし、そもそもの賃料相場も想定が高く見積もられていて甘いという事です。

更に当該物件周辺の家賃相場が下落しやすい傾向があり、築年数と共に家賃が下がっていってしまいます。

借入金利は景気の下降と時間と共に多少下がっているのですが、それに合わせて修繕費の上昇、家賃の下落が重なり月々の持ち出しは当初の計画よりも更に増えてしまっています。

 

現在物件の残債は592万円、売却を想定した場合の物件の売却価格は550万円です。

こうなると残債以下の価格しかつかないので、売却をするのであればご自身の資金を持ち出さないと売ることができません。

まして今までの持ち出し金額を考えるとおよそ22年間で約900万円となり、総額では940万円程の大きな損失を出して運用を終わるということになります。 

これでは投資として全く意味がありません。

 
┃どうして失敗してしまったのか?

大きく損を抱える原因になったポイントがいくつかあります。
価格、そして借入金利、資金の使い方、家賃相場です。

・価格
基本的に築年数と共に経時的に下がるのが当たり前ではありますが、どれくらい下がるのか、きちんと購入時には想定していません。

中古の同じエリアの同じような広さの物件も売りに出ているので調べればわかるはずなのですが、当時はインターネットの環境もなく、今の様に情報が取れません。

営業マンに開発によって資産価値が上がるなどとうそぶかれ、それを信じた結果です。

金利と資金の使い方
当時は金利が4.44%。 

当然高金利であるという事は家賃の利回りを金利が食ってしまいます。

この場合は頭金を入れたり、繰り上げ返済をきちんと計画すれば余計な利払いをおさえていくことが出来たはずです。

無駄に高金利の貸し付けを受けて賃料のほとんどを金利に食われてしまっている以上、ローン返済により資産化していくスピードが遅くなってしまうことになります。

・家賃相場

周辺の中古の家賃相場を事前に調べておけば、どれくらい家賃が下がるのか前もって知ることもできたはずです。

それを知らずに持った時の入り口の収支しか見ずに投資した結果、家賃の下落の影響を大きく受けた形になっています。

┃どうしたら失敗を防げるのか?

では具体的にどう判断すれば不動産投資は失敗を防げるのでしょうか。

福岡ではワンルームマンションの価値が中古になると極端に下がります。

ファミリータイプであれば住宅地として価値の高いエリアはそこまで価値は落ちませんが、ワンルームの相場は弱く、基本的に価値が落ちやすいのです。 

本来そういった相場の場合は中古で価値の落ち着いた物件を現金で購入するのが良いでしょう。

ただし、こういった相場のエリアはそもそも賃貸の競合が多く、賃貸需要そのものが低い為家賃が下がりやすいからこそ価格が下がり、家賃も下がっているわけですから、永続的に古くなっても家賃が取れる保証はありません。

売却しようにも買い手がつかなくなる可能性すらあります。

この福岡の物件の近辺の家賃相場は、築30年経過している物件の場合で見るとおおよそ38,000円が相場です。

ワンルームマンションの場合は管理費修繕積立金の支払いが日本全国だいたいどこでも月々1万円位の支払いになります。

これはどこでも同じです。

となれば管理費修繕積立金を引くと28,000円しか残りません。

おおよそ家賃の30%近くが管理費修繕積立金に消えることになります。

東京のワンルームマンションであれば85,000の内管理費修繕積立金が1万円かかっても、管理コストは割合が低くなり、手残りの割合が多くなります

エアコン、給湯器、リフォーム代は日本全国どこでもコストはさほど変わりません。

となると入る家賃が小さい場合は、その分回収に時間がかかることになり、エアコン代を回収するのに福岡であれば3ヶ月分の家賃が必要になるのに対し、東京であれば1カ月で回収できることになります。

月々の持ち出しも、購入価格も、金利も、家賃も将来起きることを全てにおいて確認も想定もできておらず、更に対策も講じていない以上損失がでるのは当然です。

┃まとめ

不動産は歴史の長い商品です。

今までに沢山の取引事例があります。

更に今はインターネットできちんとした情報を得ることができ、確認ができます。

投資の入り口の確認だけではなく、将来の価格、賃料、管理コストや、金利。 

このバランスがきちんと取れた投資をしていれば冒頭で申し上げたように、不動産投資はリスクが非常に低く、利益になりやすい投資になりますが、闇雲に投資をすればそれ相応のリスクが伴う投資である事もまた事実です。

現在は超低金利時代であるため、この方と全く同じようなリスクの度合いになる事は想定しにくいですが、それでも損がでてしまうような投資になる可能性は十分にあります。

営業マンのいうことを鵜吞みにせず、経験のある方や不動産業者の方等のお話をいくつか参考に、ご自身でも情報を取ってよく確認の上でバランスのきちんと取れた投資を検討して頂ければ、皆さんの選んだ不動産投資の成功確率はぐっと上がるはずです。

 

現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

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