以前このブログで大規模修繕工事についてご説明しましたが、1棟丸々購入して投資する1棟マンションの投資の場合は修繕積立金制度そのものがありません。
土地、建物すべてがオーナー個人の所有となる為、当然修繕もすべてオーナー個人の負担で行う事になります。
┃マンション一棟の管理コストは高額!
よって、、、。
安易にマンションやアパート一棟をローンを組んで、中古で購入するのは避けるべきです。
理由としては家賃収入や利回りには見た目上ある程度の魅力があるとは思いますが、修繕や管理コストの出費が区分所有のマンションとは比べ物にならないからです。
普通に考えて、一棟のマンションの管理コストを全て個人の資力だけで賄うのは簡単ではありません。
※前回ご紹介した長期修繕積立計画を参照してください。12年に一度の大規模修繕工事で1回当たり2,000万円近い工事費用が見積もられています。
単年度にならせば単年度当たり166万円のコストとなります。
という事は166万円キャッシュフローが出ていても大規模修繕1回で手元のキャッシュは吹き飛ぶ事になります。
大規模修繕工事だけでも大変大きなコストですが、それ以外にもメンテナンス費用は計画書を見て頂くとわかる通り、大規模修繕工事の合間にも様々な修繕コストが常に想定されています。
よほどの資産余力がある方でなければ大きな修繕や、維持コストを支払い続けることができません。
単純に毎年200万円のキャッシュフローが出ていても大規模修繕工事や細かい修繕を行う度にすべてのキャッシュフローが吹き飛ぶことになります。
では実際にそのコストがどれほどの金額になるのか、その一部をご紹介してみたいと思います。
┃マンション一棟の管理コスト概算
区分のマンションであれ、一棟のマンションであれ、同じマンションである以上は基本的に維持にかかってくる修繕箇所やコストにはさほど違いがありません。
よって今回はマンションの修繕積立計画の中のコストをバラバラに分解して、それぞれの項目のコストを見ていきたいと思います。
マンションの規模が大き過ぎるとあまり参考にならないかも知れません。
というのも一棟マンションの投資をされている方も、総戸数100戸のマンションを個人で投資として購入している方は少ないと思いますので、総戸数49戸のマンションの長期修繕計画を参考にその数字を追いかけてみたいと思います。
外壁の工事が12年に一度の工事で1回当たり510万円です。
さらに屋上の防水工事が1回当たり203万円。
鉄部の塗装工事が181万円、これは手摺りや雨どいの塗装などです。
ベランダの裏面などの外装の塗装工事もあります。
この他に消防設備の定期交換や、エレベーターの非常用バッテリー交換、給水ポンプ交換、ポスト交換やインターホン工事なども全てお金がかかります。
どうですか?もうすでにコスト感が把握できなくなってきませんか?
この見積りの中でエレベーターの修繕コストとして25年目に1300万円が見積もられています。
さらに給水管交換費用が同年に980万円を予定しています。
どういったお金がどのくらいのペースでかかるのか想定しきるのが難しいということがわかりますよね、また場合によっては想定しないコストも発生する可能性もあります。
これだけのコストを全て1個人が負担する訳ですから、簡単ではありません。
しかも中古で購入するという事は、購入後状態が悪い物件であればすぐに大きな修繕コストがかかる可能性すらあるのです。
場合によっては月々多少家賃収入によりキャッシュフローが出るように見えても、その実管理や修繕コストを差し引くと、全く維持コストが足りないという事も十分にあり得ます。
ましてや区分所有のマンションの様に修繕積立金という制度はありませんので、当然事前に準備された修繕積立金を購入時に引き継ぐことはありません。
前所有者のオーナーさんが、きちんとお金をかけて資産をメンテナンスする人で、非常に状態の良い建物を引き継ぐのと、お金を出す工事を全て先送りしてメンテナンスを怠ってきた建物を引き継ぐのでは、購入後のメンテナンス費用は天と地ほどの差があります。
一棟の場合はエレベーターの交換費用だけでも1,000万円近くすることもあります。
どんぶり勘定ではなく、きちんとその先のメンテナンス費用の詳細やタイミングを検証して、家賃収入の目減りや空室の期間も想定に入れたシミュレーションをする必要があります。
物件の購入を検討する時に、営業担当から最初に見せてもらう販売図面には書いていない情報が非常に重要になってきますので、後々知らなかったでは済まない金額のコストにびっくりしてしまうことの無い様によく確認する、または第三者や専門家のアドバイスを参考にして後々問題ばかりを抱える事にならない様に気をつけてください。
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