前回国民年金について損益分岐点などのお話をさせて頂きました。
今回は厚生年金についてです。
厚生年金は収入によって徴収額が変わります。
企業にお勤めの方は給与から天引きとなりますが、厚生年金保険料はどの様にして決定されるのかご存じでしょうか?
基本は労使折半となりますので、平均月額報酬に一定の保険料率を掛け合わせて保険料が決定されます。
平均月額報酬額ごとにステージが決まっており、一覧表からその金額を知る事ができます。
保険料率は18.3%となっており、労使折半なので自己負担金は自動的に9.15%となります。
例えば報酬月額が250,000円~270,000円の方の場合
厚生年金保険料は47,580円となり、自己負担金額は半分の23,790円となります。
当然国民年金の様に全額自己負担となる場合と比べれば、会社が半分負担してくれるので支払い金額は大きくなります。
結果払込金額は相当に大きくなりますので、受給できる金額も国民年金と比べればはるかに大きくなります。
年金に関していえば圧倒的にお得な厚生年金。
受給金額の平均は夫婦二人で220,724円となります。
夫婦の年齢が同じであれば同時に貰える事となりますが、
日本の平均年収に近い数字で計算すると厚生年金保険料は年額14.2万円となります。
40年間同じ金額を支払い続けたと仮定すると568万円です。
ご夫婦で年金を月額18万円を受け取ったとして考えても32回受け取れれば元が取れる計算となります。3年以内に元は取れるのでそこからは長生きすればするだけ得をします。
単身者なら年金受給年齢になるまでに亡くなってしまうと、遺族年金は誰にも支払われず扶養家族がいない場合は完全に損にしかなりません。
大きく言えば公的年金のデメリットはこれだけです。
普通に平均寿命近くまで生きていれば受け取った年金の金額が支払った金額を下回る事はありません。
長生きして年金の受け取りの期間が長くなると、公的年金は受取期間には制限が無いため、年金の為に他の運用商品で運用してもなかなか追いつかない位の受給金額になりますので、運用効果は抜群です。
70歳までに人が亡くなる確率は10%もありませんので、9割以上の勝率で勝てる投資である可能性が高くなります。
年金は皆さんが思っているほど内容は悪くはないという事です。
死亡した場合にも大きな保険としての効果があれば完璧な制度だと思いますが、受給できる金額自体が老後の生活費としては不十分であること、年金の運用が低金利時代で安定した結果が出にくいということが今後の課題となるでしょう。
いずれにしても受給できる金額が不十分なら、自身の力で余力を作るしかありません。
退職金が少なくなってきている現在は少ない退職金を当てにしても意味はありません。
住宅ローンを退職金で完済する計画の方の場合はなおさらです。
高齢化社会となり社会保険料が嵩む時代に突入していますので、年金も受給年齢が更に遅れ実際は65歳に受け取れる保証はどこにもありません。
お金が足りないとなっても、働いて補填することができない年齢であることを前提とするなら、足りなくなるであろう金額についてはやはり元気で働けている内に対策をとるしかないという事になります。
受給年齢を早めることも、受給できる権利を相続することも出来ない年金と比べれば不動産はお金を掛けただけ効果が高くなり、親族にも引き継ぐ事のできる大きな資産です。
資産とはなり得ない年金だけではなく、身を守るための資産について考えてみてはいかがでしょうか。