不動産投資の節税の損益分岐点って知っていますか?
不動産投資は家賃収入を取るので、給与所得と家賃収入の二つの所得が発生する事により、確定申告をする事になります。
結果不動産所得に関しては様々な経費を計上して申告をするため、減価償却や諸経費が大きいと不動産赤字所得を生み節税効果が生まれることもあります。
しかしこの節税効果は必ず税金が返ってきた分得をするとは限りません。
場合によっては節税しても損をすることもあるのです。
どういうことでしょう?
今回はこの節税の損益分岐点について説明してみます。
節税効果は、確定申告の際に経費を申告するので減価償却の等の影響を受けて不動産赤字所得が出ている場合に、給与所得と損益通算すると所得が下がった事になり税金の支払いが少なくなります。
この所得が下がる効果ですが、所得自体はそれぞれなので税率も違います。
不動産赤字所得が100万円計上されている場合、所得税率が30%だと30万円還付されます。
しかし、所得税率が10%だと10万円しか還付されません。
結果、高額所得者の方が同じ不動産を持っても節税効果は高くなります。
高額所得者が10年間30%の税率で30万円の還付を受け続けると300万円還付されます。
所得税率10%の方が同じ不動産で10年間節税すると100万円しか還付されません。
住民税は一律所得に関らず10%なので所得による違いは生まれません。
住民税も減税されるとすると、高額所得者は合計40%の税率となるので40万円節税できます。
この不動産赤字所得が減価償却により出ている場合、将来売却すると売却の利益に対して税金を支払う事になります。
不動産の売却による税金は分離課税により計算され、短期譲渡なら39%、長期譲渡なら20%支払う事になります。
減価償却は建物に対してかかっており、減価償却した分は取得費が下がったとみなされ売却時は利益として計算されます。
よって減価償却による経費が100万円計上されて40万円の税金が返って来ている場合は、売却時に20万円の税金を支払う事になるのです。
減価償却による経費が100万円けいじょうされて20万円の節税効果を得ていた場合は、売却時に同じ税金を支払う事になるので結果節税の効果は実質的にはなかった事になります。
所得税率が5%の場合は住民税を合わせても15%の節税効果しか生みません。
売却時に20%の税金を支払うならむしろ損をすることになります。
不動産赤字所得による節税効果はこの減価償却による場合が大きいので、売却した時に損になるかどうかをよく考えておく必要があります。
高額所得者の場合は売却時の分離課税の方が税率が低いので、節税を積極的にする方がむしろ得をします。
自身の所得税率により節税をした方が得なのか、そうでないのかが分かれるため安易に節税効果に傾倒した考えを持つ事はお勧めしません。
不動産投資の本来の目的は家賃収入からゆっくり確実に利益をあげることです。
税効果によるメリットは税法が変わればなくなる可能性すらあります。
きちんとした税金の知識がない場合は、税務に詳しい不動産業者か税理士によく説明を受けてから不動産投資を検討しましょう。