都心部のワンルームマンションの家賃はほとんど変動しません。
特に経済ショック等の影響を受けて、株価や他の投資商品が暴落している局面でさえ賃料は変動しません。
いったいなぜワンルームマンションの賃料は影響を受けないのでしょうか。
大きな原因は二つあります。
1つは賃貸の契約の更新期間が2年になっている事です。
契約中は例え経済的な変動があっても大抵の場合すぐに退室とはなりません。
むしろ引っ越す方が色々とお金がかかる可能性もあるので、例えばボーナスがカットされて収入が変わっても、結局仲介手数料や引っ越し代、敷金や日割りの賃料等を考えると引っ越すまでに至らないという事が多くなるからです。
その時に住んでいるマンションの家賃がよほど高額な場合を除いて、基本的には引っ越すほどのメリットが出ない場合は退居するには至らないという事になります。
ただし、港区の50平米の1LDKで家賃が22万円となると話は別です。
すぐさま解約してもっと家賃の安いところに引っ越した方が経済的なメリットが出るという事も多くなるので、東京23区のトップエリアである港区、千代田区、渋谷区などの賃料が高額なエリアは経済ショックの際に退去予告が多くなる傾向があります。
ワンルームマンションの場合、今住んでいるお部屋よりも大きく家賃を下げる事は難しく、7万円~8万円の家賃が1万円下がったところで大きな効果とはなり得ないので退居に至らないという事です。
もう1つの要因は最低賃金です。
最低賃金が保障されている以上はその金額以下の給料となる事はありません。
これは経済ショックが起きても変わりません。
この最低賃金で支払える賃料以下の金額には下がりようがないという事です。
例えば年収でいえば東京の平均年収は615万円です。
日本の平均年収436万円と比べてもかなり高いことが伺えます。
景気の変動により多少平均が下がっても、東京が日本の平均収入以下になることは考えられません。
結果ワンルームマンションの平均的な家賃が払えないほどの収入に落ち込む事はまずあり得ないのです。
これも前述の事例と同じで、港区の高額な家賃の物件でいえば22万円の家賃というのは年収でも1,000万円程度の収入がないと支払えません。
リーマンショックの際は大規模なリストラもありましたが、リストラは大抵の場合高額所得者が対象となるため、大きく収入が変わってしまった高額所得者は高額な家賃が払いきれず退去を余儀なくされるという事も起きやすくなるのです。
この2点が理由でワンルームマンションの家賃は経済変動の煽りを受けにくいという特徴が生まれます。
ただし、賃料がより動きにくいのは東京の23区の中でも立地条件がよい物件に限ります。
競合物件が多く、ワンルームの供給が飽和状態のエリアや、駅から遠い等の条件が悪い物件に関しては別だと考えてください。
地方のアパート経営などはそもそも空室率が30%もあるエリアも存在するので、競合物件も多く存在します。
空室期間が長くなる物件も多くなり、そうなると家賃を下げてでも空室を埋める動きにつながります。
結果家賃の下落リスクは高くなり都心と同じ感覚では投資できなくなってしまいます。
経済ショックの際は賃料が落ちないというメリットになり得るこの特性ですが、逆に経済が成長している局面でも賃料は上がりにくいという特徴があるため、世の中の株価が上がり好景気となっている際は相場が上がらない家賃収益は投資する上でその恩恵を受ける事ができずにデメリットにもなり得ることになります。
変動しにくいという特徴は安定していると捉えれば、借り入れをして運用しても実質的なリスクは非常に低くなるという事になります。
逆の言い方をすれば大きな変動リスクのある投資は借り入れをしてまでするのは大きなリスクにつながる可能性があるため、十分に頭金を入れるなり、金利を抑えてリスクコントロールをしなければ失敗します。
家賃というものの特性をよく理解して投資をすれば不動産投資は非常にリスクが低く、コントロールしやすい投資だという事がわかると思いますよ。