不動産投資に融資をしてくれる金融機関の内、信販系と呼ばれる金融機関については比較的金利が安く、頭金もほとんどの場合少額で済むのでよく使われています。
しかし今回この信販系の金融機関が40㎡以上の物件に対して融資をしなくなるとの通知がありました。
いわゆる小さめのファミリータイプです。
1LDK~2LDKほどのサイズのお部屋は、賃貸のニーズとしても割と需要があります。
都内は少子高齢化の影響を受け、ディンクス層も多く、子供が一人という世帯も非常に数が多いのが現状です。
この様な家族形態の場合、広めの1LDKや2LDKという間取りの方が使い勝手がいいという場合も多くあります。
ファミリータイプというと3LDKなどのイメージが強いと思いますが、都心のコンパクトマンションの中では需要は安定してあります。
まして2LDKという間取りはそもそも供給数が少ないためなかなか市場に出回りません。
賃貸、売買ともに丁度良い大きさを求めると2LDKという方も多いので、場所の良い物件なら借り手も買い手も非常に付きやすい傾向があります。
それなのに「なぜ?」投資の融資対象から外されてしまったのでしょうか。
実は2年ほど前からこの様な動きは出始めていました。
建物を作るデベロッパーは会社によって特色があります。
「住居」としてマンションを販売する会社もあれば、「投資」を目的としてマンションを建てているデベロッパーもあります。
少し前から「投資」を目的としてマンションを建てているいわゆる投資マンションのシリーズをリリースしている投資会社の物件には住宅ローンが使えないという金融機関が出始めていました。
なぜこの様な事が起きるかというと、住宅ローンを使って人に貸しに出してしまうというケースが多くあったからです。
ローンを申請する際は住居として申請し、実際は投資として貸してしまっているということです。
この様なケースが多く出た事により、住宅ローンの融資に警戒感が出た結果として投資マンションのシリーズにおいては住宅ローンの申請を受け付けない、もしくは頭金を十分に入れてもらうなどして融資の保全を図るという傾向が生まれました。
この流れがさらに投資マンションの融資にも影響し始め、投資マンションのシリーズ以外には融資をしない、さらには40㎡以上の住居としての利用価値の高いものは投資向きではないとの判断に至っているということです。
しかし住宅ローンの融資が投資マンションシリーズには融資をしないとなると、投資マンションシリーズの50㎡前後の物件は投資でも住宅ローンでも融資が受けられないという事になり、事実上融資が自由には受けられなくなるため流通事情にも大きな影響がでる可能性があります。
特に今年から住宅ローン控除の対象物件が40㎡以上と改定されたため、40㎡以上の物件は住居としての価値が上がったことも影響していると思われます。
今後コンパクトタイプのファミリータイプで1LDKや2LDKの投資を検討されていた方は非常に物件を買うのが難しくなります。
逆にこの条件に該当するファミリータイプを所有されている方は融資条件が悪くなったことで売りにくくなり、売却が難しくなる可能性があります。
先行きはまた融資が緩和される時代もあるのかも知れませんが、当面はこの条件が続くでしょう。
融資の条件は年に何度も変化しています。
数年に1回は大きく市場に影響があるほどの変化があることもあります。
しかし、不動産取引に関わっていなければなかなかその実情を知る機会はないでしょう。
恐らくは10年前に不動産を買われた方は、今もその感覚のまま物件を探していたり、融資についても同じように買えるものだと思っています。
リアルタイムで変化する経済事情や不動産の流通事情は、やはりその道のプロに聞いて今のトレンドについて正確な情報から今後のプランを立ててもらうのが安全ですね。