企業を買収するМ&Aですが、企業が所有している不動産の獲得を目的としたМ&Aのニーズが急増しているといいます。
大阪はミナミにあたる難波に建設中のアパホテルもそういったМ&Aの結果です。
元は駐車場経営の法人ですが、その法人が所有している不動産を目的にМ&Aにより土地を取得。
その後ホテル用地として利用されています。
こういった良質な不動産を所有している法人に目をつけて企業ごと買収するケースが増えています。
これは不動産を所有する法人にとっても大きなメリットとなるケースが存在します。
例えば老舗企業で事業承継が跡取りがいないことで上手くいかず、廃業するわけにもいかずに事業を続けている場合などです。
法人が所有している不動産をただ単に不動産だけ売却すると、利益に対して最大35%の法人税が課税されます。
さらにその利益を分配すれば最大50%の所得税がかかってしまいます。
そうなると10億の利益は3億強にまで少なくなってしまいます。
しかし、法人ごと売却した場合は株式の譲渡の扱いとなり20%の税率で分離課税となります。
前述した法人税や所得税はかかりませんので、法人の所有者にとっては税務上かなり有利になります。
8億ほどの利益を手にすることもできるのです。
圧倒的に大きな税金対策となるこの手法は、少子高齢化の影響を受けて事業承継がすすまい古い法人を沢山抱える日本では大きなニーズを生んでいます。
しかし、買い取る側にも相応のスキルが求められます。
法人が所有している不動産は当然いい物ばかりではありません。
必要のない不動産も同時に取得する可能性もあります。
また、法人の本来の事業の価値や流動性の評価も必要となり、不動産単体の評価とは異なるスキルがなければ正確な評価ができません。
その後の後処理や古い不動産や場所の悪い不動産を処理する能力も求められるので、これを事業として確立するには様々なスキルや知識、実行できるだけの能力が必要となります。
とはいえ、長く法人が抱えてきた不動産は市場に出回る事のなかった不動産が多いので、希少価値の高い質の良い不動産を取得できるとあって需要は少なくない様です。
資産の増大した個人投資家も同様の動きを取っている様です。
相続税が大きく改正され、相続税が上がったことを受け、個人の資産を資産管理会社を設立して法人に資産を移してきた個人投資家もその法人ごと不動産を売却しているといいます。
この場合も同様の節税効果が生まれるので不動産を直接売却するよりも大きな節税効果を得ることになります。
数十億、数百億もの不動産屋資産を持っている場合は非常に大きな効果となる為、事業を所有しているオーナーにとっては単に不動産を売却するよりも大きな魅力を持った提案となるということです。
一部の事業のオーナーで不動産を所有している場合にしか適用されないメリットですが、今後もそのニーズは高まっていきそうです。
こういった税務上の大きなメリットがある動きは、税制が改正されると効果を持たなくなる可能性もあります。
該当する方は早めに取り組む方が無難かもしれませんね。