賃貸マンションは一時的にお部屋を間借りして賃料を支払い、自身の生活様式や学校、勤め先などへの通勤や通学の利便性を優先してお部屋を決めて住んでいます。
入居者の考えやニーズを知る事によってその賃貸ニーズの全容が見えてきます。
まず入居者の視点から考えて理想的な物件とはどんな物件なのでしょうか?
駅が近くてお部屋が広く、2階以上で使いやすく、収納が十分にあって、バストイレが別、独立洗面台も付いている。ウォシュレットが付いていて、浴室換気乾燥機付き、モニター付きインターフォンが付いていて、オートロックと宅配ボックスが完備されている。
ただ、最新の1Roomマンションならこのあたりの設備はほとんどの物件に建築時から常設されています。
さきに挙げた条件の中で満たされないのは、駅が近いとか、お部屋が広いとかという個別の要因だけが物件によって条件が違うことになります。
デザインにおいては最近のマンションでは見た目が悪いという事は考えられません。
という事は考慮すべき点は主に立地である最寄り駅、駅徒歩、階層などが物件選びの主要なポイントになるという事です。
平成初期前後の物件になると、バストイレが一緒のユニットバスや、洗濯機置き場がベランダにあったり、洗濯機置き場がなかったり、コンロが電気式であったり、クローゼットがない、ベランダがない、浴槽がない、オートロックがない、エレベーターがない、モニター付きインターフォンや宅配ボックスがないなど、最近のワンルームマンションなら普通に付いている設備が無い事も多い為、物件の設備についても確認や目利きが必要となりますが、平成13年以降の建築の場合はほとんど上記の設備は整っており、最初から常設されていますので選ぶ年代によっては心配がいらないことも多くなります。
上記設備が付いている前提で考えるなら、その他の立地や階層が重要になります。
比較的築浅の最新の物件を選ぶ際は設備や仕様はさほど大きな違いはないでしょう。
まず鉄則は駅から徒歩10分圏内を選ぶことです。
さらに欲を言えば7分圏内であることが理想です。
これは人間が歩く際にストレスを感じにくい距離とされているからです。
ではこの最寄り駅はどこが良いのでしょうか?
自分が住むことを考えるなら、好きな街、友達がいるからなどの好みもあるかと思います。
賑やかな歓楽街が近い方がいいという方もいれば、閑静な住宅街でないと騒音が気になるという方もいるでしょう。
しかし、賃貸マンションを投資目的で所有する為の選び方としてのポイントは、個人の好みや感覚の延長線では考えない方が無難です。
ではいったいなにが重要になるのか。
それは法人需要です。
法人、会社が多く集まるエリアには社宅としての豊富な賃貸需要があります。
これがあるかないかが賃貸の家賃相場下落や空室率増大に大きな影響を与えます。
物件や街の好みなどは一部の好みの問題であり、二の次なのです。
社宅の場合は自分で家賃を支払う訳ではありません。会社に通いやすい事が前提となるため、会社から近くてアクセスの良いことが条件となります。
家賃を支払う会社からしてみれば高い家賃を支払って特別な仕様のデザイナーズマンションに社員を住まわせる意味もありません。
豊富な法人需要があるとすれば皆さんはどこにその需要が集中していると思いますか?
当然、中央区、千代田区、港区、新宿区、渋谷区、品川区など都心5区を中心としたオフィスが集中しているエリアの周辺に社宅の需要が集中している事は想像に難くないはずです。
上記の都心5区などは賃貸マンションの需要の内、実に50%近くが法人需要で埋まっているエリアも多く存在します。
社宅の場合は特別な仕様は必要ありません。
使いやすく、住宅としての十分な設備が整っており、会社に通いやすければ良いのです。
個人の契約と違い、法人需要は様々なメリットがあり、家賃の値切りがなかったり、家賃の遅れがない、退室時の精算でもめる事がないなどの運用上の安定感につながる理屈が沢山整っています。
自身の投資物件選びの感覚との「ズレ」がある場合はぜひ参考にしていただければと思います。