前回生産緑地の指定解除による影響についてお話しましたが、今回はその続きです。
今後生産緑地の指定が解除される事例が多くなり、2022年中には日本全国の生産緑地の内の約8割が指定解除となるといわれています。
これに伴い、今まで生産緑地の指定を受けていた土地の地主は税制面での優遇がなくなり、固定資産税などが跳ね上がって土地の処分や土地活用の手段を考えなければならなくなります。
そうなると膨大な規模の生産緑地が宅地転用されて市場に出回る可能性も高くなります。
同時に市場への影響も出て、土地などの価格が下がってしまったり、物件の供給過多になったり、モノ余りの状況に陥るのではという憶測が広がっています。
逆にこれをビジネスチャンスとして捉えている不動産業者も沢山います。
しかし、現実的には不動産業者からしてみれば駅に近い立地条件の良い土地は欲しくても、駅から遠く利便性などの面から見て商品化しにくい土地については商品としての魅力がありません。
当然、土地の所有者も売れなければ持ち続けるしかないので、固定資産税が上がる事を考えると生産緑地の指定を更新する方が無難だと判断される方もいるでしょう。
現実指定の解除になる予定の生産緑地の内8割近くが継続を希望しているという話もあります。
そうなると2022年問題はそこまで大きなインパクトは生まない可能性もあるのです。
私が聞いた話によると既に大手などの不動産業者は動き出しており、仕掛けが始まっているとの事です。2022年に解除になる方が多いというだけで既に解除になっている所も出ているので動きは出ている様です。
東京23区では世田谷区や練馬区なども生産緑地は数が多いので今後この辺りに住宅を買いたいという方にとってはチャンスになるかも知れません。
不動産業者にとっても東京都下、市部の土地よりも23区内の立地条件の良い土地の方が魅力があります。
今後こういった好立地の生産緑地に関しては積極的に市場に出回ってくる事が可能性として高くなりそうです。
2022年に生産緑地の指定が解除されても、その全てが宅地に転用されるわけではありませんし、東京23区内の条件の良い立地や駅に近いところには農地はほぼ存在しません。
おそらくは23区内の本当に都心部分についてはこの影響を受ける事はまずないでしょう。
今後気をつける必要があるとすれば、郊外のアパート経営や、地方都市のマンション運用、自宅の購入を検討されている方は、物件の供給が多くなる事で相場が崩れたり、家賃が下がる、空室が増える、競合が多くなる等の影響を受ける可能性を必ず勘案して購入しないと大きな痛手を被る可能性はあると思います。
土地の大きさによっては大型の商業施設と一体型のマンションや分譲住宅の供給などもあり得るでしょうから、新しい魅力を持った大型開発が進む可能性も出てくるでしょう。
こういった強烈な魅力を持った新しい開発が入るとその周辺の方が移り住んで相場が下がることも考えられます。
様々な影響が考えられますので一口には言えませんが、地方の影響は小さいものではないでしょう。
過剰に一気に物が出回る事にならない様に、開発許可をもらうには規制が若干厳しくなっていると聞いています。
市場に一定のブレーキをかけながらコントロールを入れていく様なので、市場がすぐさま混乱するような事はなさそうですが、条件の良い土地についてはすでに不動産業者同士の争奪戦となる様相を呈しています。
今後この生産緑地の指定解除が良い影響を与えるか、そうでないのかはあくまでもその土地の立地条件によるものとなりそうです。
米の生産をしている土地などは地盤が緩く、戸建てを建てる際には地盤改良工事が必要になることもあると思いますので、全てにおいてチャンスとも言い難いですが、規制により都心の今まで手が付かなかった土地が住宅地として転用されれば不動産業者にとっても購入希望者にとってもいい物は大きなチャンスとなりそうです。