特定の商業ビル、商業施設、マンションなどを買い集めて証券化し、入ってくる家賃収入や売却収益を配当するREIT(リート)。
不動産の証券化が始まってから、海外のマネーも日本の不動産に投資がしやすくなったため、海外から資金が流れ込み都心の日本の不動産に対して投資する企業や投資家が増えました。
最近のニュースでJ-REIT、要は日本の都心などの不動産を証券化することを目的とした投資法人がTOBにより大手のスターウッドに買われようとしているという事例があります。
大手の投資法人であるスターウッドはTOBにより法人を事実上取得する流れとなっていますが、現在その法人はTOBに抵抗しています。
スターウッドは成功すればTOBにより法人ごと取得することになりますが、取得される法人は事業が継続できるのか、経営陣含め従業員の仕事やサラリーが保証されるのかなど様々な問題点がありますので保身に走るのも当然です。
いくつかの項目に分けて質問状をスターウッドに送っていますが、これに対しスターウッドは事業は継続できると回答していますが、この言葉を額面通りに受け取る事はできません。
TOBにより上場廃止となる某企業は税制面での優遇もなくなるので、本来はTOB以降も事業を継続するならば不利益になるはずなのです。
事前の打ち合わせや相談もなく突然降りかかったTOBです。
吸収される側としては心中穏やかではありません。
このTOBはおそらくファンド化している所有不動産を目的としています。
賃料の値上げ余地や売却価格に目を付けてのTOBである可能性は高いでしょう。
スターウッドは日本のオフィスなどの商業用不動産は非常に魅力的だと言っています。
香港にあったアジアの本拠地も、数年前に拠点を東京に移転しました。
こういった海外の投資家、機関投資家、大手投資会社からみれば東京の不動産は非常に魅力的に映っているということです。
保有不動産の総額は1800億円にものぼります。
当然事前に調査をした上で勝機が十分にあると踏んでのTOBです。
投資のプロが巨額の資金を投資しても欲しがる東京の不動産。
みなさんの目から見てこの光景はどの様に映るでしょうか。
もはやデフレの時代が長く続きすぎて物価が上がる感覚すら失っている日本。
ただ世界の物価は人口の増大、経済の成長と共にインフレが少しずつ着実に進んでいます。
このTOBは、すでに世界の主要都市と比べて割安となっている東京の不動産には十分な投資するに足る魅力、余力があるという事の証拠だと思います。
日本の企業や日本人はもしかすると感覚がずれてきているのかも知れません。
今後この様な海外からの大きな金額の投資が続けば、都心の不動産は価格が上昇していく可能性が高くなるでしょう。
今や日本の不動産は日本だけのものではなくなってきています。
海外からの莫大な資金の流れ、その行き先がどこに向かうか。
これが今後の不動産相場を形成する一つの重要なファクターになる可能性は高くなっていくように思います。