定期借地権付きのマンションはあちこちで目にします。
品川近隣やパークコート渋谷 ザ タワーなどでも話題になったグレード感の高い借地権付きのマンションもあり、高級仕様の立地の良いマンションなだけあってキレイに完売していたりします。
定期借地とは土地を借りているということです。
所有権なら土地も自分の持ち分があり、借り物ではありません。
借りている以上はいずれ返さなければならず、特に定期である場合は更新契約ができない場合返還するしかありません。
借りている間は借地料や更新料、承諾料などの費用負担が発生します。
マンションの場合は最近だと60年後、70年後と時間を決めて取り壊しも計画に入れた契約となっている事も多くなっています。
この場合はマンションの月々のローンの他、管理費、修繕積立金以外に取り壊し費用の積み立て義務がある事もあります。
借地権は当然所有権よりも権利形態が弱いものです。
新築時の売り出し価格も所有権付きのものと比べれば割安な価格で売りに出されることが多く、立地やグレード感からするとリーズナブルに見えるので注目を集めることもよくあります。
しかし、よく話を聞いてみると取り壊し費用や借地料、更新時の費用などを考えるとそこまで割安でもない上に、最終的には借地なので変換する義務があり、資産性として考えるならあまり価値がないということもあります。
さらに借地権がやっかいなのは途中での売却がしにくいことです。
買った時には借地権の期限が30年残っていて、自分はローンが組めたとしても、所有してから15年後は借地権の期限まで残り15年しかありません。
そうなると金融機関は残存期間分しか融資を行うことができませんので、売却したくても買う側の方がローンを組む時に大きな制限を受けるため売れなくなるのです。
更新ができる契約になっていたとしても関係ありません。
更新が成される保証が無い以上金融機関は契約上の残存期間しか融資の対象と考えてくれないのです。
相続される場合も所有権のない借地の建物はあまり価値がありません。
その分相続税対策にはなりやすいという側面もあるので使い方次第となります。
もし私が退職していて相続する相手もいないのならあとは余生を過ごせればいいわけですし、後の心配をする必要もありませんので、たとえ借地でも全く気にしないでしょう。
しかしそうでない方は売れなくなったり、資産としての魅力に欠ける物件を購入するのはよく考えてからにした方がいいと思います。
かく言う私も自宅として船橋の借地権付きの新築マンションを買おうとしたことがあります。しかし聞けば聞くほどにあまりいい話ではないという結論に達して購入を諦めた経緯があります。
場所が良ければ賃貸に出せば大きな家賃収入が取れたり、割安な分支払いの負担が軽いというメリットもありますから、活用の仕方次第ではありますが単純に他のマンションと同じ様に考えるのはあまりにも危険です。
2021年の9月に東京お台場にある大江戸温泉物語が閉館となります。
これも借地の更新ができない事によるもので、商売が立ち行かないということではない様です。
商売がうまくいっている以上は継続したいでしょうが、更新できなければそれも叶いません。
数十年も先の話ですからなんともいえない所もありますが、渋谷の様にどんどん開発が進んでいる街などは70年後もっともっと進化している可能性が高いでしょう。
その時に、「どうせ買うならなんで所有権付きのマンションにしなかったんだろう?」と後悔する可能性はかなり高いと思いますよ?
画像引用元:https://skyskysky.net/construction/201928.html