月々マイナス収支では本末転倒??

 

「せっかく不動産投資をするのに月々の収支がマイナスでは意味がない」

 

などと説明する不動産投資の本やインターネットの記事をいまだによく見かけます。

 

これは本当に残念なのですが、不動産投資の理屈を理解できていない人の言葉です。

 

意味する所としては融資を組んで不動産投資をする場合、月々ローンを支払い、管理コストや手数料などを支払うと、取れる家賃だけでは支払いが賄えずに月々持ち出しながら運用することになる場合を指しています。

 

原則は月々持ち出しのマイナス収支で投資をスタートすれば、家賃がどんどん上がり、管理コストがどんどん安くなるという事はまず起きませんので、繰り上げ返済などで収支が改善することはあっても、自動的に収支が改善する見込みはまずないでしょう。

 

投資をしているのに月々お金が入ってくるのではなく、マイナス収支では意味がないという説明や、本末転倒とまでいう人がいて本やインターネットで堂々と自分の意見として述べています。

 

しかしこれは大きな間違いです。

そもそもローンは年齢制限があり、80歳未満での完済が条件のローンなら45歳以降はローン期間が制限されます。

55歳でローンを組むなら都心の区分マンション投資はまず間違いなくマイナス収支となります。

 

では55歳以降はマイナス収支になってまでマンション投資をする意味がないのか?

そんな訳はありません。

5000万円の25年ローンを組んで一件のマンションを運用し、月々マイナス2万円の収支だっとしても、10年後の残債は月々の返済により3243万円となります。

10年間の持ち出しはたったの240万円です。

しかし残債は1,757万円も返済しています

 

たしかに月々2万円の持ち出しはしていますが、家賃収入の力を借りて返済しているので自分で支払っている以上の返済が可能となっています。

 

例えば購入した物件が東京の中央区、築地のちゃんとした駅近の2LDKのマンションであれば、たった10年で1,757万円も資産価値が下がる事はありません。

むしろ価格が変わらない、もしくは上がってしまう可能性すら十分にあり得ます。

築年数の経過により5%ほど価格の下落があったと想定し、4750万円の値がついて売れたと考えても残債である3,243万円と比べて1,507万円もの差益が生まれることとなります。

売却する場合には仲介手数料や税金などの売却する事によるコストも発生することがありますが、それを差し引いても1000万円以上は利益が残るでしょう。

もし月々2万円をただ貯金していれば、金利の付かない今の時代は10年後にただ240万円が貯まって終わりです。

それがたった10年間の運用で4倍ほどに膨れ上がって返ってくるなら当然不動産投資をやった方がいいに決まっています。

 

本やインターネットの記事はすべて正しいとは限らない!!

 

はっきりいいますが、それっぽい物言いで不動産投資を語っている書籍やインターネットの記事も、根本から間違った見解の方が本当にたくさんいます。

ファイナンシャルプランナー、銀行員、投資家、不動産業者、様々な意見がありますが、マイナス収支イコール間違った不動産投資とする考えは不動産投資を全く理解していない人の言葉です。

 

不動産投資でキャッシュフローが出ていないと運用が難しくなるケースとしては一棟物の運用がそれに当たります。

一棟物はお部屋の数も多く、エアコンの数、給湯器の数、アパートやマンションの外装や、エレベーターのメンテナンスや交換、鉄部の塗装や屋上の防水工事なども全てがオーナーの負担となります。

 

この場合はローンを支払っても月々ある程度のキャッシュフローが出るくらいの収支感でなければ数百万とか、大きい場合は1千万円を超える修繕費や管理コストを賄えません。

ましてや空室のタイミングが何部屋も重なる可能性もあるため、月々のキャッシュフローを貯めておかなければ出費などに耐えられなくなってしまいます。

 

しかし区分所有の場合は管理組合による修繕積立金の制度によりここまで大きなコストがかかる事は想定されないため、月々の大きなキャッシュフローがなくとも問題にはなりません。

 

マイナス収支であること投資の勝敗は無関係!

 

例えお金を出しても、それ以上の効果があるからこそ運用するのです。

キャッシュフローは出ないよりも出た方が持ちやすくなりますが、この考え方だと都心の好立地不動産は利回りが低く、月々はマイナス収支となるので買えなくなります。

賢明なみなさんは表面上の利回りや収支だけに捉われず、ローンの償還によるメリットや資産価値を勘案して本当の利益がどこにどれだけあるのかをきちんと理解した上で投資を判断してくださいね。

現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

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