日本では厚生年金が先に存在していて、その後に1961年、国民年金が制度化されています。
この当時の男性の平均寿命は65歳、女性は70歳でした。
厚生年金の支給が開始されるのは55歳からで、10年程度厚生年金を受け取り、その後65歳から支給される国民年金を女性を中心に5年程度支給するような制度だったそうです。
現在はというと、2018年において年金積立金は159兆2154億円までになり資産額は過去最高額に達しています。
一方で、実受給権者数は4067万人となり日本の人口の32.2%を占めています。
私の父親は昭和10年生まれですから、成人した時は昭和30年。
1955年ということですから、彼が成人した時には国民年金制度は存在しなかったことになります。
ちなみに彼の初任給は当時月で2万円だったと聞いています。
貨幣価値がまったく違うので今の2万円とは価値がまったく違います。
2万円でも月々生活できたわけです。
支当然支払った年金の金額も額面で見ればかなり少ないはずです。
しかし彼の受け取っていた年金は月々14万5000円です。
支払った金額よりもはるかに高い金額を受け取っていることになります。
現在は平均寿命が男性でも81.64歳、女性は87.74歳。
もはや90歳近くまで生きるのが普通です。
当時65歳から女性の平均寿命まで5年間だけ支給する事を想定して作られた制度が、平均寿命が大幅に伸びている現代にそのまま通用するはずがないのです。
65歳から受け取っても女性の場合で考えると20年以上は受取期間があるわけです。
国民年金だけだと月額は65,075円が満額の支給額となります。
年額は780,900円です。
20年間の受取金額は1561万8000円となります。
しかし少子高齢化が止まらない日本はいずれこの支出が上回ることになり、基金の取り崩しが始まります。
この年金の問題については、よほどのお金持ちでない限りは関わらないという方はまずいません。
誰もが同様に抱えている問題です。
今後その問題が大きくなる前提で考えるべきだと私は思いますし、もしそうだとしたなら元気で働けて収入がある内にしか準備はできないはずです。
1つの「家庭」という名の「会社」を経営する社長さんだと思って考えてみると良いと思います。
経済危機が来たら?トラブルが起きたら?災害があったら?歳を取って代替わりが必要になったら?
会社を運用するには色んな事を考えておく必要があるでしょうし、そのリスクを乗り越えるだけの体力がいるはずです。
それが乗り越えられるだけの体力がなければ、その会社はダメだっということになるでしょう。
家庭のことも、老後の生活も同じです。
あらかじめ見えているリスクなら対応や対処の方法はあるはずです。