多くの方はマンション投資というと家賃が入ってくる物だと思っています。(当然と言えば当然ですが)
たとえローンを組んだとしても月々キャッシュフローが出て、家賃がローンの支払いや管理コストを賄った上で余ってくる、そう思っています。
この形が出来上がらないとマンション投資は成り立たないとすら思っているのです。
これは大きな勘違いで、間違いであるにもかかわらず沢山の方がそう思い込んでいます。
┃勘違いしてしまう理由
たしかに、月々キャッシュフローが出ないよりは出た方が運用はしやすいし、利益を手にしている実感もあるでしょう。
不動産投資はキャッシュフローがでるもの。そう思われるのには原因があります。
不動産投資というと、昔から地主が土地活用のためにアパートを建てて運用するのが一般的でした。
この場合、土地は既に持っていて無借金、上物だけ融資を受けていたので、当然融資金額も抑えられます。
こうなると月々入ってくる家賃がローンの支払いを大きく上回るので、当然キャッシュフローが月々大きく残ります。
一時期は不動産価格がバブル崩壊から底値をつけて安く買えた時期もあります。
このタイミングでは利回りは現在よりも高く、土地とアパートを同時に購入したとしてもキャッシュフローが出る収支になることもよくありました。
ただし、現在は金利が安くても好立地の物件は当時と比べれば割高で、満額の融資を組むのであればマイナス収支になることも多いのです。
Q.では月々マイナス収支の場合に不動産投資は成り立たないのでしょうか?
A.そうではありません。
まず、根本的な話ですが、月々でも初期投下でも、そもそも資金を投下しない投資が一般的にはありません。
金の積み立て、積み立て投信、株式、全て資金の投下あっての投資です。年金も然り。
不動産は購入価格に対して、満額の融資すら組むことができます。
諸費用以外は全て融資から資金を賄うこともできます。結果資金投下はほとんど必要ありません。
場合によっては出さないことすらあり得るのが現状です。
これがなぜか勘違いを生みます。
┃貯金した場合と比較してみると・・・
例えば極端な話で、東京都心の港区の1億円の不動産を、融資を受けて買い付けたと考えてみてください。
月々は家賃だけでは支払いが足りず、毎月1万円持ち出しが出ています。
30年ローンを組んだとすると、この収支が続いた場合は360回払いなので、360万円持ち出したことになります。
ただし、月々の家賃収入がその返済のほとんどをしてくれており、一億の資産が無借金になっているので、30年後購入した物件につく価格にもよりますが、持った不動産の価格が年数に応じて下落して7000万円になったと想定すると、、、
月々1万円の持ち出し、総投資金額360万円の投資が30年後19・44倍になって返ってきます。
一方自分の力だけで7000万円を貯金するなら月々194400円を貯金しなければなりません。
それをたった1万円の負担で7000万円の資産を作ったことになるのです。
これはあくまでも設備の故障やリフォーム、家賃の下落、金利の変動リスクや固定資産税等のランニングコストを無視した単純計算ですが、実際にこういうケースは十分にあり得ます。
まして、30年後を待たずに途中で不動産を売却することも可能ですから、その時の残債が2000万しかない状態で、7000万円の売却価格がつくのであれば5000万円の利益になります。
これだけの利益が得られるのであれば、月々1万円の持ち出しが問題になることはありません。
30年で1944%に膨れ上がるということは、これも単純計算ですが年率64.8%で運用されたことになります。
世の中にこれと同じ計算が成り立つ運用は存在するでしょうか?
┃お客様の成功例を紹介
実際の成功事例をここに挙げておきます。
購入物件は中野区の中野南台の駅から徒歩5分、21平米の1Roomを平成23年に購入した事案です。
購入価格は1980万円
平成23年に購入し、およそ8年が経過しています。
月々家賃が8.6万円
管理費、修繕積立金が月々1.24万円
月々のローンは7.12万円
管理はサブリースなのでコストが0.86万円かかっています。
結果収支は月々-0.62万円
現在8年が経過して残債が1551.6万円まで減っています。
現在売却の相場価格が2030万円。
今売却すると差額の478.4万円が手残りとなる計算です。
現在までに総持ち出し金額が59.52万円なので、
売却した場合は実際の利益が418.8万円になります。
実際は月々の持ち出しも節税効果から穴埋めされているので、年間の収支としては本来持ち出しはないのですが、それをなかったと考えても8年間で59万円の出費が、今売却すれば8倍になって返ってきている形です。
物件の価格も、この物件の場合は値下がるどころか、築年数が経過してもわずかだが上昇しています。
毎年家賃が取れて残債は減っていくので、この先持てば持つほど貯金の様な効果の利益が上積みになります。
この場合は利回りだけではなく、いかに不動産の価格が落ちないかが肝になります。
価格が落ちにくいのは都心の立地条件のいいマンションということになるので、そういった物件を購入すると運用の途中であったとしても売却による利益を取りやすくなるのです。
結果、途中で運用から離脱しやすくなるため、こういった売却をしてもきちんと利益を取れる物件であるということがわかります。
いつでも投資から離脱できるという大きなリスクヘッジにもなるのです。
┃まとめ
不動産投資の肝は、月々のキャッシュフローなどではありません。
家賃という大きな毎月の収入が自身の代わりに大きな資産を形成し続けてくれることにあります。
たとえ月々の収支がマイナスであったとしても、支払ったお金以上に大きくなって返ってくる理屈が
きちんと計算上成り立っているならば、投資する価値は十分過ぎるほどあるのです。
利回りや、月々の収支だけを見て運用を決定するのは、まさに木を見て森を見ず。
入口のみを見ているだけで、出口を想定していない以上予想外の事態になりかねません。
利回り至上主義の考え方に傾倒した結果、思わぬところで損をすることになる場合もあるです。
たとえ利回りが1%高かったとしても、それ以上に価格が毎年値下がるのであれば売却時には利回りが低いと切り捨てた物件の方が運用成績の上では良くなってしまうこともあります。
不動産投資は必ずしも完済して家賃を取るだけが運用の方法ではありません。
資産性を活かして売却により差益を得ることも出来るのです。