年・金・問・題

2019/06/14

年金

この先の人生を考えるのであれば、比較的大きな問題になってきている年金。
私の知る範囲の情報だけでも、とても安心とは言い難いと思われます。

少し年金について考えてみましょう。

┃年金制度は計算が合わない?

日本の年金事情でいうと、60歳からの支給であった受給年齢が65歳に延びてしまいました。
少し昔に遡ってお話してみます。
私の父の世代は初任給が2万円だったと聞いています。
今とは貨幣価値が全然違いますね。
これは昭和30年代のお話です。

ではその頃から働いていた方々は年金として給与から支払ってきた金額も小さかったはず。
それならば年金は支払いが小さい分少ししか受け取れていなかったのか?

そうではありません。

私の父は一人分で月々14万5千円。60歳から受け取っています。
今現代の方々がきちんと年金を全額厚生年金として払い込んだ時の金額と変わりません。

こう考えると計算が合わないのです。
そんなに金額としては払っていないのに年金は今と変わらないか、それ以上の金額受け取れている計算になります。
私の祖母も月々6万円程ですが受け取っていました。
彼女の時代は年金制度が出来る前の世代ですから、更に払っている期間も金額も少なかったはずです。
戦後の厳しい時代に生きてきた方々なので、優遇されていたのかもしれませんが、今の年金事情から考えると支払った金額に対してもらえる金額を考えると計算がどうしても合いません。

┃日本に年金の資金はないの??

今の日本では高齢化が進み、年金が社会保障の問題の中でも大きな割合を占めています。

では日本の年金は資金が全くないのか?

実はそんなことはないのです。

日本の年金は基本的にGPIF(年金積立金運用独立行政法人)が預かり運用しています。
国際的に毎年年金の運用資金の規模の世界ランキングが発表されており、実は日本の年金の基金の総額は全世界で断トツの一位。
直近では1.2兆ドル(130兆円)の資金が運用されています。

ちなみに2位はオランダで8900憶ドル、3位がアメリカで4800憶ドルと続きます。
日本の年金基金のボリュームが世界の中でもどれほど大きいかがわかると思います。

しかし、それでも足りない想定になるのは日本が世界でもトップクラスの長寿の国で、
なおかつ少子化が進み労働人口が減り続けており、老人の生活費を事実上若い世代が少ない人数で支えなければならない、その構図にあります。

┃年金の受給年齢はまだ上がるの??

アメリカの人口は年率でも2%程のペースで増え続けています。
それでも医療の発達により年金の問題は徐々に大きくなり、支給年齢は67歳にスライドして遅らせ始めています。

日本は小さい島国で人口も圧倒的に少ないのです。
その割に基金の金額は巨額の資金があるにも関わらず、問題は年々大きく深刻になっています。

 

イギリス、アメリカ等の先進国が年金の受給年齢を遅らせている中で、日本の年金がこれ以上支給を遅らせない保証はどこにもありません。
68歳、もしくは70歳からの支給すらあり得ると私は考えています。
それでも何故か日本人の年金に対しての危機感を見ると、さほど深刻にはその問題をとらえていないと感じます。

 

退職金は20年前の支給金額と比べると、同じ大卒の方の受け取っている退職金の平均の金額が1,000万円以上落ち込んでいます。
昔ほど退職金が受け取れていないのです。
更に年金の受給年齢も上がっています。
将来60歳を超えて働ける保証はあるのでしょうか。

┃70歳になった自分は働ける身体なのか?

また、たとえ働ける先があっても働ける身体があるとも限りません。
もしもの可能性で、そのリスクを考えるのであれば、現役で働いている間にしか対策はできないはずです。
今以上に年金の支給年齢が引き上げられた場合、私たちの退職までに準備しなければならない準備資金はいったいいくら必要になるのでしょうか。

 

一般には昔に比べ子供の教育にかかるコストはさらに高額になっていると言われています。
献身的に子供の将来のためと資金を費やして、気が付いた頃には退職目前となっています。
そこから自分の年金対策を考えても退職までに準備出来ることは金額的にも限られてしまいます。

┃アベノミクスのからくり

他にも年金の基金の運用について懸念材料があります。
アベノミクス以降、日本の景気を好転させるために様々な金融政策が講じられました。
その中に年金基金の運用先を変えたという事があります。

どういうことかというと、今までは日本国債で主に運用していた年金基金を、株式やETFなどリスク商品を大きく取り込んだ形に運用先の割合を変更したのです。
そうなると、日本の年金基金はとんでもない巨額の資金ですから、その資金が株式市場に流れ込むと株式の相場が下支えされ、大きく相場が上昇します。

結果、日経平均ももちろんですが、株式市場の相場は大きく底上げされて、一見すると景気が好くなったかのような状況になります。
これがアベノミクス相場のカラクリの一部になっています。

しかし、もしも今大きな経済ショックが起きた場合、例えばリーマンショックのような事件が起きたと想定すると、株式の相場の大きな下落により、そこに大きな資金を投じた年金基金もその資産価値を落として資金が目減りすることになります。
私たちの年金がただでさえ枯渇して問題になっているにも関わらず、大きく減ってしまう可能性が以前よりもリスクとして非常に高くなっているのです。

┃まとめ

10年スパンで考えれば、悪いことが一つも起きていない10年は経済の歴史としてまずありません。
もしかすると私たちの年金事情は、今考えているよりももっともっと悪くなることも十分可能性としてあるという事です。
最悪の想定ばかりしても意味はないかもしれません。
それでも今出来ることを考える必要は、自分の年金や老後の生活のリスクを考える上では充分過ぎるほどの理由が現代にはあると思います。

 

現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

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