不動産を投資で購入するのに、頭金は入れた方がいいのか?
もしくは現金で購入するのが正しいのか、はたまたフルローンがいいのか?
どれが効率がいいのか悩んでいる方もおれらるのではないでしょうか。
ここでは、その効果の違いを簡単にわかりやすく説明していきます。
┃ローンか現金か 徹底比較します
頭金をいれるかどうか、現金で買うのかはご本人の投資目的、年齢、ご予算等に大きく影響をうけることになるので、ここでは単純に同じ期間、同じ価格、同じ賃料で運用した場合の数字での比較とさせていただきます。
例えば生命保険代わりに購入されている方であれば、ローンを組まなければ効果は得られませんし、更に頭金を入れたり、繰上げ返済をしてしまうと保険金額が下がったことになり、生命保険としての効果を下げてしまいますので、不動産を持つ理由によっても現金の使い方が変わる可能性があるという事です。
①現金
では、まずは現金で不動産を購入する場合です。
購入する物件の概要は以下の通りとします。
物件価格3,000万円
家賃収入 月/11万円
管理費修繕積立金 月/1万円
実質利回りは4%です。
これは都内の場所の良い不動産を購入する場合に比較的容易に手に入る利回りです。
運用の前提として効果の違いをわかりやすくするために、ここでは金利の変動リスク、家賃の下落リスク、設備の故障などの突発的な費用負担は勘案しません。
現金で購入した場合
以下の図の通りに月々の家賃が口座に貯まり、それが収益として積み重なっていきます。
なんのトラブルもなく賃貸していれば35年間で4,200万円の利益が取れた事になります。
さらに無借金の建物を所有していますが、これは現金を出しているので利益ではありません。
これを基準として比較していきます。
②頭金あり
では、次に頭金を入れてローンを組んでみます。
ローンの条件は以下の通りです。
金利 1.65%
期間 35年
頭金 1割 300万円
融資金額 2,700万円
月々の返済額 84,667円
月々の収支 +15,333円
この場合は家賃が月々の返済や管理費を支払っても余る事になるので、それを繰り上げ返済に充てると、6年ほど返済期間を短縮できます。
家賃の余りだけで考えると643万円取れたことになります。
完済が6年間早まり家賃が6年間で720万円物件から取れます。
しかし、現金は頭金の300万円しか出していませんので、無借金になった不動産の価格が変化していない場合は、3,720万円の資産をたった300万円の元手で作ったことになります。
35年間の利益が3,720万円ということになるのです。
③フルローン
最後に、フルローンで購入してみます。
頭金0円
融資金額 3,000万円
月々の返済額 94,075円
月々の収支 +5,925円
家賃が多少余るとはいえ、金額はそう大きくありません。
合計すると248万円となります。
結果、無借金の物件を35年後に所有していることは変わらないので、合計の利益は3,248万円となります。
頭金を入れた場合と比べてみると472万円しかない事になります。
当然頭金を入れないよりは利益になりますが、思ったほど大きな違いは出ないですよね?
┃ローンを組むことのメリット
当然現金を持っていれば4,200万円の利益がとれるわけですから、それが効率がいい様に見えます。
しかし、ローンの場合は現金がなくても投資ができるメリットがあります。
現金が無くてもいいのであれば、同じ物件を3件同時に購入する事も、ローンが組める限りは可能です。
そうした場合、今さほど現金資産が無くても、35年後には現金で1件だけ購入した方よりも大きな利益、資産を手に出来ます。
3件が完済されているのであれば、9,744万円の資産をその時にもっていることになります。
手元の現金だけでは4,200万円の利益にしかならなかったものが、全く現金を使っていない人でも1億近い資産を形成することができるのです。
さらに頭金を入れても入れなくても全体の利益から考えれば、そう大きな差は生まれません。
ここではわかりやすくするために、月々の管理手数料や、金利や賃料の変動要素、建物の価格の目減りは一切計算されていません。
あくまでも、単純に現金で購入した場合、頭金を入れた場合、経済動向をフラットに考えた場合のフルローンとの効果の違いを比較するだけの計算として比較してみました。
実際は運用のプラン、予算、年齢、節税、様々な要素が絡みますので、運用を決定する際はそういった要素を勘案して計画を綿密に立てる必要がありますのでご注意ください。
ただしローンを組むことが圧倒的にメリットがあることは確かだということです。