ご存じの方もいるとは思いますが、鉄筋コンクリート造の物件の減価償却は47年と定められています。
これはあくまでも税務上の考え方であって、耐久性を保証する期間が47年という訳ではありません。
一般的には鉄筋コンクリート造の建物は60年程度は最低でも使えると言われています。
さらに最近は昔から使われているコンクリートよりもはるかに強度のある物も開発され使われているため、もっと長期に渡って強度を保てるものも多くなっています。
ただし税務上の価値は47年で一旦終了してしまいます。
そうなると、以降は建物の所有者は経理上の減価償却費が計上出来なくなる為、入ってきた家賃収入に対して計上出来る経費が大幅に少なくなるため、課税所得が増えてしまい納税金額が減価償却費が計上出来なくなると同時に大幅に増えてしまうことになります。
┃減価償却終了後の対策①リフォーム
これを回避する方法はいくつか選択肢があります。
一つ目は、リフォームをいれることです。
経費はかかりますが、リフォームをかけた費用は内容により減価償却にて経費が計上できます。
項目ごとに減価償却期間も異なりますが、建物がリフォームの必要性も出てきているのであれば、税金対策も兼ねて減価償却の概念があるリフォームを入れて経費計上するのもひとつの手です。
┃減価償却終了後の対策②関連会社や個人に売却
二つ目は、グループ会社や関連する個人等に売却する方法です。
例え47年以上築年数が経過した物件であっても、新しく物件を購入した場合は再度減価償却期間の2割の期間で償却して計上出来ます。
となると建物価格の47年×20%の期間、減価償却費を計上出来る事になります。
グループ企業などに売却すれば資産状況を大きく変えることなく減価償却費が復活して、新しく所有した法人や個人で維持することが可能になります。
┃減価償却終了後の対策③建て替え
三つめは建て替えです。
建て替えれば当然新築となりますので、税効果は47年また享受する事ができるようになります。
このいずれかの選択肢により、賃料収入を税金で目減りしないようにコントロールできるわけですが、リフォームや売却による効果はいずれも期間が限定的で一時しのぎとなります。
結果、いずれは建て替えによる対策が必要になる訳ですが、その時期が近付いている物件が増えてきています。
┃今後、減価償却終了の建物が続出!
マンションやビルの現存するものは、昭和50年(1975年)位から平成元年(1989年)前後くらいまでに建てられたものが非常に多く、昭和50年というと築45年となり減価償却期間が終わるまであと2年となります。
今後、だんだん減価償却を終える物件が増えだし、税効果を失った建物が続出します。
となると、税金対策の必要性が出てくるので一気に建て替えを検討するビルやマンションオーナーが今後どんどん増えることになるのです。
同じ賃料を得ていても、大幅に支払う税金が変わってしまっては実質の収益は落ちてしまいます。
鉄筋コンクリート造の建物は減価償却期間が47年と税効果を受けられる期間は長いですが、一旦効果を失えば課税所得には大きく影響します。
今後15年間ほどの時間の中で、税効果を失った建物の建て替えはラッシュを迎える可能性が高くなります。
建て替えに関わる建築業界にとっては大きな追い風となる事でしょう。
一方でバブル崩壊後は平成10年(1998年)位まで不動産価格の急激な下落が続いた時期なので、この間に新しい建物はあまり積極的には作られておらず球数が少なくなっています。
その後平成13年(2001年)位からまた建築ラッシュが続き、平成20年(2008年)位までは建物がかなり積極的に作られています。
現在はここ20年ほどで建物の質も大きく変わってきているため、減価償却期間よりもはるかに長く使える可能性が高い建物も増えてきています。
池袋東口にあるサンシャイン60は1978年築です。現在築42年。
後5年で減価償却期間を終えます。
あの巨大なビルは税効果を失うと建て替えになるのか、リフォームでとりあえず凌ぐのか、売却されるのか、そう考えると面白くなります。
今後も税効果を失った建物から建て替えになり、どんどん街はまたリニューアルされ大きな変化をむかえる時期が近づいているのかもしれませんね。
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