リフォームという落とし穴。。。

2019/05/07

物件の選び方

一口にリフォームといっても、その考え方や種類は様々。

 

賃貸の入居者入れ替えの際の簡単な原状回復や、間取り変更を伴う大掛かりなリフォーム、スケルトンにして全てリニューアルするリノベーションリフォーム等があります。

リフォームをすることで新たな価値を付加して物件の資産価値を上げる。

よくキャッチコピー等で耳にしますが、それはそんなに単純ではありません。

┃リフォームをする=家賃が高く取れる???
リフォームすれば家賃が1万円、2万円高く取れるのか?

答えはNOです。

賃貸需要によって家賃相場が決まる賃貸の市場では、その需要の多さによって取らなければならない行動が変わってきます。

例えば

200人の需要しかない所に300件の部屋が賃貸を募集しているとすると、

当然需要の方が少ないので、この少ない需要を取り合うことになります。

結果、同等のお部屋で競合した場合、賃料が少しでも安い、礼金がない、更新料がない、敷金が安い等

金額面の条件がいい物件が人気となります。

こうなると条件面を引き下げて募集するほかなくなるので、家賃が下がってしまったり、収益が下がることになります。

また、条件面が同じであればリフォームなどでお部屋の状態がいいものが優先権を得ることになります。

こういった条件面で優位性を確保しなければ賃貸の需要を獲得できない場合は、リフォームすることにより他の物件を出し抜いて入居者を獲得できる可能性は高くなるでしょう。

しかし、賃料が高く取れるという性質のものではありません。

┃リフォームを入れて需要が高まるエリアもある
私も代官山の昭和40年代の建築の物件で、デザイナーを入れIKEAと組んで、お洒落な手の込んだリフォームを入れて賃貸の募集をする企画に参加したことがあります。

これは代官山というロケーションが大事なのです

元々代官山は家賃も他の地域に比べて高い、それでも住環境や、代官山という住むだけでお洒落なイメージのあるネームバリュー、この名前に吸い寄せられてくる入居者の方が沢山いらっしゃいます。

家賃が安く他の地域と変わらないのであれば住みたい人も多いはず。

こういった地域であれば、元々のマーケットがお洒落な物にコストを費やす人が集まる街なので、多少周りの物件と比べて家賃が高くても、デザインが入っていてお部屋がカッコいいとなると、それに対してコストをかける人が住むので、比較的家賃が高くなっても賃貸はつくのです。

南青山でこれも私の仕入れた昭和40年代の古い3DKを非常に広い1LDKに間取り変更して、コンクリートを流し込み、内装を一新させたことがあります。

この物件は雑誌の見開き1ページ丸々使ってその内装を大きく取り上げられました。

多少高くても、住んでみたい!と思う方も多いでしょう。

┃社宅需要の強いエリアでリフォームの効果はあるのか?
社宅契約の多い新宿や品川、中央区周辺等でこういったリフォーム効果が大きく働いて家賃が上がるかというと、それはそうでもありません。

社宅でわざわざデザイナーズマンションに会社が費用を払って特別いい部屋に住まわせる理由はありません。

こういった需要に対しては最低限の原状回復で十分なのです。

社宅需要の強いエリアは基本的に都心部の商業地域周辺ということになります。

このようなエリアはベースとなる賃貸需要が非常に高く、イメージ的には300人の賃貸需要に対して、200件しか物件がない様な状態にあります。

需要の方が上回ると、今度は妥協しなければならないのは入居者側になってきます。

自分は駅徒歩3分以内のデザイナーズマンションにしか住みたくない等と高望みをしていると、どんどん物件がなくなっていく中で、いつまでたっても家が決まらなくなってしまいます。

結果、ほどほどの条件でも妥協して住まなければならなくなるのです。

こうなると物件のオーナーさんは持っている物件の条件が多少悪くても、割と容易に賃貸の入居者を獲得できることになってしまいます。

まして大きなコストをかけて、大幅なリフォームを入れる必要もないのです。

┃建て替えは効果はあるのか?

青山や、表参道等で皆さんも古い建物が現在もそのまま使われているのを見たことがあると思います。

リフォームで一番大掛かりな物は建て替えです。

建物が古くなったことで、物件の魅力を失い収益が上がらないのであれば建て替えも必要でしょう。

しかし場所がいい物件は古くなっても高稼働率で運用され、収益が上がっている以上大きなコストをかけてまで、建て替える理由がありません。

リフォームは適材適所、効果が最も上がるパフォーマンスをよく考えて使うべきなのです。

┃ファミリータイプの物件はリフォームの効果はあるのか?

ファミリータイプの物件などは、空室になった際に売りに出すのであればリフォームの効果が最大限に発揮されやすくなります。

これはワンルームマンションや賃貸中の物件と違い、投資家が購入するというよりは、実際にその物件に住む実需を狙って売りに出せるからです。

建物は少し古いが、中は新築同然で売り出せるとなると、そこに住む人がその物件を見て魅力を感じてくれれば、高く早く売れる可能性が高くなります。

この場合は他の中古の物件などと差別化が図れるので大きな利益を生む可能性が高くなるのです。

┃まとめ
リフォームと一口にいってもお金をかけただけ必ずしも効果が上がるわけではありません。

今のトレンドの間取りや、需要、広告の打ち方、様々な要因を勘案しなければリフォームの効果を経済的に効率よく得ることはできないのです。

業者はリフォームを入れてくれれば確実にメリットがありますが、オーナーさんが必ずしも効果を得られるかは別問題です。

きちんとどういった効果を得るのかを相談の上、それに見合ったコストの中でリフォームを検討されることをおすすめします。

現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

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