借地権を売買するには?取引前に知っておきたい基礎知識まとめ

2018/11/02

税金

土地を借りた人にも貸した人にもメリットがあることから、土地ではなく借地権を売買するケースがあります。借地権は相続財産にも含まれているため、土地の貸借契約を結んだ本人のみならず、その親族にも関連してきます。
そこで今回は、不動産の運営や売買の際に知っておきたい借地権についての基礎知識を整理してお伝えします。こちらの記事を読んでから、契約書をチェックして借地権の内容を確認してみてください。

「借地権とは」

借地権の売買方法をご説明する前に、そもそも借地権とは何なのか解説します。

借地権とは、読んで字のごとく住宅や商業施設などを建設するために土地を借りる権利です。単に土地を借りるわけではなく、建物の所有を目的として土地を借りる場合に借地権を設定してもらうことになります。借地借家法によれば、借地権を有する者(借主)を借地権者、借地権を設定する者(貸主=地主)を借地権設定者と呼びます。借地権が設定されても土地の所有権は借地権設定者にありますが、その上に建設された建造物の所有権は借地権者に帰属します。

借地権者は、土地を借りる代わりに地代を支払うのが一般的です。借地権自体を売買できますが、権利の種類によっては地主の承諾を必要とするケースがあります。つまり地主が承諾しなければ、借地権を売買できないわけです。

借地権の存続期間は30年と定められています。ただし、契約で30年より長い存続期間を定めた場合は、その期間です。借地権契約を更新する場合は、最初の更新のときは20年、2回目以降は10年の期間延長となります。

借地権には、大きく分けて5種類の権利があります。それぞれ地上権、貸借権、普通借地権、定期借地権、そして旧法である借地法に基づく借地権(旧借地権)です。それぞれの権利について、次で詳しくご説明します。

「借地権の種類」

借地権には5種類あります。借地権が地上権と貸借権の2つに分かれ、貸借権がサラに普通借地権・定期借地権・旧借地権の3つに分かれるイメージです。それぞれの借地権について、お互いの違いを明確にしつつご説明します。

地上権

地上権は、工作物や竹木を所有するために他人から借りた土地を利用する借主の権利を指しています。工作物とは建築物や道路、地下街などを含む一切の施設を指しており、竹木とは樹木や竹林を指しています。「地上」とついていますが、地面に接した施設だけではなく地下や土地上空の空間を含めた権利です。そのため「地中権」「空中権」と呼ばれることもあります。

地上権は、借地権の中でも最も借主に有利な(メリットの大きな)権利です。契約期間中であれば、建物の増改築やリフォーム、建替え、土地の売買や譲渡なども土地所有者の承認なく行うことができます。地上権は所有権と同じ「物権」に属し、目的物に対する直接的な支配権を行使できます。「借りる」と言っても、所有するのと同じような力を持っているわけです。

このように借主を強く保護する権利であるため、借地権の中で地上権が設定されるケースは少ないとされています。

賃借権

貸借権とは、建物を建設するために土地を借りる権利です。地主と貸借契約を結び、賃料を払って土地を利用することになります。借地権の大半は貸借権であるとされています。

貸借権は、地上権よりも土地所有者の強い立場を認めるものです。借主は、土地所有者の許可なく土地や権利を売買・譲渡・転貸できません。この点が地上権との大きな違いです。

現在の貸借権は、平成4(1992)年に制定された借地借家法(新法)を適用されます。それ以前の契約については旧借地法(旧法)が適用されており、これはやや借主に有利です。この旧借地権については後述します。

普通借地権

新借地借家法で認められる貸借権は、大きく分けて普通借地権と定期借地権の2つがあります。普通借地権とは、借地期間の更新を行いながら継続して土地を借り続ける権利です。借地権の存続期間は30年ですが、契約で30年超と定めたときはこちらが優先されます。

借地契約を更新する場合は、最初の更新では20年、2度目以降の更新では10年ずつの更新となるケースが一般的です。この更新期間の長さからも分かるとおり、契約期間は決まっているものの更新できれば半永久的に土地を借りられます。

定期借地権

定期借地権とは、土地の貸与を一定期間のみと定めた期限つきの借地権です。契約満了後は、土地を更地にして地主に返還しなければなりません。返還の時期が予測できない普通借地権に比べて、地主にはありがたい仕組みです。現行の借地借家法のもとで設定された借地権の多くは、この定期借地権です。

この定期借地権は、さらに一般定期借地権・事業用定期借地権・建物譲渡特約付借地権の3種類に分かれます。

・一般定期借地権

存続期間50年以上の借地権です。一戸建てやマンション・アパートなど、住宅用途で土地を貸借する際に用いられます。契約期間が過ぎれば借地契約終了であり、更新はありません。借地権者は工作物を取り壊し、更地にして地主へ返還する義務があります。

・事業用定期借地権

存続期間10年以上50年未満の契約を結ぶ借地権です。店舗や商業施設など、事業用として土地を貸借する際に用いられます。やはり契約期間が終了したら、更地にして地主へ返還する義務があります。

・建物譲渡特約付借地権

存続期間30年以上の借地権です。ほかの定期借地権とは異なり、契約満了後に更地に戻す必要はありません。地主がその土地に建てられた建造物を買い取る特約がついています。また、契約期間が終了した後も借地人が居住することもできます。この場合は、建物の借家契約を新たに結びます。

旧借地権

旧借地権は、現行の借地借家法以前の旧借地法によって設定された借地権全般を指します。平成4(1992)年8月以前の契約が対象であり、契約期間満了時に正当事由がない限り自動的に契約が更新されるなど、借地権者に有利な規定が多くありました。

旧借地権は、契約を更新しても新法へ切り替わるわけではありません。そのため、2018年現在でも旧借地権は数多く存在します。切り替えたければ契約を新たに結び直す必要があるため、注意が必要です。

「借地権を売買する方法」

借地権の中には、土地や建物ではなく権利自体を直接売買できるケースがあります。ただし、借地権の種類や売却する相手によって売却方法が異なります。地主自身に売却する場合、地主以外の第三者に売却する場合、そして権利と土地の等価交換後に売却する場合に分けてご説明します。

第三者に売却する場合

地上権の場合は、地主の許可なく権利を売却できます。一方で貸借権の場合は、地主に対して譲渡の承諾を得ないといけません。承諾が得られなければ、売却が難しくなります。裁判を起こして譲渡承諾を得られる可能性はありますが、個人では難しく専門家に依頼することになるでしょう。

承諾が首尾よく得られたとしても、無償で買取業者や個人に譲渡できるわけではありません。名義書換料を支払う必要があります。名義書換料は、借地権売却価格の10%程度が相場です。

地主に売却する場合

第三者への売却が難しい場合は、地主に借地権を買い取ってもらうことも可能です。法的なトラブルの可能性を回避するためにも、一対一ではなく不動産会社など仲介者を入れて交渉するのが望ましいです。

等価交換後に売却する場合

借地権における等価交換とは、借地権の一部と地主の所有する底地(そこち)の一部を交換することです。底地とは、借地権のついた土地の所有権を指します。要するに、一つの土地を地主と借地権者とで分割してから、所有した土地について売買を行うケースです。

等価交換すれば、借地権者としても土地の所有者となります。そのため、建物の増改築や売買などの際に地主の承諾を得る必要がなくなるメリットがあります。地主側としても、使っていない土地のために税金(固定資産税)を払わなくてよくなるのです。

「借地権売却の前に借地権の種類を確認しよう」

借地権者として承諾料や更新料を払わなくするために、そして地主としても土地をもっと有効活用するために、借地権を売買するケースは少なくありません。借地権の売却・買取によって権利関係が整理される側面はありつつも、長い契約関係の中で借地権自体の中身に対する認識が薄れてしまいかねません。

したがって、借地権を売買する前に今一度契約書を見直して、借地権のうちどの種類に当たるのかはっきりさせる必要があります。特に、遠い昔に締結した契約については注意が必要です。

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