不動産投資の事を知ろうとした時に、まず見てみるとすれば今の時代どなたもインターネットから情報を取るのではないでしょうか。
もしくは電子書籍や本屋さんで専門書を購入して勉強する方もおられると思います。
セミナーや個別面談にて直接情報を得る場合も当然あると思いますが、ネットなどから調べる方が多いのではないでしょうか。
しかし、インターネットが本格的に普及し始めてからすでに20年近く経過しており、その間に情報も膨大な量が蓄積され続けています。
この蓄積されている情報は既に古くなっているものも当然多くあります。
現在の不動産市場のトレンドに合っていなかったり、融資の条件が今の規定とは大幅に違っていたりすることも少なくありません。
当然古い情報を参考にして同じことをやろうとしても上手くいきませんし、そもそも同じことが出来ない可能性も高いのです。
セミナーや個別面談であれば現在の最新の情報を直接取る事ができるので、時代錯誤な情報を得ることにはまずならないでしょう。
問題はインターネットからの情報と書籍からの情報を得る場合に古い考え方が情報として入ってきてしまう可能性があるということです。
まず、不動産投資のお話の内、最も派手で興味関心を引きやすいサクセスストーリーの代表格として、一棟物の運用を主体にしたお話があります。
私が現在の投資不動産を扱う仕事に就いた頃、一棟物の不動産投資も盛んでした。
この頃は一棟物の不動産投資についても色んな話がありました。
当時の融資条件としては、年収700万円以上あれば少なくとも一棟物の融資が一件は受けられたと思います。
頭金も要りません。諸費用も不動産業者が値引きで対応してくれて資金を出さずとも一棟物の不動産を購入出来ていた覚えがあります。
年収1,000万円を超えていれば3棟ほどのマンションを購入して2億近い融資を受けている方もざらにいました。
しかし金利は当時かなり高く、中古の一棟物だと4.5%ということもありました。
利回りについても今の一棟物よりも利回りは高いものが多くありました。
この当時の様に、金利は高くても融資の条件が緩く、年収次第で何棟も一棟物の融資が比較的自由に受けられた時代に、自己資金をなるべく使わずして一気に所有不動産の数を増やした方々が沢山当時はいたのです。
良い物件を購入された方は一気にキャッシュフローが増えますので、その資金を元手にどんどん返済を進めて、さらにローンを組んで投資のボリュームを上げていきました。
その結果アメリカンドリームの様に、自身のサラリーだけではなく不動産からも大きな収入が入る状態を確率して一気に立派な資産家になるところまで上り詰めた方もいたのです。
しかしメリットだけではなく相応にリスクもあり、この運用方法は諸刃の剣でもあります。
購入した不動産に問題が起きれば当然オーナーに被害が及びます。
ましてや一棟物ともなれば起きる問題も大きくなる可能性が高くなります。
古い物件を購入すればエレベーターを交換するだけでも700万円~800万円はかかります。
外装の大規模修繕工事をするなら数千万円単位の資金が必要となりますし、空室が増えたり家賃が下がる可能性もあるため様々な問題が重なると破綻してしまう方もその実多くいたのです。
これは当時の融資環境と、物件の利回りや良い物件を目利きできる能力などがあって初めて完成される不動産投資の形です。
今は同じ条件での融資を受ける事自体が到底不可能ですし、現実的に考えても同じことはできません。
当時と同じ利回りの一棟物もありません。買いたくても買えません。
この当時の本を読んで、現在同じレベルで近い事ができるのは、富裕層の方で資金力が豊富にあり保有資産を背景にして数棟もの一棟物の融資を自由に受けられる方のみです。
今現在は例え富裕層の方であっても頭金を2割~3割ほど入れて融資を受けることになりますので、昔の様に資金を使わずに資産を増やすことは物理的に不可能なのです。
資金力のある富裕層の方であれば、利回りは今の時代の方が多少低くても金利は現在の方が安いので、当時よりも条件の良い融資が受けられる事もありますので当時と同じレベルの投資も可能だと思いますが、本に書いてあるからといって今も同じことができるわけではない事に注意をして参考にする情報を選んでもらえたらと思います。