今後不動産投資をしていくに当たって、非常に重要なポイントがあります。
それが人口の減少、さらに人口動態です。
┃これからの人口推移
現在の日本の人口は1億2680万人。
これがこれからゆっくりと減少していきます。
賃貸の需要をベースとして賃料を上げて収益とする不動産投資は、この人口の減少の影響を受けていきます。
不動産投資は半年後に急に価格が大きく上がって利益が上がるという様な性質はありません。
基本的には家賃から少しずつ経時的に利益を積み上げて大きな利益に変えていきます。
10年どころか、20年30年スパンの長期投資となります。
では、30年後人口はどの様に変化しているのでしょうか。
およそ20年後の2040年には労働人口が1750万人減少すると言われています。
働いている現役世代がまず大きく減少するという事になります。
30年後の2050年には総人口が1億人を切るという予想になります。
さらに2060年、総人口は8000万人台に突入し、約3分の1の人口が消えていなくなるということになります。
これを皆さんはどの様に考えますか?
これからそれぞれの地域に起こることを、データを元に予想してみます。
┃各地域に起こることをデータから予想してみる
現在東京は人口の流入が続き、人口はむしろ増えています。
年間で換算すると日本人人口が7万5千人、外国人労働者が2万5千人規模で増加しています。
合計すると年間10万人規模で増えていることになります。
大阪は5000人ほどの増加、福岡は3000人ほどです。
いかに東京に人口が集中しているかがわかるかと思います。
一方、地方の秋田県では労働人口が急激にこの数年間減少しています。
高知県も同様です。
お若い方が仕事を求め都市部に出て働いているという事です。
当然ご両親は地方に残っています。
するとこれから20年30年と時間が流れた頃に、残されたご両親が平均寿命にさしかかります。
このタイミングから急激に高齢者の割合が高くなった地方は大きく人口が減り始めます。
結果、人口が大きく減少した地方では思うように賃貸物件が埋まらない、競合が多くなることで家賃が下がりやすくなる等の大きな影響を受け始めるでしょう。
東京などの都市機能を備えた都心部はというと、現在東京の人口は1385万人、2025年前後までは人口の増加を予想しています。そこからゆっくりと人口が減り始め2040年には1346万人の予想となっており、今の人口から考えてもまだ大きく減少はしていません。
さらに単身世帯の割合は2035年まで増え続ける予想となっているので、ワンルームや1LDKの賃貸需要はほとんど人口の減少の影響をこの時点では受けないでしょう。
少なくとも今後20年間は影響がないという事です。
┃利回りだけに注目していると痛い目にあうことも
地方の物件は価格が安く、利回りが高いので魅力的に映るかも知れませんが、人口の影響が顕著に出始めると、賃料が取れない、または収益の下がった地方の物件は買い手もいなくなる傾向が出てくる可能性があります。
そうなれば売却による離脱も難しくなり、ただのお荷物物件を持ち続けることになりかねません。
目先の利回りだけではなく、この先起こることを視野に入れた上で想像力を持って物件を選ぶ必要があります。
後進国の中には人口が爆発的に増え、都心部に人口が集中し、地下鉄や道路の整備が急ピッチで進み、どんどん建物を建てなければ需要に追い付かないという都市もありますが、残念ながら日本はその状況にありません。
私は日本の不動産運用についていえば、これから時間が経てば経つほどに、安全性、つまりきちんと家賃があがる物件が価値を持っていくと考えています。
都心部の不動産は高く、利回りが低い。確かにその通りです。
確実に取れる4%、短期的にしか取れない可能性がある7%。
私は前者がこれから先価値を持っていくと考えています。