この減価償却ですが、あまり個人では関わる事の無い考え方のために、よくわからないという方も中にはいらっしゃいます。
今回はこの減価償却の考え方をご紹介してみようと思います。
減価償却の期間はそれぞれの償却資産ごとに法定された最大年数、期間が設定されています。
例えば自動車は5年になっています。
購入した車は新車の場合、5年で税務上の価値を失います。
100万円で購入したのであれば、毎年20万円を経費計上できることになります。
┃減価償却をする理由って?
ここでなぜこの減価償却という仕組みが必要なのかを説明しておきます。
例えば、あなたが会社の社長さんだと思ってみてください。
今期あなたの持っている会社は好調で、多額の利益が期末までに見込まれています。
当然純利益に対しては納税する事になります。
法人税が50%と仮定した場合、1億の純利益が出ていれば5,000万円を納税することになります。
ということは税引き後で会社には5,000万円しか残りません。
せっかく頑張って出した利益を税金で半分も納めなければなりません。
そこであなたは考えました。
税金で払うのであれば、来年から必要になる営業車を10台今年度に買ってしまえば、その分経費で計上して利益を抑え、納税額を減らす事ができるのでは?
200万円の営業車を10台購入すれば2,000万円です。
2,000万円の経費を計上出来るとなれば利益を8,000万円に抑えられるので、4,000万円しか税金を払わずに済むのではないか????
しかし実際はそうなりません。
減価償却の考え方があるので、購入年度に計上できる経費は最高でも1台当たり200万円÷5年=40万円(または購入した月からの月割り)しか計上できないのです。
この減価償却の考え方がなければ、設備投資などを先行すれば、投資した分だけ税金を自由に抑えられてしまう為、減価償却の考え方により税金対策が簡単にはとれない様になっています。
┃不動産投資における減価償却
この減価償却、鉄筋コンクリート造のマンションは、47年で躯体の償却をかけることになります。
これは構造により減価償却期間がそれぞれに設定されており、木造の場合はアパートなどは、22年なので償却期間が短くなります。
中古で購入した場合は基本的に残存期間で償却をかける事になりますので、築年数が古ければほとんど償却を出せる期間がほとんど残っていないという事もあります。
減価償却が終わってしまうと、家賃の収入に対して相対して計上できる経費が極端に少なくなります。
結果家賃収入に対しても経費がないと大幅に課税になり、その分利益に対する税金を納めなければなりません。
不動産所得は総合課税の為、自身の給与所得の課税率によってはそもそもの税率が高く、不動産所得が加わるとさらに課税所得が上がり、納税額が大きくなってしまう事も税率が上がる事もあり得ます。
せっかく利回りが良い物件を購入しても、納税後の収益が税引き後半分程度しか手元に残らないのであれば、実質利回りは大きく目減りしてしまいます。
この減価償却による税効果をよく理解していないと、どんなに利回りの良い物件を購入しても、税効果が下がれば大きく投資効果そのものを下げてしまう事になりかねないのです。
比較的古い物件は利回りが高い場合が多いと思いますが、減価償却が終わってしまっては家賃収入に対しての課税により大きく収益を落としてしまうことになりかねません。
表面上の利回り以上に、この税効果は不動産収支の結果に大きな影響を与えます。
不動産を資産として持って運用していく場合は、この減価償却費がいつまで、どれくらいの効果を持つのかを良く理解して購入する必要があります。
事前に税理士さんや、不動産運用に詳しい不動産業者等によく相談の上購入しましょう。