まずマンションと一軒家の違いで大きい点は、修繕費です。
一軒家の場合は前回もご紹介した通り、外装も含めて全てのメンテナンスコストが自身の負担になります。
外装の壁、外構、植栽、屋根、こういった設備が壊れれば、家主が負担して直す必要があります。
塗装や修繕は場合によっては数百万円単位になる事もあり、家賃に換算すれば数ヶ月分どころか数年分の家賃収益を消し飛ばすほどのインパクトがあります。
マンションの運用の場合は、この様な急に大きな出費を迫られる事が仕組み上まずあり得ません。
基本はマンションの共有部の修繕、メンテナンスは管理組合で管理して集めている修繕積立金から負担していきます。
よって、急な負担が出るとすれば所有しているお部屋の中の故障や、修繕のみが主な出費の対象となります。
しかし、基本的にはお部屋の中の修繕というと、エアコンや給湯器などの設備の故障がメインです。
その他のトラブルはそのほとんどが火災保険の対象となるような事案が多く、あまり自分で大きなコストを負担するケースがありません。
設備面のコストを考えると、区分マンションの場合はせっかく手に入った家賃収入を大きく吹き飛ばしてしまうようなリスクは考えにくいという事です。
┃違い②税務面
次に大きな違いとしては、税務面の違いです。
不動産収入に対して、申告上は減価償却を経費として計上出来ます。
収入に対して相対する経費が計上されると、家賃収入に対して課税を抑えたり、赤字の度合いによっては節税効果を生むことになります。
しかし、この減価償却には構造によって償却期間に違いがある為、木造の建物を中古で購入すると、所有後かなり早いタイミングで減価償却費が計上出来なくなる可能性があります。
そうなると入ってきた家賃収入にも経費がない以上は課税されることになり、得た家賃収入が納税すると大きく目減りしてしまい予定した利回りが獲得できない可能性があります。
この減価償却の考え方については、購入時に不動産屋さんがきちんと説明してくれないケースもありますので、知らずに購入して数年後、減価償却が終わると大きな税金を納める事になってしまって、困っている方が沢山います。
┃違い③家賃収入
最後に不動産の収益、家賃収入についてです。
家賃収入は原則として、建物の平米数が小さいほど、平米当たりの家賃が高く取れるという傾向があります。
2LDKのマンションよりも、ワンルームマンションの家賃の方が平米当たりの家賃の単価が高いという事です。
最も平米数の広い一軒家は、家賃を取る際の平米当たりの単価が最も低く、収益効率を広さから考えると最も収益になり辛いということになります。
要は一軒家は大きい割には賃料が取れないという事です。
郊外の古い一軒家をリフォームして運用する例などの書籍も出版されていますが、利回りが高いとしてもリフォーム費用の減価償却が終われば収益率は落ちてしまいますし、その後の税金や、メンテナンスコストを考えると割に合わないケースも多くあります。
┃民泊やシェアハウスは??
しかし、中には例外的な投資もあります。
いわゆる民泊や、シェアハウスがこれに当たります。
民泊の場合は家具や設備は家主持ちなので、設備コストが部屋だけを貸す場合に比べて余計にかかりますが、優秀な物件であれば普通に賃貸をするよりも高収益になる事もあります。
また、シェアハウスの場合一人一人の入居者から得られる家賃は小さくても、全ての入居者からの賃料が通常の賃貸による賃料よりもはるかに大きくなることは稀にあります。
しかし、民泊にしてもシェアハウスにしても、近所からのクレームに繋がったり、日本とは文化の違う外国人が使用するケースでは、騒音やゴミ等が原因で近隣トラブルになったり、建物や設備の汚損や損傷につながるケースも多く、一般の賃貸には見られにくいトラブルが多いのも実情です。
┃投資ならマンションが正解!
表面上の利回りが高く見えても、減価償却、家賃の坪単価、メンテナンスコスト等を勘案すると、一軒家は基本的に投資には不向きです。
小さいスペースから効率よく家賃を上げる事ができるアパート経営の方が、同じ木造であれば圧倒的に有利です。
そもそも構造の違う鉄筋コンクリート造のマンション経営は大きな設備、修繕費用が必要になる事もないので、資産家の方の様に大きな資金を持たないサラリーマンであっても、長期に渡って安定的に投資できるというメリットがあります。