不動産投資の損得を考えるのに、非常にわかりやすい材料として不動産の投資信託であるREITがあります。
┃いまだけの高利回りはお得?
このファンドは非常に見た目の利回りが高く、私が以前運用していたラサールグローバルリートオープンでいえば、現在は毎月配当型で年利11.4%です。
すごく儲かりそうですよね?
日本の預金金利と比べたらとんでもない利回りです。
しかし、グラフを見てもらうと実際は配当が毎月出ているのに儲かっていません。
オレンジのラインは純資産、グレーのラインは配当金込みの価格です。
基準価格がどんどん下がっているからです。
配当を出すごとに基準価格が下がっていたり、配当が下がったり、経済の影響を受けて相場が下がっているので儲からないのです。
景気がよくなると基準価格も上昇し、配当も手に出来るので瞬発力のある収益を生むこともありますが、ほとんどの場合はそう簡単には基準価格は上がりません。
この構図は地方の利回りの高い不動産投資によく似ています。
地方のアパート経営などは表面利回りは高いのですが、徐々に空室が増え、家賃が下がり、物件の修繕費がかさみ、経時的に物件の価格が下がっていきます。
こうなると表面上家賃収入が入ってきていても売却時には価格が下がり、持ち出した修繕費などを合計すると全く儲かっていないか損をしてしまうことも物件によってはあり得るのです。
┃確実な利回り4%とは
しかし都心の区分所有のマンション投資の場合は、家賃も下がりにくく、価格も下がりにくい、場合によっては立地が良いと価格が上がることすらもあり得ます。
さらに月々の修繕積立金の支払いはありますが、共有部の修繕工事は原則管理組合の修繕積立金から捻出します。
地方のアパート経営の様に外装などの修繕に数百万円の出費が必要になる事がありません。
地方の不動産投資は利回りは良くても場合によっては損失になってしまったり、長期で運用した場合は結局ならしてみると利益にはなっているものの、都心の堅い利回りの投資とトータルの結果がほとんど変わらないという事もあるでしょう。
もしも結果が都心と変わらない、もしくはそれ以下なのであれば、地方に投資した分だけ無駄にリスクが大きくなってしまいます。
しかし、地方の投資とはいえどもうまく回っているという物件も当然あります。
近くに大学がある、工場などの大きな施設があり豊富な特殊需要があるなどの場合は地方であってもうまく満室に近い状態で安定稼働できているものもあります。
利回りが高く、安定して運用できているのであれば利回りが高い分当然その方が儲かります。
しかし相対的に見て地方の物件は様々なリスクが高く、家賃の下落リスク、価格の下落リスク、空室のリスクが高くなるのは明確であり周知の事実です。
古い物件は建物の寿命が短いのでその分利回りが高く、瞬発力がなければ投資として合いません。
新しい建物は多少利回りが低くても寿命が長いので、長期に渡り上がってくる収益を考えればきちんと利益になります。
都心の物件は利回りは低いのですが安定的で確実性があります。
地方は不安定な分、利回りが高くなければ投資としての魅力がなくなってしまいます。
投資の世界や利回りの世界観は実によくできており、利回りが高いとリスクは高くなり、利回りが低い物はリスクが小さくできています。
目先の利回りだけにとらわれて大きな問題を抱えることにならないように、投資のバランスや根拠を明確にしてトータルの収支としての全体像を見極めて納得できるものに投資するようにしましょう。
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