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不動産投資で節税できる仕組みは、損益通算や減価償却にあります。不動産所得の赤字を給与所得などと損益通算し、課税所得を減らすことが可能です。本記事では不動産投資で節税できる仕組みや節税に向いている人・物件を紹介します。節税する際の注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
不動産投資で節税できる可能性があるのは、以下の税金です。
所得税は、1年間の収入から必要経費や所得控除額を差し引いた所得にかかる税金です。住民税は道府県民税(東京都の場合は都民税)と区市町村民税に分かれ、所得税と同じく所得に応じて課せられます。
相続税は、亡くなった人から財産を引き継いだときに課せられる税金です。贈与税は、財産を無料で譲り受けたときに発生します。
法人税は、法人の企業活動で得られた所得に対して課される税金です。個人ではなく法人として不動産投資をした場合は、1年間の所得に対して法人税が課せられます。
所得税とは、1月1日~12月31日までの1年間に得た所得に対して課税される税金です。
所得税が課税されるのは年収ではなく、年収から各種控除などを差し引いた所得に対してです。
所得は10種類に分けられ給与所得や不動産所得、雑所得などがあります。所得の種類によって税率が異なり、給与所得は累進課税方式を取っていますが、不動産の売却時に課税される譲渡所得税は、売却する不動産の所有年数で税率が決まります。
住民税とは、行政サービスを維持するため、各人の所得に対して課税される税金です。
住民税の納税先は住民登録をしている自治体であり、都道府県と市区町村の両方に納税しなければなりません。
住民税は自治体によって税率が異なります。また、住民税には所得に対する「所得割」のほかに、所得額に関わらず納税しなければいけない金額である「均等割」があります。均等割も自治体によって金額が異なります。
贈与税とは、財産の贈与が行われた機会に対して課税される税金で、財産を贈与された人が納税者です。
贈与税は1月1日~12月31日までに贈与された財産の合計金額から、基礎控除110万円を差し引いた金額に税率を乗じて算出されます。
なお、贈与とは当事者の一方が、もう一方に対して無償で財産を譲り渡すことです。
相続税とは、遺産を相続したり遺言で遺贈を受けたりしたときに課税される税金です。
相続税には基礎控除が認められており「3000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)」で計算した金額未満の財産評価を相続する場合、相続税は課税されません。2015年からは現在の基礎控除に変更されており、基礎控除額が減っていることには注意しましょう。
なお、相続税は相続が発生したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告・納税しなければなりません。期限があるため相続が発生したときには、早めに手続きすることを忘れないようにすることが大切です。
法人税とは、法人の所得に対して課税される税金です。
法人税は所得税のような累進課税方式ではなく、所得に関わらず課税される比例課税方式を採用しています。ただし、法人には法人住民税や地方法人税、法人事業税が課税されるため、所得に対して現在の実行税率である29.74%分が課税されると考えておかなければなりません。
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不動産投資で節税する方法は、以下の3つです。
ここでは、不動産投資で節税できる仕組みを紹介します。
不動産投資の節税についてはこちらの記事でも詳しく解説しているため、合わせて参考にしてください。
マンションなどの不動産投資でかかる税金は? 節税方法や注意点も解説
不動産投資では管理費など諸経費がかかり、賃貸経営で得た収入から差し引くと赤字になる場合があります。その赤字を給与所得などから差し引く損益通算を行うことで、所得税と住民税の節税ができます。特に不動産を購入した初年度は多くの初期費用がかかるため、大幅な節税が可能です。
累進課税制度のもとでは年収が高くなるほど税率が上がるため、年収の高い人は損益通算により高い節税効果が期待できます。
不動産投資の節税で重要なのは、経費の計上です。経費が多ければ多いほど所得額を減らし、赤字になれば課税所得と損益通算して節税できます。そのため、どのような費用を経費にできるのかを知っておくことが大切です。
不動産所得に計上してマイナスできる経費には、以下のものがあげられます。
不動産を管理するため管理費は、日常清掃や設備のメンテナンス費などにかかる費用です。部屋のクリーニングや破損した場所の修繕などへの支出は、修繕費として計上できます。
修繕積立金は、建物の経年劣化で修繕が必要になったときに備え、計画的に積み立てておく費用です。また、管理を管理会社に委託する場合、その委託料も経費として計上できます。
自然災害による損害に備える火災保険や地震保険などの保険料も、経費になります。
不動産を購入したときは印紙税や不動産取得税がかかりますが、そのほかに毎年納める固定資産税・都市計画税があり、それらも経費できる費用です。
不動産をローンで購入した場合、元金の返済分は経費にはなりませんが、ローンの利息分は経費に計上できます。
このほか、不動産会社と打ち合わせする際などにかかった交通費、不動産投資に関する書籍などを購入した場合の新聞図書費、業務で使用した電話などの通信費も経費になります。
毎月支出する費用のほかに、減価償却費も経費として計上が可能です。減価償却費については、次の項目で説明します。
不動産投資では、減価償却費を計上して節税できます。不動産を購入した費用は全額を計上できず、減価償却により耐用年数に分割して毎年経費に計上することになります。
減価償却について、詳しくみてみましょう。
減価償却は、固定資産の購入費用を法で定められた耐用年数の期間にわたって、分割して費用計上する会計処理です。
減価償却の対象になるのは設備・機械装置・備品など時間の経過とともに価値が減少する資産であり、耐用年数の期間、分割して購入費用を計上する必要があります。
建物の構造ごとに設定されている耐用年数は、以下のとおりです。
・軽量鉄骨造:19年
・木造:22年
・鉄骨造:34年
・鉄筋コンクリート造:47年
耐用年数の間、毎年減価償却費を経費として計上可能可能です。
減価償却により費用計上は支出を伴わずに所得を減らせるため、高い節税効果が期待できます。
減価償却については、以下の記事で詳しくは説明していますので、ぜひ参考にしてください。
不動産投資における減価償却の仕組みを解説!計算方法や節税効果も紹介
不動産投資で財産を不動産に代えることで、相続税や贈与税の節税もできます。相続税や贈与税を計算する不動産の評価額は、同じ価値の現金よりも低くなるためです。
不動産の相続税や贈与税の計算では「相続税評価額」に税率をかけて求めます。相続税評価額は、実際に売買される価格(時価)よりも低くなることがほとんどで、同じ価値の現金よりも相続税や贈与税を抑えることができます。
例えば1億円の財産がある場合に、すべて現金で所有している場合の課税対象額は1億円です。一方、不動産を購入した場合、不動産の評価額が仮に時価の8割とすれば課税対象額は8,000万円となり、相続税が抑えられることになります。
不動産投資で損益通算の節税をするためには、確定申告が必要です。確定申告は毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得を原則として翌年の2月16日~3月15日までに税務署に申告・納税する手続きです。
サラリーマンの給与所得は会社が年末調整を行うため、確定申告の必要はありませんが、不動産投資で得た所得の申告は自分で行わなければなりません。
経費や減価償却を差し引いて不動産所得が赤字の場合、確定申告で損益通算することで給与所得等を減額し、所得税や住民税を節税できます。
確定申告には白色申告と青色申告があり、青色申告にすれば最大で65万円の青色申告特別控除を受けられるため、より節税効果が高くなります。青色申告をするには個人事業主として開業届と青色申告承認申請書を提出する必要があり、複式簿記による帳簿の記帳が要件です。節税効果を高めたい場合は、検討してみるとよいでしょう。
不動産投資の節税は誰にでもおすすめというわけではなく、向いている人とそうでない人がいます。
所得税・住民税の節税が向いているのは、課税所得が一定額を超える人です。また、相続税対策が必要な人にも向いています。
ここでは、不動産投資が向いている人について解説します。
不動産投資で所得税・住民税を節税する場合、所得が一定額以上でないとあまり目に見えた効果は得られません。日本では累進課税という課税方式を採用しており、課税額が高いほど適用される税率が上がる仕組みです。課税所得が900万円を超えると所得税・住民税率は約33%となり、譲渡税率との差が大きくなるため、節税効果が高くなります。
そもそも節税効果は毎年の所得税を減らす効果と、売却時に実際の税金を減らす効果の2種類に分けられます。
減価償却期間中に節約できた税金は、結局は物件を売却する際に譲渡税という形で支払わなければなりません。そのため、納税を先送りできる効果にすぎないといわれます。ただし、それは減価償却期間中の所得税・住民税率と売却時の譲渡税率がほぼ変わらない場合にあてはまることです。
売却時の譲渡税率は売却する時期によって異なり、以下のように定められています。
● 短期譲渡:物件取得から5年以内に売却した場合。譲渡税率は39%
● 長期譲渡:物件取得から5年を超えて売却した場合:譲渡税率は20%
譲渡税率の低い5年経過後に売却する場合は20%の税金がかかるため、所得税・住民税の税率がこの税率を大きく上回る場合でなければ節税効果が得られません。
課税所得が900万円以下の場合は所得税・住民税率と譲渡税率の差があまりなく、節税効果は期待できません。実際に減らせる税金額を考えると、ローンを組んでまでリスクのある不動産投資をするメリットはないといえるでしょう。その場合は節税目的ではなく、あくまで不動産投資で利益を上げる目的で取り組むことをおすすめします。
相続税は、次の計算式で求めた基礎控除額を除いた相続財産に課せられます。
「相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数」
例えば、1億円を2人で相続した場合、基礎控除額は「3,000万円+600万円×2=4,200万円」となり、1億円−4,200万円=5,800万円に相続税が課せられることになります。
このように、基礎控除をマイナスしても相続税が課せられる人は、不動産投資の節税が向いています。手元にある現金を不動産に代えることで不動産評価額が時価よりも下がり、相続税を抑えることが可能です。
相続の対象となる不動産が賃貸物件の場合は、土地と建物の評価額がさらに軽減されます。賃貸用物件の相続税評価額は、賃貸物件が建つ土地は貸家建付地として借地権割合や借家権割合が計算に加えられるためです。
相続税対策を検討している人は、現金よりも賃貸用物件として資産を所有しておくことが、節税につながる可能性が高いでしょう。
所得税・住民税の不動産投資の節税効果は、年収により異なります。年収が高いほど所得税の税率が上がるため、不動産所得の赤字が大きければ節税効果も高まるでしょう。また、相続税の場合は現金で相続する場合に比べ、節税効果が高くなります。
実際にどのくらいの節税効果があるのか、税金ごとにシミュレーションを紹介します。
所得税は年間の所得に対して課税されます。給与収入の場合、所得額は年収から給与所得控除を差し引き、さらに社会保険料などの控除を引いて求めます。
以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
● 年収:600万円
● 給与所得控除:164万円
● 基礎控除:48万円
● 社会保険料控除等:50万円
(不動産投資をしない場合)
課税所得は「年収600万円−給与所得控除等262万円=338万円」となります。
338万円の所得税率は20%で、42万7,500円の控除があります。
338万円×20%=67万6,000円
67万6,000円−42万7,500円=24万8,500円
所得税は24万8,500円です。
住民税の税率は10%であり、課税所得に乗じて均等割の5,000円を加算します。
住民税は338万円×10%+5,000円=34万3,000円です。
(不動産投資をして80万円の赤字となった場合)
課税所得338万円−80万円=258万円
258万円×20%=51万6,000円
51万6,000円−42万7,500円=8万8,500円
所得税は8万8,500円です。
不動産投資により、24万8,500円−8万8,500円=16万円の節税ができたことになります。
住民税は258万円×10%+5,000円=26万3,000円となり、34万3,000円−26万3,000円で8万円の節税です。
次に、以下の条件でシミュレーションしてみます。
● 年収:1,200万円
● 給与所得控除:195万円
● 基礎控除:48万円
● 社会保険料控除等:80万円
(不動産投資をしない場合)
課税所得は「年収1200万円−給与所得控除等323万円=877万円」となります。
877万円の所得税率は23%で、63万6,000円の控除があります。
877万円×23%=201万7100円
201万7100円−63万6,000円=138万1,100円
所得税は138万1,100円です。
また、住民税は877万円×10%+5,000円=88万2,000円となります。
(不動産投資をして80万円の赤字となった場合)
課税所得877万円−80万円=797万円
797万円×23%=183万3,100円
183万3,100円−63万6,000円=119万7,100円
所得税は119万7,100円です。
不動産投資により、138万1,100円−119万7,100円=18万4,000円の節税ができたことになります。
住民税は797万円×10%+5,000円=80万2,000円となり、88万2,000円−80万2,000円で8万円の節税です。
相続税の場合は、不動産の購入により現金で相続する場合と比べて税額を節約できます。現金を相続した場合と、不動産投資の物件を相続した場合を比較してみましょう。
相続税の計算は以下の通りです。
相続税=(遺産額-基礎控除額)×相続税率-控除額
基礎控除は、「基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人数」の計算式で求めます。
(1億円の現金を1人で相続する場合)
● 1億円の相続税率:30%
● 控除額:700万円
1億円−(基礎控除額3,600万円)×30%-700万円=1,220万円
現金を相続する場合、相続税は1,220万円となります。
(1億円の土地・建物を1人で相続する場合)
1億円のうち、土地の価格は7,000万円、建物の価格は3,000万円と仮定します。建物の固定資産税評価額は、建物の建築費の60%が目安です。
そのため、建物の価格は3,000万円×60%=1,800万円で計算します。
8,800万円−(基礎控除額3,600万円)×30%-700万円=860万円
不動産投資をして不動産を相続する場合、1,220万円−860万円=360万円の節税になります。
節税目的で不動産投資をしても、うまくいくとは限りません。事前の計画が十分でない場合、失敗に終わる可能性もあります。
不動産投資で節税するためには物件選びから注意する必要があり、減価償却費を大きくとれない新築物件では節税効果が期待できないでしょう。
ここでは、節税目的で不動産投資をした人の失敗例をご紹介します。
Hさんは不動産投資が節税できると聞き、将来の資産形成もかねて新築区分マンションを複数購入しました。節税について不動産会社の営業マンに相談したところ、毎月の管理費などを経費計上することで節税できるという説明を受け、勧められるままに新築マンションを購入したという経緯があります。
新築マンションのため入居者もすぐに見つかり、賃貸経営は順調に進みました。しかし、数年経過しても高い節税効果は感じられません。毎年の節税効果を高めるのは支出なしに計上できる減価償却費ですが、耐用年数の長い新築の場合は1年の減価償却費を大きくとれないことが原因です。
数年経過したマンションは新築というメリットも薄れ、空室になる期間も多くなりました。節税効果が低いということに気づいたHさんは、マンションを売却して減価償却費を多くとれる中古物件に買い換えようと考えました。
しかし、売却価格が購入価格よりも大幅に下がることがわかり、売却もできない状況になったということです。
年収が高いために高額の税金が気になっていたYさんは、不動産投資で節税できたという同僚の話を聞き、一棟マンションを購入しました。節税のためには経費の額が大きい方がいいと考え、経費と称してつい無駄使いしてしまうことが多くなります。
また、いくら支出しても経費にできるという安心感もありました。確かに経費が多くなれば税金は減りますが、手元のキャッシュフローは確実に減少します。
その結果、資産は目減りし、不動産投資を行う前よりも実質的に収入が減ってしまうことになりました。
不動産投資はあくまで家賃収入で利益を上げる方法です。節税は副次的な成果に過ぎません。節税を主な目的にすると、本来の目的を達成できないことにもなるでしょう。
不動産投資は給与所得と損益通算し、所得税・住民税を節税することができます。その効果を得られるのは、あくまで日本で働いていることが前提です。海外で得ている収入を損益通算することはできません。
Sさんは年収が1200万円になり、高額な税金に悩んでいました。あるときインターネットで投資のサイトを見つけ、不動産投資が節税になることを知ります。特に築年数の古い木造物件は節税効果が高いと知り、中古の木造アパートを一棟購入しました。
数年間は順調に賃貸経営を続け、高い節税効果を得ることができました。しかし、3年後に海外転勤が決まり、損益通算による節税効果が得られないことになってしまったのです。
古いアパートは空室も多く、管理費や修繕費を考えると収益性もないため、結局売却することになってしまいました。
Gさんは不動産投資に興味があり、良い物件があれば投資したいと考えていました。空室のリスクを気にかけ、できれば入居者がいる状態で購入したいと思っていたところ、満室の状態にある物件を見つけたのです。
家賃収入が確実に手に入ると考えて購入を決め、しばらくは満室状態が続いて収入は安定していました。しかし、1年ほど経つと入居者が少しずつ退去し、駅から遠いこという立地条件だったため、次の入居者がなかなか現れません。入居者が見つかるのに数ヶ月かかり、それでも満室には戻らず家賃収入が大きく減ってしまいました。入居者が多いというだけで購入し、立地条件などをよく確認しなかったために起きてしまった失敗例です。
入居者がいる状態でもその状態が続くとは限りません。継続して入居者のニーズがある物件かどうかを確認する必要があります。
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不動産投資で節税する場合、どの不動産でも良いというわけではありません。節税に向いている物件と向いていない物件があるため、よく確認してから購入することが大切です。
ここでは、不動産投資の節税に向いている物件を解説します。
不動産投資の節税に向いているのは、木造・中古物件です。このような物件は耐用年数が短く、初期費用が安いという特徴があります。
詳しくみていきましょう。
建物の耐用年数は構造により異なり、木造の法定耐用年数は22年と他の構造に比べて短いのが特徴です。期間が短くなることで、同じ価格の物件よりもより大きな減価償却費をとれ、節税効果が高くなります。
また、耐用年数の切れた物件は法定耐用年数×20%の年数で減価償却ができるため、さらに高い節税効果を得られるでしょう。
結論として、築23年以上の木造物件であればより節税できることになります。
木造の中古物件は新築よりも安い傾向にあり、初期投資の金額を抑えられるため、節税対策として不動産投資をはじめやすいという特徴があります。
不動産投資は高額な支出を伴うため、節税のために行うのは躊躇するかもしれません。しかし、木造の中古物件であれば初めてでも取り組みやすい価格で購入が可能です。金額が低ければ、ローンの審査も通りやすいでしょう。
木造の中古物件は節税効果が高く、不動産投資をはじめやすいというメリットがありますが、新築物件よりも集客しにくい傾向にあります。
不動産投資は空室のリスクがあり、入居者が見つからなければ利益を得られません。赤字が続けばローンの支払いが難しくなり、賃貸経営を続けるのが難しくなる可能性があります。
節税効果があるとはいえ、あくまで主目的は不動産投資であり、集客の対策が欠かせません。
物件を探すときは立地条件が良いなど、木造・中古物件でも集客を見込める物件を探すことが大切です。
また、建物の状態にも注意しなければなりません。築年数が経過していることで修繕が必要になる場合があります。建物の状態を確認せずに購入すると、予想外の修繕で高額な支出が必要になるかもしれません。集客のためには、設備を新しくするなどの出費が必要になる場合があることも把握しておきましょう。
節税効果があまり期待できないのは、新築区分マンションです。新築区分マンションは減価償却期間が長いため、1年間に計上できる減価償却費が少なくなります。節税効果はあまり期待できないでしょう。
例えば、耐用年数が47年の鉄骨鉄筋コンクリート造の新築区分マンションを3,000万円で購入した場合、1年で経費計上できる減価償却費は約64万円程度です。
一方で、20年の木造アパート1棟を同じ価格の3,000万円で購入した場合、1年でおよそ約136万円を減価償却費として計上が可能です。
節税を期待して不動産投資を行う場合は、新築区分マンションよりも、1年あたりの減価償却費を多く経費計上できる木造の中古物件を選ぶとよいでしょう。
不動産投資で節税する際は、いくつか注意したい点があります。節税効果には限りがあること、不動産投資にはリスクがあるといった点です。また、相続税対策で行う場合は相続後のトラブルを考慮しなければなりません。
不動産投資の節税における注意点を解説します。
不動産投資では、長期の節税効果は期待できません。まず、節税効果が高いのは初期費用のかかる初年度です。それ以降は管理費や固定資産税などの経費をマイナスできますが、初年度ほどの節税効果はありません。
また、節税効果が大きくなるのは支出の伴わない減価償却費の計上ができるためですが、それも耐用年数の期間内です。減価償却の時期が過ぎると節税効果が少なくなり、支払う税金の額は大きくなります。
いざ売却しようと思っても、耐用年数を過ぎた物件は需要が低下し、買い手が見つかりにくくなる場合もあるでしょう。
そもそも不動産投資には、最終的に売却しなければならない期限が存在します。デッドクロスとよばれるもので、会計上は黒字だが手元資金は赤字という状態です。減価償却期間をすぎると経費として計上できなくなり、課税所得(会計上の利益)が増えて税金が高くなります。帳簿上は黒字でも、支出が多くなり手元の金額が少なくなるのです。
このようなデッドクロスが発生するのは、減価償却が終わるときです。減価償却の終わりが近づいてきたら、物件の需要が下がる前に売却を検討するとよいでしょう。
不動産投資は節税効果がありますが、あくまでもメインで考えるのは投資で利益を上げることです。不動産投資で利益を上げるのは賃貸経営での家賃収入であり、収入がなければ賃貸経営の継続が難しくなります。
そのため、不動産投資で最も大きいリスクは空室のリスクです。ほかにも、不動産投資にはさまざまなリスクがあります。入居者はいても滞納されるリスクや多額の修繕費が発生するリスク、ローンの金利上昇のリスク、災害で物件が被害を受けるリスクなど、事前に把握しておくべきリスクは多々あります。
節税だけを考えてリスクを想定しないと、節税効果以上の損失を被ることになるため、注意が必要です。
空室のリスクを回避するには、物件選びから対策が必要になります。滞納や修繕費のリスクなどを考慮し、事前のシミュレーションも欠かせません。万全の収支計画を立てて取り組む必要があります。
相続税対策で不動産投資をする場合、相続後のトラブル発生に注意しなければなりません。複数人が相続する場合、現金は分割できるものの、不動産は分割に関して争いが起こる可能性があります。
不動産を誰が相続するか決まるまでは相続人全員の共有になり、処分をするときなど全員の同意が必要になります。話し合いがまとまらないこともあるでしょう。
トラブルを避けるためには分割方法を遺言で指定しておくなど、事前の対策が必要です。
不動産投資の節税で損益通算を行う場合、赤字経営を続けることになります。金融機関から追加融資を受けたい場合、「不動産経営がうまくいっていない」と判断されて審査に通らない可能性があることを把握しておきましょう。
特に不動産を追加購入して投資を拡大させたい場合には注意が必要です。物件を購入する予定はなくても、大規模修繕で高額な資金が必要になる場合があります。
金融機関からの融資を確実に受けたい場合は、節税よりも事業としての不動産経営に注力した方がよいでしょう。
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収入があれば不動産投資で節税は可能ですが、節税の効果が大きくなるのは年収1200万円を超える人です。
年収1200万円を超えてくると、年間の所得が900万円を超えてきます。年間の所得が900万円を超える場合、所得税の税率が33%以上になります。対して不動産を売却したときの長期譲渡所得の税率は20.315%であり、年収1200万円あたりから所得税率と譲渡所得税率の差が大きくなるため、節税効果が高くなるわけです。
不動産投資には、次のような節税効果があります。
● 不動産所得の赤字と給与所得を損益通算することで所得税の節税ができる
● 減価償却を利用し実際の支出がなくても不動産所得を圧縮し所得税が節税できる
● 不動産を他人に貸すことで貸付地評価になり相続税の節税ができる など
不動産投資にはさまざま節税効果があるため、どのような効果があり、どの程度の効果があるのか理解しておくことが大切です。
不動産投資で節税する場合の注意点は、次のとおりです。
● 長期の節税効果は見込めない
● 不動産投資のリスクを把握すること
● 相続時にトラブルが起こる可能性がある
● 赤字経営が続くと追加融資を受けられないことも
詳しくは記事内で解説している「不動産投資で節税する際の注意点」をご覧ください。
不動産投資は所得税・住民税や相続税などの節税ができ、特に課税所得900万円以上の人に向いています。赤字となった不動産所得を確定申告で損益通算することで、給与所得などの課税所得を減らすという仕組みです。
ただし、不動産投資にはリスクがあり、投資で利益を上げるという姿勢で取り組まないと損失を被る可能性があるため注意しなければなりません。
減価償却できる期間を超えると節税効果が少なくなり、売却に適した時期を早めに考えておくことも大切です。
「所得税が高く、不動産投資で節税を考えている」という方は、J.P.RETURNSに相談してみてはいかがでしょうか。相談は無料で、優秀なコンサルタントによる個別相談を行っています。節税で不動産投資を行う場合の注意点などについて、ぜひご相談ください。不動産投資について学びたい場合は、入門から専門的な内容までレクチャーも行っています。
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J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
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新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)