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物件を売買する際、重要なポイントの一つとして「土地が合理的な価格であるか」という点が挙げられます。もし土地の適正価格が分かっていないままに取引に臨むと、本来の価値からはかけ離れた価格で売買させられてしまい、大きな損失を出す可能性すらあります。
そこで今回は、適正な金額で土地を購入するために必要な知識として、土地価格の調べ方についてご説明します。一般的に土地価格に影響する要素や、参考となる土地の価格情報、そして価格を調べる方法をご紹介します。
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目次
土地価格が適正なのか判断するためには、変数となる要素を知る必要があります。土地価格を精査する際は、ここでご紹介する5つのポイントを必ず考慮するようにしてください。
一般的には、都市部ほど土地価格が高く郊外に行くほど安くなる傾向があります。都市部の方が便利であるためです。ただし、郊外に大規模なショッピングセンターや総合病院があり、むしろ駅前周辺で空洞化が進んでいるなど、地域によって異なる傾向を見せることもあります。
また同じエリア内でも、墓所の有無や崖・沼など周辺環境によって大きく価格が異なるケースもありますので、注意が必要です。
面積が大きければ価格が高いというわけではありません。特に宅地用の土地ですと、エリアごとに利用しやすい大きさの土地で区切られている場合が多いです。取引の多い土地面積からかけ離れた大きさの土地ですと、売れにくく価格も安くなる傾向にあります。まず、そのエリアの適正な面積を把握するように心がけましょう。
長方形や正方形の土地は利用しやすいため、売れやすく高い価格で取引されやすいです。一方、変形している土地(旗竿地や三角形)ですと、住宅が建てにくいため坪単価は安くなる傾向にあります。
一般的には、南側に道路のある日当たりのよい土地が望まれます。こういった土地は、同じエリアの中でも他の土地に比べて高い価格で取引される傾向にあります。逆に日当たりの悪い北側に道路のある土地は、比較的安価です。
2つの道路に面する2方角地や、3つの道路に接する3方角地は特に人気が高く、価格が高騰しやすいです。
人口が多く、土地取引の盛んな場所では、土地価格が相場に近くなりやすいです。一方で人口が少ないエリアですと、価格が高めに設定される傾向にあります。購入や売却を検討する際は、現在の人口だけでなく将来的な人口の予想データや取引量を参考にするとよいでしょう。
土地価格の参考になるのが、「土地の一物四価」と呼ばれる4種類の異なる価格です。それぞれの算出方法やその違い、そして使われ方を理解すると物件探しに役立つでしょう。
公示地価(地価公示価格)は、国土交通省が定めた標準地1平方メートルあたりの土地価格のことです。毎年1月1日を基準日として、3月頃に発表されます。2018年は、約26,000もの地点が調べられました。土地取引の指標となる土地の平均的な資産価値や相場情報を知ることができます。
なお、公示地価を補完するのが「基準地価(都道府県調査地価)」です。毎年7月1日時点の地価が、都道府県から9月頃発表されます。調査タイミングが公示地価と半年異なるため、比較することで土地価格の動向を把握できます。
公示地価も基準地価も、不動産の鑑定評価を独占業務として行う不動産鑑定士による鑑定結果を参考に定められます。不動産鑑定士は厳密かつ公平な立場で不動産を鑑定評価することから、高い信頼性があると考えられるが、実際の取引価格とズレが生じることもあるため、公示地価を調べるときは、あくまで参考程度と考える必要があります。
詳しい公示地価の調べ方は「標準地・基準地検索システム」やポータルサイトなどからも取得できる
参考サイト:国土交通省
https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0
路線価は、土地そのものではなく土地が接している道路1平方メートルあたりの価格です。国税庁によって、毎年7月頃公表されます。この路線価に土地の面積をかけ算することで地価を計算します。
「相続税評価額」とも呼ばれ、相続税や贈与税の課税基準を決める目的で使われます。公示価格の80%を目安に決定されています。金融機関が物件を評価するときにも路線価が用いられます。
路線価を調べ方は、国税庁が提供している「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」から検索できる。
参考サイト:国税庁
https://www.rosenka.nta.go.jp/
固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税など、土地にかかる税金を計算する際に基準となる評価額です。各市町村によって3年ごとに調査が行われ、結果に応じて価格が更新されます。公示地価の70%を目安に設定されています。
尚人気があるエリアや住宅地外の土地については、適正な相場を算定できない場合もあります。適正な土地の相場を調べるには、「実勢価格」を参考にする必要があります。
公示地価や基準地価が国の定める標準価格、すなわち理論的な価格であるのに対して、実際に買い手と売り手の間で取引された価格が実勢価格です。「時価」とも呼ばれ、需要と供給のバランスが取れる価格を指します。当事者間の事情や売買タイミングなどの理由によって、公示地価と実勢価格には大きな差が出ることもあります。
実勢価格の調べ方は国土交通省が提供している「土地総合情報システム」から検索できる。
参考サイト:国土交通省
https://www.land.mlit.go.jp/webland/
基準地価は、都道府県から選んだ全国2万ヶ所以上の基準地の標準価格のことです。国土利用計画法(1974年制定)に基づき都道府県や、政令指定都市が土地取引規制の価格審査基準として用いるほか、一般的な土地取引価格の目安にもなります。
参考サイト:国土交通省
https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0
土地価格を調べる方法を2種類ご紹介します。質問できる専門家とのつながりを持つとともに、自分でもシステムを活用して調べられるようになるなど、複数の方法で土地価格を検証できるのが理想的です。
土地の購入を検討するときは、不動産会社に足を運んで候補のエリアの土地情報を尋ねてみてください。エリアの土地価格の相場、多く取引されている土地の価格帯、人気の土地タイプ、建物付きか否かなどを確認するとよいでしょう。
専門家に直接質問すると、インターネットや書籍には記載されていないリアルな情報を入手できます。「自分で調べられる」という人でも、なるべく不動産会社とのコネクションは作るようにしましょう。
知りたい地域や場所の公示地価・路線価・実勢価格は、自分で簡単に調べることができます。
全国の公示地価や実勢価格については、国土交通省の作成した「土地総合情報システム」というページからチェックできます。公示地価や基準地価を見たければ「地価公示 都道府県地価調査」を、実勢価格を見たければ「不動産取引価格情報検索」をそれぞれクリックしてください。対象や調査年、用途区分を絞り込んで検索できますし、都道府県単位で探すこともできます。調べたい内容によって使い分けるとよいでしょう。
また路線価については、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」から細かく調べられます。2018年段階では、平成30(2018)年から平成24(2012)年までさかのぼって表示できます。
参考:国土交通省「土地総合情報システム」
http://www.land.mlit.go.jp/webland/
参考:国税庁「財産評価基準書」
http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
今回ご紹介した土地価格への影響要素、土地の標準価格、そして土地価格の調べ方を頭に入れれば、適正な範囲から外れた価格で土地を売買してしまうリスクはきわめて低くなります。土地自体の適正価格は公開されていなくても、近隣地域の状況や公示地価・基準地価などを参照すれば標準的な価格なのか否かを判断できるはずです。まずは購入してみたいと考えている土地の価格を、自分なりに調べてみてはいかがでしょうか。
土地購入を含めた不動産投資をご検討の方にも分かりやすい、不動産投資の解説はこちら
J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
大学在学中に家庭教師のアルバイトをきっかけにデイトレーダーへ転身。24歳で資産運用法人を設立する。25歳から大手投資用マンションディベロッパーと業務提携後、およそ6年間にわたり資産運用アドバイザーとして活躍。その後、大手不動産仕入れ会社で販売統括責任者として従来の投資用物件の流通システムを革新するプロジェクトを立ち上げる。国内最大規模の投資イベント「資産運用EXPO」で登壇実績があり、同業他社からも多くの見学者が立ち見の列を作った。2020年にJ.P.RETURNSに参画。オンラインでの商談やWEBセミナーを導入し、コロナ禍でも年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)