大規模修繕工事とは??

マンションを所有している方はご存じだとは思いますが、マンションには大規模修繕工事というものが必要になります。

 
┃大規模修繕工事とは 

マンションの外壁や、屋上の防水、鉄部の塗装なども含めた様々なマンションの設備にはメンテナンスが必要になるため、定期的に大きな工事を入れて設備が痛むのを防ぐ目的で行われるもの、それが大規模修繕工事です。

 

日本では区分所有のマンションであれば、新築分譲時に管理組合の結成が義務付けられており、管理会社も最初から必ずそれぞれのマンションに特定の管理会社が付いた状態で運用がスタートします。

新築時点で長期修繕積立計画が立てられ、どういったペースで、どれくらいのコストをかけてマンションの修繕を行っていくのか、事前に長期に渡って計画書が作られています。

今では当たり前になっているこの制度ですが、昔はありませんでした。

ではこの制度が無い時代はどうしていたかというと、大きな工事をするので1住戸当たり「100万円捻出してください」という具合に突然徴収されたといいます。

当然ついこの間購入したばかりの人もいれば、100万円がすぐさま支払えない人もいるでしょうから、管理組合内でもめる事になります。

これを防ぐために作られたのが修繕積立金制度です。

しかし、中国などのマンションには修繕積立金制度は無いと聞いたことがあります。

計画が無い以上、なかなか大きなお金を出す工事を進めることが難しくなります。

結果、日本と比べると同じ築年数の物件でも保存状態がおそろしく悪い建物も中国には沢山あります。
私も中国や台湾に何度か行っていますが、古い建物の状態は日本とは比べ物になりません。

自身の購入したマンションがそういった悪い状態にならずに済む訳ですから、大事な資産が資産価値を目減りさせる事の無いように行う大規模修繕や、そのコストを計画的に賄う修繕積立金の制度はマンションの維持管理を考えれば非常に重要な仕組みだということがおわかり頂けるかと思います。

┃大規模修繕工事の項目 

ではこの大規模修繕工事はどの様な項目があるのでしょうか。

物件によっても違いはあります。タワーマンションは建物が大きく、普通のマンションとはコストが比べ物になりません。

ここでは一般的な中規模マンションを参考にして紹介してみます。

 

まず、大規模修繕工事の項目ですが以下の通りです。

 

仮設工事(外壁工事用)、外壁補修、外壁塗装、鉄部塗装、屋上防水工事、床防水工事(バルコニー)、建具・金物等、給水設備、排水設備、ガス設備、空調・換気設備、照明設備、情報通信設備、消防用設備、外構・付属設備、調査・診断・設計・工事監修などが項目にあげられます。

長期修繕計画

大抵の場合は12年~14年に一度程度の頻度で工事の計画が立てられているはずです。

これは壊れたから直すという工事ではなく、劣化予防の為の動きなので実際は調査をしたり、相見積もりを取って折衝したりで多少遅れて実行されることもあります。

大規模修繕工事を行う際は、事前に修繕箇所の確認の為調査を入れて破損個所や状況を確認します。

結果状態が思ったよりも良いのであれば早急に工事を行う意味もありませんので、多少先送りにしたり、工事項目を減らす事も実際はあり得ます。

逆に予定していなかった工事項目が増える事も当然あり得ます。

建築当初の物価で見積もった計画書なので、物価の変動の影響を受けることもありますし、LEDのライトや心肺蘇生装置のAEDなどの様に、昔は存在しなかった設備を導入する費用が後々必要になることもあります。

マンションの管理組合に入る収入源の駐車場や駐輪場の稼働率が悪いと修繕積立金が不足してくるという可能性もあります。

そういった変動した要素を盛り込んで、長期修繕積立計画は定期的に見直しが必要になります。

後のメンテナンス費用に対して、計画的に工事を行うには月々いくら集めれば事足りるのか、逆算して間に合うように各住戸ごとに割り振ってきちんと集金しなければなりません。

 
当然築年数が経過すればするほど修繕箇所も徐々に増えていくため、修繕積立金は建築当初より段階式に見直しによって値上げしながら調整を図るのが通常の形となります。

 

マンションは建築当初は壊れる所がありません。

新築なら当たり前です。

新築で購入する人は所有して5年で売却してしまう人もいます。

この場合、その所有者が30年後の工事費用を負担するのは割に合わないので、建築当初は修繕積立金は各住戸の負担金額が30年間同じ金額ではなく最初の金額は少額に抑えられています。

妥当な金額を平均化して集める意味でも最初は安く始めて、定期的に修繕積立金を見直して値上げしながら調整を図る仕組みになっているのです。

 

販売図面やパンフレット、物件の内覧などだけでは把握するのが難しい項目ですが、長期に渡って保有することが前提の不動産であればこそ、当然将来かかるであろうコストはきちんと把握しておくべきです。

物件によっては非常に高額になることもあるため、購入前に良く情報を取って詳細を確認し、後から知って困る事のないようにしましょう。

 

 

 

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現在の会社に入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。

現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。

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