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一般的に、高年収の人ほど支払う税金は高くなります。「せっかくたくさん稼いでいるのに、税金で思った以上にお金がなくなっていく...」と悩む方は、決して少なくないはずです。
しかし、あらかじめ税金対策を講じておけば、支払う税金額を減らすことができます。その対策としておすすめになるのが不動産投資です。
この記事では、年収1800万円の人が不動産投資でできる税金対策や、節約できる仕組みを解説します。税金に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
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目次
税金の種類には所得税・住民税や社会保険料があります。また、年収1800万円の人は合計で600万円ほどの大きな金額を払うことになるのです。
ここでは、年収1800万円の人が払う税金について、概要とおおよその金額を解説します。
所得税は所得が大きくなるほど税率が上がる「超過累進課税」を採用しており、年収1800万円の人の支払額は300万円ほどです。
所得税を計算する手順は以下のとおりです。
1.年収から各種控除(社会保険料控除や基礎控除など)を引き、課税所得を求める 2.所得税の速算表を見て、課税所得の金額がどの範囲に該当するか調べる 3.課税所得×税率ー控除額により計算する |
また、国税庁のホームページには、所得税の速算表が公開されています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1000円から194万9000円まで | 5% | 0円 |
195万円から329万9000円まで | 10% | 9万7500円 |
330万円から694万9000円まで | 20% | 42万7500円 |
695万円から899万9000円まで | 23% | 63万6000円 |
900万円から1799万9000円まで | 33% | 153万6000円 |
1800万円から3999万9000円まで | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
(出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
年収1800万円の場合、各種控除の合計は家族構成や住まいの地域によりますが、400万円ほどになります。実際に計算すると以下のとおりです。
1.課税所得=1800万円ー400万円=1400万円 2.所得税の速算表より、税率33%、控除額153万6000万円 3.所得税=1400万円×33%ー153万6000万円=308万4000円 |
所得税は300万円で、年収の約17%を払うことになるため、大きな金額と考える人は多いでしょう。
住民税は所得税と違い、所得に対して一律で約10%が課税されます。支払額は140万円ほどです。
住民税の内訳は以下の表のとおりです。住まいの自治体により異なることもありますが、ほとんどの自治体で同じ金額を定めています。
所得割(標準税率) | 均等割(年額) | |
区市町村民税 | 6% | 3000円(2023年度まで3500円) |
道府県民税・都民税 | 4% | 1000円(2023年度まで1500円) |
合計 | 10% | 4000円(2023年度まで5000円) |
個人住民税所得割は比例税率(市町村民税:6%、道府県民税: 4%(指定都市の場合は、市民税8%、道府県民税:2%))とされており、また、個人住民税均等割は一定額(市町村民税:3000円、道府県民税:1000円。令和5年度まで市町村民税:3500円、道府県民税:1500円)とされていること |
(引用:国税庁「住民税」/https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/point2023/09.htm)
住民税を計算する手順は以下のとおりです。
1.年収から各種控除(社会保険料控除や基礎控除など)を引き、課税所得を求める 2.課税所得×10%+5000により計算する(2023年度までの場合) |
年収1800万円の場合、各種控除の合計は前述したように400万円ほどになります。(厳密にいうと基礎控除は、所得税計算のときと住民税計算のときで5万円の差があります)実際に計算すると以下のとおりです。
1.課税所得=1800万円ー400万円=1400万円 2.住民税=1400万円×10%+5000円=140万5000円(2023年度までの場合) |
住民税は140万5000円ですが、均等割の5000円は課税所得の大きさによらず一律です。比較的少ない金額のため、大まかに住民税を把握したいときは、均等割の分を省いてもいいでしょう。
社会保険料には健康保険料、厚生年金保険料などの種類があります。年収や家族構成により異なりますが、年収1800万円の人の支払額は合計で180万円ほどです。
項目 | 金額 |
健康保険料 | 約83万円 |
厚生年金保険料 | 約71万円 |
雇用保険料 | 約11万円 |
介護保険料 | 約15万円 |
合計 | 約180万円 |
介護保険料は40歳から支払い義務が発生します。比較的大きな金額になるため、自分が40歳以上で支払い義務があるかどうか確認が必要です。
不動産投資を始めると、主に3つの税金を節税できます。所得税・住民税は数十万円ですが、贈与税や相続税は数百万円の節税が可能です。
ここでは、不動産投資でできる税金対策とその効果について解説します。
不動産投資で発生した経費や赤字は、年収から差し引くことで課税所得を減らせて、その分だけ所得税や住民税の節税につながります。
年収1800万円の人が、不動産投資で年間80万円の経費が発生した場合と、不動産投資をしなかった場合を比較すると以下のとおりです。各種控除などは前述した条件と同じです。
不動産投資をした場合 | 不動産投資をしなかった場合 | |
年収 | 1800万円 | |
各種控除 | 400万円 | |
不動産投資の経費 | 80万円 | 0円 |
課税所得 | 1320万円 | 1400万円 |
所得税 | 282万円 | 308万4000円 |
住民税 | 132万5000円 | 140万5000円 |
所得税+住民税 | 414万5000円 | 448万9000円 |
不動産投資をすると、およそ35万円の所得税・住民税を節税できたことになります。
贈与税は、財産の受け渡しがあった際、財産を受け取った人に課税される税金です。年間で110万円を超える財産を受け取ると、超えた財産の分に課税されます。
たとえば、子どもが3000万円の現金を親から受け取った場合と、3000万円の物件を受け取った場合を比べてみましょう。
贈与税を計算するときの財産は「相続税評価額」を使います。現金の場合はその金額が相続税評価額になりますが、不動産の場合は物件価格の約8割が相続税評価額になります。
現金を受け取る場合 | 不動産を受け取る場合 | |
相続税評価額 | 3000万円(100%) | 2400万円(3000万円×80%) |
課税対象の金額 | 2890万円(3000万円ー110万円) | 2290万円(2400万円ー110万円) |
贈与税の速算表は以下のとおりです。
基礎控除後の課税価格 | 200万
円 以下 |
400万
円 以下 |
600万
円 以下 |
1000万円
以下 |
1500万
円 以下 |
3000万
円 以下 |
4500万
円 以下 |
4500万
円 超 |
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ー | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
(出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)
速算表で計算すると、それぞれの贈与税は以下のとおりです。
現金を受け取る場合 | 不動産を受け取る場合 | |
贈与税 | 1035万5000円
(2890万円×45%ー265万円) |
765万5000円
(2290万円×45%ー265万円) |
不動産を贈与する場合は、現金を贈与する場合よりも、270万円節税できます。
相続税は故人から財産を相続する(受け取る)人に課税される税金です。贈与税と同様に、相続税を計算するときの財産も相続税評価額を使い、不動産の場合は物件価格の約8割です。
たとえば、子どもが3000万円の現金を親から相続した場合と、3000万円の物件を相続した場合を比べてみましょう。条件は、以下のように法定相続人を子ども1人のみとして、簡易的に考えます。
現金を受け取る場合 | 不動産を受け取る場合 | |
法定相続人 | 子ども1人 | |
基礎控除額 | 3600万円「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」 | |
相続税評価額 | 3000万円(100%) | 2400万円(3000万円×80%) |
その他の相続財産(想定) | 2000万円 | |
相続財産の合計 | 5000万円 | 4400万円 |
課税対象の金額
(相続財産の合計ー基礎控除額) |
1400万円 | 800万円 |
相続税の速算表は以下のとおりです。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1000万円以下 | 10% | ー |
1000万円超から3000万円以下 | 15% | 50万円 |
3000万円超から5000万円以下 | 20% | 200万円 |
5000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超から2億円以下 | 40% | 1700万円 |
2億円超から3億円以下 | 45% | 2700万円 |
3億円超から6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
(出典:国税庁「No.4155 相続税の税率」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm)
速算表で計算すると、それぞれの相続税は以下のとおりです。
不動産を相続する場合は、現金を相続する場合よりも80万円節税できます。
財産を不動産という形で所有することで、減価償却費を経費として計上したり、相続税評価額を下げたりできます。
ここでは、不動産投資で節税できる仕組みについて解説します。
減価償却とは、物件の購入費用を耐用年数で分割して、次年度以降に経費として計上することです。計上した経費の分だけ課税所得が少なくなり、所得税・住民税を減らせます。
たとえば、以下の条件の建物を考えます。
物件価格 | 3000万円 |
建物の構造 | 鉄筋コンクリート造 |
建物の用途 | 住宅 |
築年数 | 10年 |
この場合、減価償却費をシミュレーションできるサイトで調べると、39年間にわたり76万9000円を減価償却でき、その分だけ課税所得を減らせることがわかります。自分が購入する物件の条件を、シミュレーションのサイトで入力してみるといいでしょう。
損益通算とは、不動産投資によって生じた赤字を、給与所得から差し引くことです。不動産投資の赤字は、以下の計算式で求められます。
不動産投資の赤字=家賃収入ー経費 |
経費には主に以下の項目があります。
● 維持管理費
● 修繕費
● 減価償却費
● 固定資産税
● 保険料(火災保険や地震保険)
● ローンの利息分
● 不動産投資に関わる交通費・交際費など
これらの経費が、不動産投資で得る家賃収入よりも多いとき、赤字が生じたことになり、その赤字の分を給与所得から差し引けます。結果として課税所得が減り、所得税・住民税を減らせます。
財産を不動産として所有することで、相続税評価額を下げ、その分だけ相続税や贈与税を減らせます。前述したように相続税評価額は物件価格の約8割まで下げられます。
7~8割より低い割合まで下げられるケースもありますが、いわゆる「タワマン節税」への対策により税制改正されたため、6割よりも低いときは注意が必要です。新しい計算式により、以下のグラフのオレンジ色の折れ線のとおり、6割よりも低い割合になることはありません。
(出典:国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について」/https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023006-018.pdf)
中古物件は新築よりも減価償却期間が短いため、同じ物件価格でも1年間で経費にできる減価償却費が多くなります。
たとえば、物件価格3000万円を条件として、新築と築10年の建物を比べてみましょう。シミュレーションすると以下のとおりです。
新築の場合 | 築10年の場合 | |
物件価格 | 3000万円 | |
建物の構造 | 鉄筋コンクリート造 | |
建物の用途 | 住宅 | |
減価償却期間 | 47年 | 39年 |
年間の減価償却費 | 63万8000円 | 76万9000円 |
1年で償却できる減価償却費は、中古物件のほうが新築物件よりも高く、約13万円の差が生じます。築年数が長いと減価償却できる期間は短くなるため、自分がどれだけの期間にわたり不動産投資をするか考えたうえで、築年数を選びましょう。
不動産投資をするのであれば、法人化を視野に入れるのも効果的です。年収1800万円の人であれば、節税効果がさらに高くなる可能性があります。
ここでは、不動産投資で法人化するメリットとデメリットについて解説します。
法人で不動産を所有すると、個人で所有するときと比べて、所得にかかる税率が低くなります。個人にかかる所得税・住民税は最大で55%ですが、法人にかかる法人税は最大で33%だからです。
所得が低い場合は、逆に法人税のほうが高くなる恐れがあるため注意が必要です。あくまで目安ですが、課税所得が900万円を超えると、法人化することで税金を低く抑えられると言われています。
法人を設立するために、費用が20万円ほどかかります。経理処理なども、個人で不動産を所有するときと比べて複雑になります。会計事務所に依頼するための費用が、年間で数十万円必要です。
これらの初期費用やランニングコストを考えたうえで、法人化するかどうか考えなければいけません。
ここでは、不動産投資の税金対策で注意するべきリスクについて解説します。
長期にわたり物件を所有すると、やがて減価償却できない時期が訪れます。築年数や建物の構造などにより異なりますが、減価償却できる期間が決まっているからです。
不動産投資では、長期にわたり物件を所有することでローンを完済し、その後も家賃収入をもらい続けることで利益を出す方法があります。しかし、税金対策が目的であれば、減価償却期間を過ぎてそれ以降も物件を所有し続けると、節税効果が低くなります。
売却する時期まであらかじめ検討したうえで、不動産投資を始めることが大事です。
減価償却できる期間内に物件を売却するとしても、5年以内に売却すると多額の譲渡所得税を払うことになります。以下に示すように、5年以内に売却すると39.63%の税率がかかり、5年を超えると20.315%の税率がかかるからです。
長期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。
短期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。 |
(引用:国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm)
短期譲渡所得の税率
所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=合計39.63% 長期譲渡所得の税率 所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315% |
(引用:三菱UFJ不動産販売「不動産売却でかかる税金は? 譲渡所得税の計算方法や知っておきたい特例も解説」/https://www.sumai1.com/useful/plus/sellers/plus_0164.html)
支払う税金は5年を境に約2倍の差があるため、大きな金額です。特別な事情がない限り、5年以上は物件を所有するようにしましょう。
物件を購入する前に想定していた収支は、運用中に変動することを念頭に置いておきましょう。建物の経年劣化にともない、家賃が変動したり修繕費が増えたりする可能性があるからです。入居者が退去した後の空室期間が長引くと、家賃収入がなかなか得られないこともあります。
さまざまなリスクを想定して、自己資金に余裕をもった計画が必要です。
J.P.Returnsでは、一流のコンサルタントが不動産投資に関する相談を承っております。節税効果や物件選びについて詳しく知りたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
不動産ライター。大手ゼネコン在籍中は、一級建築士としてマンションや事務所ビルなど数多くの建築施工に携わり、海外建築の施工も経験あり。現在は不動産投資で都内に3つの物件を所有。
これらの経験を活かし、大手メディアで不動産ジャンルに特化して記事を執筆している。
【保有資格】
一級建築士、一級建築施工管理技士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士