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不動産購入の際には、物件費用以外にも諸費用が発生します。具体的にはどのような費用がかかるのか、また、どの程度かかるのかについてまとめました。諸費用を節約するコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
不動産を購入するときには、不動産そのものの価格以上の費用がかかります。例えば、売買契約を締結したときには契約書を発行しますが、紙の契約書には契約金額に応じた印紙税が必要です。また、不動産会社で不動産を購入する場合であれば、仲介手数料もかかるでしょう。
これらの諸費用は、新築物件の場合は物件価格の3~7%、中古は6~10%程度が目安となります。例えば3,000万円の物件を購入する場合であれば、新築で90万~210万円、中古で180万~300万円の諸費用がかかると見積もっておくことができるでしょう。
なお、中古物件のほうが諸費用が高い傾向にあるのは、仲介手数料が含まれるためです。仲介手数料とは、不動産会社の仲介により物件の売買を個人間で行うときに発生する費用なので、新築物件では基本的には発生しません。
不動産を購入するときは、さまざまな税金がかかります。購入時に必要な主な税金としては、次の3つが挙げられます。
・登録免許税
・印紙税
・消費税
それぞれどの程度かかるのか詳しく見ていきましょう。
なお、不動産を購入した後にも税金は発生します。主な税金は、不動産取得税と固定資産税、都市計画税の3つです。不動産取得税とは不動産購入後に1回のみ納付する税金で、都道府県から納付書が届きます。不動産取得税額は、土地や家屋に対しては課税標準額の3%、住宅以外の家屋に対しては課税標準額の4%です。ただし、2024年3月31日までは宅地に関しては、不動産取得税を計算するときの課税標準額が1/2になるため、税額も半分になります。
一方、固定資産税と都市計画税は、1月1日時点で不動産を所有している場合に毎年納付する必要がある税金です。1月1日は法務局が業務を行っていないので登記手続きが不可能なため、不動産を購入した方は翌年から固定資産税と都市計画税を納付することになります。
固定資産税額は課税標準額に対して1.4%、都市計画税額は課税標準額に対して0.3%です。ただし小規模住宅用地の特例措置が適用されると、土地の固定資産税額は1/6まで、都市計画税額は1/3まで減額されます。
登録免許税とは、登記をする際に必要となる税金です。不動産を購入するときには、所有権移転登記が必要です。土地の移転登記のための登録免許税額は課税標準額に対して0.2%ですが、2023年3月31日までに登記手続きをする場合には税率は0.15%になります。
また、建物の登記に関しては、新築住宅に関しては「所有権保存登記」、中古住宅に関しては「所有権移転登記」が必要です。いずれも2024年3月31日までに登記手続きを行う場合であれば、軽減措置が適用されます。
<所有権移転登記>
・土地:課税標準額×0.2%(2023年3月31日までは0.15%)
・建物(中古住宅):課税標準額×2%(2024年3月31日までは0.3%、認定長期優良住宅は0.1%)
<所有権保存登記>
・建物(新築住宅):課税標準額×0.4%(2024年3月31日までは0.15%、認定長期優良住宅は0.1%)
住宅ローンを組んで不動産を購入する場合であれば、所有権移転登記に加えて抵当権設定登記が必要になります。抵当権設定登記にかかる登録免許税は、課税標準額の0.4%です。2024年3月31日までに登記手続きをする場合であれば、建物に関しては課税標準額の0.1%と軽減されます。
<抵当権設定登記>
・土地:課税標準額×0.4%
・建物:課税標準額×0.4%(2024年3月31日までは0.1%)
印紙税とは、契約書を紙面で作成したときに必要になる税金です。税額は契約書に記載されている契約金額によって異なります。例えば、1,000万円超5,000万円以下の不動産を売買し、売買契約書を作成した場合であれば、2万円(2024年3月31日までに契約書を作成する場合は1万円)の印紙税が必要です。
印紙税はローン契約の契約書にも必要になります。印紙税額は売買契約書と同じですが、軽減措置がないため、1,000万円超5,000万円以下のローンを組み、金銭消費貸借契約書を作成した場合であれば、時期に関わらず2万円の印紙税が必要です。
新築物件を購入するときは、消費税が課せられます。例えば新築物件の価格が2,000万円であれば消費税率は10%のため、200万円の消費税が必要です。
また、新築物件以外にも、不動産仲介手数料や司法書士報酬などの購入時の諸費用にも消費税は課せられます。一方、土地と中古物件に関しては、消費税は課せられません。
ローンを組むときには、抵当権設定登記の登録免許税や金銭消費貸借契約書の印紙税以外にもさまざまな諸費用が発生します。主な諸費用としては、次の4つが挙げられるでしょう。
・保証料
・事務手数料
・団体信用生命保険料
・火災保険料
それぞれの概要について解説します。
ローンを組むときには、保証人を付けない代わりに保証会社の保証が必要になることがあります。保証会社を利用するときには、保証料が必要です。
なお、金融機関によって保証料の支払い方は異なり、ローンを組むときに一括で支払う場合もありますが、ローンの金利に上乗せする場合もあります。ローン金利に上乗せする場合は、返済期間が長くなれば保証料も高くなる点に注意しましょう。
ローンを組むときには、金融機関に事務手数料を支払います。金融機関によって差が大きいため、事前に確認しておきましょう。
住宅ローンを組むときには、団体信用生命保険への加入が条件となることも少なくありません。団体信用生命保険に加入すると、契約者が死亡したときや高度障害状態になったときなどには以後の返済が不要になるため、遺族の経済的な負担が軽減されます。
団体信用生命保険の保険料は金利に上乗せする形で支払うことが一般的です。しかし、団体信用生命保険への加入が条件となっているローンでは、すでにローン金利に保険料が含まれていることがあります。
ローンを組むときは、火災保険への加入も求められることが一般的です。またローンを組まずに建物を購入するときも、万が一に備えて火災保険に加入することができるでしょう。
火災保険に加入すると、火災保険料が発生します。火災保険料は保証内容や保険会社、契約年数、支払い方法などによっても異なるため、複数の火災保険を比較してから選択するようにしましょう。
火災保険では、地震や津波を原因とする被害に対しては保証を受けられません。地震に備えたい方は、地震保険への加入も検討できます。地震保険に加入すると、地震保険料が必要です。地震保険料は都道府県や建物の構造、保険金額によって異なります。
ただし、火災保険とは異なり、保険会社によって保証内容や保険金額に差はありません。また、火災保険に加入していることが前提で、火災保険と同じ保険会社で契約することが義務付けられている点にも注意しましょう。
不動産購入時に発生する費用は、税金やローン契約関連だけではありません。その他の費用としては、次の3つが挙げられます。
・手付金
・仲介手数料
・司法書士報酬
それぞれの費用の特徴や目安について解説します。
不動産の売買契約の際には、代金の一部を手付金として支払います。相場は物件価格の5~10%程度です。買い手の都合で取引をキャンセルする場合は、手付金は返還されません。キャンセルせずに購入するときは、手付金は購入代金の一部に充当されることが一般的です。
なお、売り手の都合で取引をキャンセルする場合は、手付金の倍額が買い手に支払われます。
中古物件を不動産会社の仲介で購入するときは、仲介手数料を不動産会社に支払います。新築物件を購入するときは基本的には仲介手数料は不要ですが、稀にかかることもあるため不動産会社に確認しておきましょう。
物件価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は以下のとおりです。
・物件価格×3%+6万円(消費税別)
登記手続きなどを司法書士に委託する場合は、司法書士報酬がかかります。依頼する法律事務所によっても異なりますが、5万~10万円が相場です。
中古物件を購入する場合、どの程度の費用が発生するのかシミュレーションしてみましょう。物件価格は土地が2,000万円、建物(認定長期優良住宅ではない)が1,000万円、住宅ローンで借り入れた金額は1,500万円、固定資産税・都市計画税の清算金なしとします。
<住宅購入時>
・仲介手数料:39万6,000円(3,000万円×3%+6万円+消費税)
・売買契約書の印紙代:1万円
・登録免許税:33万円(2,000万円×1.5%+1,000万円×0.3%)
・司法書士報酬:5万円
<ローン契約時>
・事務手数料:3万円
・保証料:30万円(1,500万円×2%)
・金銭消費貸借契約書の印紙代:2万円
・登録免許税:1万5,000円(1,500万円×0.1%)
・司法書士報酬:5万円
・火災保険料・地震保険料:10万円
このケースであれば合計130万1,000円の諸費用が発生します。新築であれば仲介手数料がかかりませんが、その分、消費税が発生するため注意しましょう。
不動産購入時には決して安くはない諸費用がかかります。次のポイントを実践することで、抑えやすくなるでしょう。
・売主会社から直接購入する
・火災保険は比較検討して選ぶ
・手付金を払う前に慎重に検討する
・住宅ローン特約を確認する
それぞれのポイントについて解説します。
中古物件を購入する場合、不動産会社へ支払う仲介手数料がかさむことがあります。仲介手数料は不動産会社を仲介とするときに発生する費用のため、直接売主から購入すると発生しません。不動産会社が所有している物件はないか、一度尋ねてみましょう。
火災保険料は保証内容が同じでも、保険会社によって異なります。いくつかの保険会社から見積もりを取り、比較して選ぶようにしましょう。
なお、火災保険料は、保証内容や住宅の構造、地域、築年数、保険期間によっても異なります。必要なときに必要な保証を受けられるように、慎重に選ぶことが大切です。
手付金は物件価格の5~10%程度にも及ぶため、諸費用の中でも多額を占めます。
物件を本当に購入する場合であれば購入代金に充当されるので特に問題はありませんが、買い手の都合でキャンセルすると返還されない点に注意が必要です。手付金を支払う前に、本当にキャンセルすることはないのか慎重に検討するようにしましょう。
手付金は、ローン審査に落ちたときも返還されないことが一般的です。
しかし、売買契約書に「住宅ローン特約」が設定されている場合には、審査落ちにより住宅を購入できなくなったときは手付金が返還されます。売買契約書を締結する前に、住宅ローン特約があるか確認しておきましょう。
不動産を購入するときは、物件代金以外に諸費用がかかります。ローンを組んで購入するときはさらに諸費用が発生するため、事前にどの程度かかるのか確認し、予算を立てておきましょう。
また、住宅購入後には不動産取得税や固定資産税なども発生します。どの程度かかるのかあらかじめ見積っておき、資金を残しておくようにしましょう。不動産取得税は1回のみの納税ですが、固定資産税と都市計画税は毎年発生するため注意が必要です。
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J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
大学在学中に家庭教師のアルバイトをきっかけにデイトレーダーへ転身。24歳で資産運用法人を設立する。25歳から大手投資用マンションディベロッパーと業務提携後、およそ6年間にわたり資産運用アドバイザーとして活躍。その後、大手不動産仕入れ会社で販売統括責任者として従来の投資用物件の流通システムを革新するプロジェクトを立ち上げる。国内最大規模の投資イベント「資産運用EXPO」で登壇実績があり、同業他社からも多くの見学者が立ち見の列を作った。2020年にJ.P.RETURNSに参画。オンラインでの商談やWEBセミナーを導入し、コロナ禍でも年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)